TOKYO AVATAR GATEの公式ワールドがVRChatにオープン。 企業のVRChat参入にはどんなメリットが?
日本のマンガ・アニメなどの公式作品とコラボレーションしたメタバース向けのデジタルファッションマーケットプレイス「TOKYO AVATAR GATE(トウキョウ アバターゲート)」がVRChat上に公式ワールドをオープン。百貨店をテーマにしたというこだわりのワールドについて、また近年増え続ける企業のVRChat参入について、運営を手がける株式会社 ARROVA のメンバーに聞きました。

河合 佑介
ARROVA 代表取締役社長

本間 悠暉
ARROVA プロダクトマネージャー
百貨店のように、見る楽しさや発見するワクワク感を表現したワールド
-VRChat上に公式ワールドがオープンしたとのことですが、どのような場所で、どのような点にこだわって作られたか教えてください。
- 河合
- もともとTOKYO AVATAR GATEのコンセプトは「百貨店」です。洋服だけでなく、家具や家電などさまざまな「洗練されたもの」に出会える場所ですよね。現在私たちが扱っているのはデジタルファッションですが、ゆくゆくはバーチャルの生活を彩るさまざまな 3Dモデルも扱っていきたいという思いも込めて、百貨店をモチーフにしたワールドを制作しました。
- 本間
- こだわったポイントは、百貨店ならではの「見る楽しさ」や「発見するワクワク感」です。ウィンドウショッピングを楽しんでいただけるように、作品のキャラクターや世界観に合わせてディスプレイを設計しました。今後は商品のリリース、季節やイベントごとにウィンドウの装飾を更新する予定です。
『モブサイコ100』
※本アイテムには「影山茂夫(モブ)」、「霊幻新隆」のアバターは付属しておりません。
©2025 ONE/小学館
『鋼の錬金術師』 
©Hiromu Arakawa/SQUARE ENIX
すでにECサイトで商品を展開していますが、そこでは2次元の画像しか見ることができません。VRChat上に商品を置くことで、3Dモデルとしてどのように見えるかを確かめていただけることは大きなポイントです。今後は百貨店の中で試着体験ができたり、より近くで商品をご覧いただけるような展開も考えています。
商品をリアルに感じられるだけでなく、ユーザーやクリエイターとのコミュニケーションの場に
-実際の販売はECですが、VRChat上にワールドを作ることの意義とは?
- 河合
- 大きく二つあると考えています。一つは前述のとおり、VRChat上で3Dモデルを実際にご確認いただけること。
もう一つは、ユーザーの皆さまと触れ合う場所ができることです。VRChatはコミュニケーションを中心としたメタバースプラットフォームですので、TOKYO AVATAR GATEの商品を購入していただいた方と交流できることはとても重要なポイントです。
ワールドオープン時の記念イベントでは、今後の展望をお話ししたり、ユーザーの皆さまからご意見をいただいたり、とても有意義な場となりました。

-ユーザーからはどのような意見や要望がありましたか。
- 河合
- こんな作品とコラボしてほしいというリクエストのほか、VRChat上でTOKYO AVATAR GATEの商品を着ていることがわかる仕組みがほしい、という声もありました。自作の衣装を身につけているアバターも多いので、公式コラボ商品との違いがわかるタグのようなものを作れないかというご要望です。
この点は私たちも当初から意識していた部分で、「TOKYO AVATAR GATE」という名称も、省略すると「TAG(タグ)」となるようにネーミングしました。今後は何らかの方法で公式であることがわかるタグを付与できるよう進めていきたいと考えています。

-ユーザーとのコミュニケーションを通して今後ますます進化しそうですね。
- 本間
- そうですね。ユーザーはもちろんですが、これまでVRChat内で培われてきたクリエイターのコミュニティも大切にしたいと考えています。
個人で活動されているクリエイターの方も多くいらっしゃるので、たとえば私たちのワールドでポップアップショップのような展示ができる機会を設けることで、クリエイターの活動の場として使っていただけたら嬉しいですね。
また、クリエイターさんと打ち合わせをする際も、オンライン会議ではなくVRChat上でお会いするようにしています。私たちのワールドにお招きできるので、そういった点でもワールドを作ってよかったと思っています。
- 河合
- 話す場所によって会話の内容や話しやすさも変わってきますよね。やはり実際に VRChatの中でお話をしたほうがお互いその場にいるかのような リアリティがありますし、より内容も深くなる気がします。そういった利点もあると思います。
VRChatは没入感と再現性の高さが特徴。可処分所得が多い若年層にアプローチできる
-この数年で多くの企業がVRChatへの参入を発表していますが、この流れをどう見ていますか。
- 河合
- 「VRChat」というキーワードを含むプレスリリースの件数を見るだけでも、2020年は50件程度だったのが、2021年には127件、2022年からは282件、2023年から2025年には毎年300件以上と急増しています。ほぼ毎日1件、VRChat関連のニュースが発表されている計算で、非常にニュースバリューの高い分野だと捉えています。

-ここまで注目される理由は何だと考えますか。
- 河合
- 一つは高い没入感。
一人称視点のゲームは数多く存在しますが、VRゴーグルを装着して体験することで没入性が高く、滞在時間も長いと考えられています。

『VRC-JP 初心者プラザ』1周年記念 <<第2回 VRC-JPサービス向上アンケート>>
出典:「VRC-JP 初心者プラザ」訪問者数50万を突破!70%のユーザーが1日3時間以上滞在、Z世代の“憩いの場”|株式会社V
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000049339.html
もう一つはワールドの表現の幅だと考えています。
非現実的な世界から、 現実世界と遜色ない空間まで幅広く存在していて、新しいメディアとしての期待も大きいと感じます。
さらに、UGC(ユーザー生成コンテンツ)が生まれやすい環境も特徴です。自分の顔ではなくアバターを使うことで、自撮りもしやすいですし、SNSで共有しやすい。これもメディアの特性として大きなポイントです。
-どのような層にアプローチできるメディアだと思いますか?
- 本間
- メインユーザーが20~30代で、ゲーミングPCなどデバイスやガジェットに投資できる可処分所得が高い若年層にアプローチできるメディアだと思います。VRChatを利用している間は、それ以外の情報を完全に遮断される状態ですので、長時間没入して世界観に浸るような体験構築を目指す企業にはおすすめです。
コロナ禍以降、企業のVRChat参入が増え、企業とクリエイターがつながったり、ほかの企業とコラボ商品を開発する動きも盛んになっています。私たちもそういった動きに注目しており、TOKYO AVATAR GATEのワールドでも他企業・クリエイターとのコラボレートができたらと考えています。

注目を集めるメタバースの世界で、コンテンツづくりの未来を切り拓きたい
-TOKYO AVATAR GATEとコラボレートすることでどんな価値が提供できますか。
- 河合
- 私たちはすでに複数のコンテンツホルダーと取り組みをしていますので、そうした作品とメタバースで新たな体験を創出したい企業のコラボレーションを橋渡しすることも可能です。1社ではなかなか取り組みが難しい場合にも、ハードルを下げることができるのではないでしょうか。
- 本間
- アパレルブランドとマンガ・アニメのIP、さらにVRChat上のクリエイターをつないで、トリプルコラボレーションの機会も提供できます。
先ほどお話ししたように、ポップアップイベントやファッションショーのような企画も一緒に展開できたら嬉しいですね。
-2025年6月に本格ローンチし、11月にVRChatの公式ワールドをオープンしたTOKYO AVATAR GATEですが、今後の展望を聞かせてください。
- 河合
- TOKYO AVATAR GATEの根本にあるのは、日本のマンガやアニメ文化を築いてきたクリエイター、そして現在メタバースという領域で新しい文化を築いている クリエイターに正当に還元できるビジネスモデルを作りたい、という思いです。海賊版や違法利用が蔓延するのではなく、公式のプロダクトを安心して楽しめる世界を目指しています。
このプロジェクトはVRChatからスタートしましたが、今後はFortniteやROBLOXなど他のプラットフォームへの展開も視野に入れています。
先ほどご紹介したように、メタバースは現在も非常に注目を集めている分野です。
VRChatに関しては2025年10月にiOS版もリリースされ、さらにユーザー層の拡大が期待されています。
これまで「見る」対象だったIPが、リアルなバーチャル空間で「身につける」など、新たな楽しみ方ができる時代になりました。私たちも多くのユーザーや企業とつながりながら、コンテンツ作りの未来を切り拓いていきたいと考えています。
※肩書は取材当時のものです
この記事はいかがでしたか?
-
ARROVA 代表取締役社長
-
ARROVA プロダクトマネージャー


