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ゲーム空間はZ世代向けプロモーションの震源地となるか? Fortniteをプロモに活用する“再現可能な設計”——ReIMAGINEのプランニング WAY
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ゲーム空間はZ世代向けプロモーションの震源地となるか? Fortniteをプロモに活用する“再現可能な設計”——ReIMAGINEのプランニング WAY

広告にあまり反応しないとも言われているZ世代やα世代に、いかにしてブランドの世界観を届け、熱狂を生み出すか。
その有力な答えの一つともいえるのが、世界的な人気を誇るゲームプラットフォーム『Fortnite』の活用です。本稿では、博報堂DYグループとALCHE studioによるFortniteゲーム制作チーム「ReIMAGINE」が、『マツケンサンバⅡ』の事例を例に、プランニングWAYと活用ポイントをご紹介します。

松﨑 健
博報堂テクノロジーズ  クリエイティブテクノロジスト

平沼 英翔
博報堂DYホールディングス マーケティングテクノロジーセンター開発1G テクノロジスト

川 大揮
ALCHE studio Founder & CEO

IPや企業の世界観をゲームに変換する制作チーム「ReIMAGINE」

平沼
今回は「ゲーム空間を活用したZ/α世代向け次世代プロモーション」について、Fortniteをプロモーションに活用する考え方と、具体事例(『マツケンサンバⅡ Rise Up The World』)を交えてご紹介します。
まず、私たちのチームReIMAGINEについてご説明します。
ReIMAGINEは、博報堂DYグループとALCHE studioが連携し、オンラインプラットフォームFortniteを活用して、IP(知的財産)やブランドの世界観を体験できるコンテンツの企画・制作を行うクリエイティブチームです。
IPや企業(商品やサービス)のブランドが持つ世界観を、ユーザーが遊べるゲームコンテンツへ変換して理解・興味やエンゲージメントを深めてもらったり、国境を超えて世界に広げていくことを目指しています。
例えば、本来は“視聴”が中心だったコンテンツを、ユーザーがインタラクティブに“遊べる体験”へ変換する。こうした世界観の変換を、企画~制作~公開後の運用までワンストップで行っています。

松﨑
私はこれまで、最新テクノロジーを活用した企画制作や開発に数多く携わってきました。近年は生成AIを用いたIP制作にも力を入れています。メタバース領域のクリエイティブやコンテンツビジネスの可能性を探る中で、数年前に川さんと出会った際にアウトプットの精度の高さに感銘を受け、具体的な案件も出始めた為、このチームを結成するに至りました。
平沼
私は2021年からメタバースの研究を行っており、プライベートで大会に出るほどFortniteのファンです。その経験も活かして、新しいプロモーションの形を作れないかと考えて参画しました。
ALCHE studioの川です。プロデューサー/テクニカルディレクションを担当しています。
2020年頃から、Fortniteを開発したEpic Games社のゲームエンジン Unreal Engine を使い、ゲーム以外の体験型デジタルコンテンツも制作してきました。ALCHE studioは、日本が誇る豊かなIPやアーティストのコンテンツを、メタバース領域を通じて世界に届けることを目指しています。

なぜ今、プロモーションにFortniteが活用されるのか?

平沼
では、なぜ私たちがFortniteというプラットフォームに注目し、マーケティングに活用しようとしているのか。その理由をご説明します。
Fortniteと聞くとシューティングゲームを連想される方も多いかもしれませんが、実際にはレーシングやミュージックなど、多様な遊び方が可能な世界最大級のグローバルゲームプラットフォームです。
そして最も重要なのが、ユーザーの中心がZ/α世代である点です。

Fortniteには、単なるゲームプラットフォームに留まらない、3つの強力な「ブランド価値」があります。

①「リアルタイム体験型プラットフォーム」
毎週のように環境が変化し、その時間にしか体験できない「ワンタイムイベント」も開催されます。“その場にいないと体験できない同時性”が、オンライン/オフラインを問わず熱狂と希少性を生み出します。
②「カルチャー・トレンドの震源地」
Fortniteでのコラボをきっかけに新しいカルチャーに触れる若者が増えたり、逆に現実世界の流行を生み出す起点になったりします。
③:「サードプレイス・コミュニティ」
放課後、友達とボイスチャットで雑談しながら時間を共有する“場所”として機能しており、SNS以上に強いコミュニケーション空間になっています。

加えて近年は、企業やユーザーが自由にワールドを制作できる「クリエイティブ」モードの人気が高まっています。類似のプラットフォームもありますが、Fortniteは美麗なグラフィック表現が可能で、IPや企業ブランドの世界観をより忠実に再現できる表現力の高さが強みです。

こうした土台があるからこそ、Fortniteを“単なるゲーム”ではなく、若者に向けてIP/企業の世界観をワールドごと体験させるメディアとして活用することができます。

広告に反応しない層を動かす「Fortniteマーケティングサイクル」

平沼
Fortniteのマーケティング活用の強みは、独自のサイクルを生み出せる点にあります。ここからが本題です。
Fortniteの強みは、体験がUGC(ユーザー生成コンテンツ)の醸成につながりやすいところにあります。普段広告に振り向かない層が多いプラットフォームだからこそ、体験が面白ければユーザーが自発的にゲームの外側に発信してくれる。結果として、ユーザー側が“広告の役割”を担ってくれる状況が発生します。私たちはこれを偶然に任せず、プランニングWAYとしてサイクル設計に落とし込んでいます。
“ゲームを作る”だけではなく、“体験→拡散→獲得までの設計図を作る”。
ここが再現性の核になります。

それでは、我々の制作したワールドの事例も踏まえながら、具体的に解説していければと思います。

松﨑
ReIMAGINEの事例として「マツケンサンバⅡ Rise Up The World」 をご紹介します。ここでお伝えしたいのは、ご説明するまでもなくマツケンというIPの凄さに加えて、Fortniteをプロモーションに活用する時の“設計の型”とそれが生み出す結果についてです。
『マツケンサンバⅡ』発売20周年のタイミングで誕生した企画です。楽曲が持つ「聴いたら誰もがハッピーになる魅力」を、Fortniteのゲーム体験として再構築できるかがポイントでした。ゲーム空間そのものをマツケンサンバの世界観で染め上げ、グローバルでも通用するコンテンツ体験に昇華しています。
一見シンプルなゲームに見える一方で、やり込み要素や裏演出も設計されています。

ゲームリリース後の初動でDiscover上位に掲載させることができ、この熱狂は海外にも飛び火します。Fortnite内で累計2.5億回以上のインプレッションを獲得、クリック数はわずか3ヶ月で約500万に達しました。クリック率は通常のデジタル広告と比較しても非常に高い数値でした。リリース直後からYouTubeやTikTok等のSNS上で大量のUGC(ユーザーのゲームプレイ動画)が爆発的に投稿され、中には数百万回再生される動画まで現れて、当初の想定をはるかに上回る結果になりました。
海外ユーザーがマツケンの画像や楽曲を聞いた時に「Fortniteとコラボした人」と認識するほどのパーセプションを獲得した例もあります。
結果的に、プレイヤー数は国内よりも海外の方が多く、国境のないゲームプラットフォームを通じて、日本のIPを海外に輸出する可能性を実証することができたと考えています。また、ゲームのプレイ回数が増えるほど、YouTube楽曲動画の再生数やコメント数が増加するという、オリジナルコンテンツへの好意的な波及効果も見られました。

伸ばす仕組み:Discover(トップ画面)×コミュニティ×メディア誘導

数字をどう伸ばすか、という点についてご説明します。Fortniteには多くの人が最初に見る Discoverというトップ画面があり、プレイヤーに人気のマップほど露出が増える仕組みです。ここに載ると、本当に多くの人に見てもらえて遊んでもらえる。なので、最初の初期プレイ(初速)をきちんと担保して、人気が上がっていく流れを作ることが重要です。

それに加えて、Fortniteコミュニティは成熟していて、配信者がコンテンツを投稿してくれます。それを見て『自分もやってみよう』となり、また新規がゲームに参入してくる。
さらにテレビ等のマスメディアやSNS動画メディアで告知すると同時接続数が上がる誘導効果も確認できました。プラットフォームも幅広く対応しているので、ゲーム参加の入口が多いことも強みです。制作面で言うと、Unreal Engine(UEFN)で、モデルや音楽、演出を含めて“体験”として再現することができます。ゲームの開発期間は内容次第ですが、数か月スパンで作れるケースもあります。
そして、Fortniteのワールド制作は『何でもできる』ぐらいに自由度が高い。ブランド世界観を表現する上で制限が少ないことが、他のプラットフォームと比べて強みだと考えています。
平沼
つまり、プランニングWAYのサイクルを回す上で、Discoverで“初速の増幅器”を踏みつつ、UGC拡散で第二波、余力があればメディアを活用した誘導で第三波を作る。ここまで含めてプロモーションを設計すると、Fortniteがかなり強いメディアになりますよね。
ReIMAGINEの強みは制作だけではなく、広告発想(誰に何を届けるか)と、体験発想(どう遊んでエンゲージメントを高めるか)を、統合コミュニケーションの設計図の中で束ねられることだと考えています。リリース後も分析・改善のPDCAまで行い、ゲーム体験の磨き込みや効率性と継続性を追求していきます。
松﨑
ReIMAGINEの強みは、IP/企業ブランドの世界観を高い再現性で楽しいゲーム体験として再構築できること。さらに、ゲーム体験を通じてユーザーのプレイ→拡散→獲得のマーケティングサイクルを回していくこと。
このサイクルを最大化するために、私たちは以下の要素を重視してプランニングを行っています。

● ゲーム体験を通じたブランド理解/興味/エンゲージメントの獲得
● ターゲット獲得(Z/α世代へのリーチ)
● O2O(購買/来店を促す設計)
● 話題化(SNS上でUGCが拡散される設計)
● グローバル波及(国境を越えた拡散)

「マツケンサンバⅡ」は上記のプランニングにより良い結果を得ることができた結果の一例です。
今後はIP施策のみならず企業施策や企業×IPコラボにも横展開できると考えています。
もし何かご一緒できそうだと思っていただけましたらご相談いただければ幸いです。

※肩書は取材当時のものです

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