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ヒット習慣予報 vol.352『ミュージックリカバリー』
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ヒット習慣予報 vol.352『ミュージックリカバリー』

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの村山です。

2025年がはじまり、すでに1ヶ月が経過して、もう1年の12分の1が終わっちゃったのか、と当たり前のことを考えて焦りはじめる今日このごろです。去る年末年始のタイミングで実家に帰省。ふと父の部屋から呪文のような声が聞こえてきたので、動揺を隠せないまま父に何をしているのか食事の際に勇気をだして聞いてみたのですが、何を隠そう「歌をうたっていた」というのです。それもイタリア語の歌を。聞き馴染みのない言語で、しかも人生で何回も聞いたことがない父の歌を耳にしてしまったため呪文に聞こえたわけですが、どうも「健康」が理由で歌を習い始めていたようなのです。今回はそんな音楽・歌に関する新習慣「ミュージックリカバリー」を取り上げたいと思います。これまでもヒット習慣予報ではvol.237『寝ている間にリカバリー』などでリカバリーウェアをはじめとした睡眠中のリカバリー習慣について、そしてvol.79『聴活ライフ』で“ながら習慣”としての耳を活用した新習慣について取り上げたりしてきました。今回は「音楽そのもの」がリカバリーのための習慣として活用されはじめていることを紹介したいと思います。

これまでも、音楽には様々な効果効能があることが研究されてきましたが、特に、認知症については海外で大規模な研究がはじまっているようです。また認知症だけでなく、精神疾患、知的障害や発達障害など様々な患者を対象にした実践が行われてきているようです。多くの人が幼少期から接しはじめる「音楽」という娯楽であり文化が、様々な治療にも役立つ可能性がでてきていることに感銘を受けました。

そんな「ミュージックリカバリー」の1つ目の事例は、「カラオケでリカバリー」です。介護施設でもカラオケが行われているところはよく耳にしますがストレス解消や入居者の交流だけでなく認知症予防の効果も期待されているようです。カラオケなんて、といっては語弊がありますが、飲み会の二次会で楽しいものとして接してきた行動が健康につながる習慣としてもっともっと定着していけば、ややもすると面倒くさいイメージがある健康習慣そのものが、もっと楽しい行動として当たり前になっていく未来を想像するとちょっとワクワクしますよね。

2つ目の事例は、「作曲でリカバリー」です。近年になって、リスキリングに注目がされプログラミングを学ぶ高齢者も増えてきているようです。それと同様に、AIを使ったクリエイティブな活動として作曲も簡単にできるようになってきているようです。そんな作曲活動による認知症への効果が期待され、その効果を検証するプロジェクトも開始されているようです。(※)2025年になって、ますますAIのニュースを目にすることが増え、いよいよAI生活の様々なシーンでもっと身近になる日が近づいているように思いますが、まさに作曲という一部の人の限られた能力のように思われてきた時代から一変、テクノロジーがいい意味で楽しさと「健康」を社会に新しくインストールする動きだなと感じます。
※認知症予防プログラム 音会 / OTOKAI  https://www.otokai.jp/

3つ目の事例は、「寝ながらイヤホンでリカバリー」です。通称「寝ホン」というようなのですが、眠る際につけていても痛くなく快適に寝落ちできる睡眠専用イヤホンが発売されているようです。たしかに個人的にも、なかなか寝付けない日はなぜか無音が気になってしまってスマホをみてしまい、目が冴えてさらに寝られなくなる……といった悪循環に悩まされることもしばしば。そんな時にこのツールがあると、音楽による入眠・リカバリーが促進されてとても良さそうだなと思いました。実際にも、「寝ながらイヤホン」での検索数が、2021年以降徐々に上昇傾向であることがわかります。

「寝ながらイヤホン」の検索数推移

出典:Googleトレンド

ではなぜ、このように「ミュージックリカバリー」に注目が集まっているのでしょうか。1つはコラムの中でも述べてきましたが、「音楽」というほとんど誰もが一度は人生で親しんだことがあるであろう身近な「楽しさ」があるからだと思います。どんなに健康習慣を改善しないといけないとわかっていても、そんな正しさだけで自分を変えられるものではありませんよね。(僕もお腹の脂肪を落とさなければならないのに、なかなか運動できていません)。次に、テクノロジーとの相性の良さがあると思います。イヤホンの事例しかり、AIの事例しかり、音楽はそのシンプルさ故に、テクノロジーと様々な握手ができる文化でもあると思います。これからテクノロジーが生活を変える時代に、音楽がその楽しさだけでなく、リカバリーという効果も伴って、社会にひろがっていくことができると感じます。

さらに、「ミュージックリカバリー」のビジネスチャンスについて、考えてみたいと思います。

「ミュージックリカバリー」のビジネスチャンス例
■楽しみながら治療する音楽療法のきっかけに「ミュージックリカバリーフェス」
■パーソナライズされた「ミュージックリカバリープレイリスト」を提供
■あらゆるミュージックリカバリーを体験できる「旅行プラン/ホテル宿泊」を販売

自分の気分を変えるための存在として音楽と接して来ましたが、これからは健康習慣を変える存在として注目してみたいと思います!最近はなぜかわかりませんが、昔のロックをまた聴き始めました!

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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  • 博報堂 PR局
    ヒット習慣メーカーズ メンバー
    車からお菓子に至るまで様々なクライアントの情報戦略、企画立案に携わる。運動不足でたるみきった体と気持ちを鍛え直したいと思い、筋トレを始めました。