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スポーツ観戦の新たな楽しみとマーケティング機会を創出|DAZN×博報堂が開発した「スポーツ感情スコア」
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スポーツ観戦の新たな楽しみとマーケティング機会を創出|DAZN×博報堂が開発した「スポーツ感情スコア」

DAZNと博報堂は共同で、スポーツ観戦時の感情可視化により生活者に新たな視聴体験を届けるとともに、感情を起点にした広告クリエイティブ創出を目指して取り組んでいます。2026年2月にはAIを活用し、スポーツ観戦時の感情を可視化する独自のスポーツ感情スコアを開発。本スコアの開発メンバーである、DAZNの大島久之介氏、博報堂の橋爪慎一郎、植田裕貴に、「スポーツ感情スコア」の可能性と今後の展望についてききました。

関連リリース:博報堂とDAZN、AIを活用しスポーツ観戦時の感情を可視化するスコアを開発
 

きっかけは観戦時に感じた「幸せ」。新たな指標でスポーツの価値を可視化したかった

-「スポーツ感情スコア」は、スポーツ観戦時の感情を可視化する試みですが、この取り組みがはじまった背景を教えてください。

橋爪
DAZNへの自主提案でスタートしたのですが、発案のきっかけはいたってシンプルなものでした。自分はスポーツを見ているとき、すごく「幸せだ」と感じていたんですよね。再生数を目的としたコンテンツがあふれている世の中において、スポーツは筋書きのないドラマなんです。狙ってつくられたものが多くなるほど、スポーツの価値はあがっていくし、そのスポーツに特化しているDAZNはすごくパワーのあるプラットフォームだと考えました。

実際に、DAZNと博報堂が2025年4月に実施した調査では、約9割の人が「スポーツコンテンツ視聴が生活や人生のモチベーションを上げている」とともに「スポーツコンテンツ視聴が心の健康や幸福にポジティブな影響を与えている」と答えています。見て幸せだと感じる、スポーツはそれくらいすばらしいコンテンツだし、新たな指標をつくることでその価値を可視化させたいと考えたんです。

DAZNと博報堂によるスポーツコンテンツ視聴に関する調査結果より 

大島
もともとDAZNは「CONNECT WITH FANS' EMOTION」というプロポジションを掲げていて、「スポーツファンの感情とつながる」ことをマーケティングの価値としてきました。橋爪さんのご提案は、感情とつながるための具体的な手法を模索するチャレンジでしたので、ぜひご一緒したいと思いましたね。

-「スポーツ感情スコア」とはどんなものか、あらためて教えてください。

植田
試合のなかで観客の感情がどれだけ動いたかを数値化するもの。感情というと生体データを取るように思われるかもしれませんが、そうではなく、スタッツデータ※1をもとに、DAZNの配信から得られる情報を使って独自にスコア化しています。具体的には、試合映像や音声に加え、プレー位置やアクションなどさまざまなデータを使用しています。
試合展開のドラマ性や細かなプレー内容など複数のデータを掛け合わせることで、感情を揺さぶるプレーが生まれるほどスコアが高くなるよう設計されています。
先日、取り組み第一弾として、鹿島アントラーズの2025年全38試合(対象:明治安田J1リーグ)の「スポーツ感情スコア」を算出しました。

※1 博報堂のグループ会社であるデータスタジアム株式会社が独自に集計した、選手名、アクション名、プレー位置等のデータ

「スポーツ感情スコア」によって、アーカイブ試合にも新たな価値が生まれる

-鹿島アントラーズ全38試合の分析で得られた気づきなどあれば教えてください。

植田
年間で最も高いスコアとなったのは、5月11日に国立競技場で行われた川崎フロンターレ戦。つまり、この試合が1年のなかでもっとも観客を熱狂させた試合ということになります。試合内容を振り返ってみると、国立競技場という特別な会場で行われた試合であったこと、早い試合展開のなかでシュートが多く発生したこと、試合後半まで激しい攻防があったことなど、感情を盛りあげる要因が多くあったことがわかりました。スコアの高さと試合内容にブレがなかったことは、テクノロジー担当として正直ほっとしましたね(笑)。

大島
年間のランキングを出してみると、優勝が決まった試合のスコアがもっとも低いこともわかりました。
意外な結果でしたが、紐解いていくと鹿島アントラーズがワンサイドゲームで勝った試合だったんですね。やはり観客には両チームのファンがいますので、2チームが拮抗している試合の方がより感情が動く。そういった意外性や、新しい楽しみ方も提供できるデータだと感じました。
橋爪
優勝が決まった試合よりもっと盛りあがった試合があれば、そちらを振り返って観ることもできる。つまり、これまでスポットが当たらなかった試合も注目される可能性があるということですよね。スポーツの試合はアーカイブになるとなかなか観られなくなることが多い中で、新たな価値が生まれる可能性を感じました。
感情の盛りあがりが高いプレーを可視化できると、たとえばハーフタイムの間に前半いちばん熱狂したシーンをリプレイできたりするサービスがDAZNで楽しめるといった視聴体験のアップデートにもつながりますよね。

データにアイデアやストーリーを掛け合わせ、新たな視聴体験をつくり出す

-ほかにも生活者の体験としてアップデートできそうなことはありますか?

大島
コアなスポーツファンのなかには、選手の動くスピードやシュートの成功率などのデータを見ながら観戦を楽しんでいる方がすでにいらっしゃいます。そういった層には、試合運びといっしょに「スポーツ感情スコア」の折れ線グラフのようなものを提示することも新たなデータの提供になる。見ている試合で、スコアの高いシーンをその場で見返すなど、これまでにない見方を楽しんでいただけると思います。

植田
視聴者としては、スマホで一人で観戦していても、ファン同士のつながりを感じたい、思ったことを共有したい、という心理があると思います。スポーツ感情スコアは共感したい想いを可視化・言語化する手段のひとつになり得ますし、盛り上がりを知った新しいファンを引き込むきっかけにもなると考えています。DAZNのインターフェース上でファンダムがつながる体験をつくれたらと構想しているところです。
橋爪
DAZNではスタジアムとスマホでの観戦を分けて考えていないというのが素晴らしいところ。ふつうに考えたらスタジアムの方が熱狂が高そうに思えますが、「いやいや自宅で見ている側(俺ら)だって負けていないよ」というように、スタジアムとDAZN視聴者をコネクトするようなチャレンジもしてみたい。
極論、データは数字でしかないので、これをどう活かすかはアイデアやストーリー次第なんですよね。だからこそあまり制限なく自由に発想して、DAZNで見る意味や価値をつくっていきたいと思っています。

感情の「質」まで解析できれば、マーケティング価値はますます高まる

-生活者にとっての価値を高めることはもちろん、マーケティングへの活かし方にはどんな可能性を感じていますか?

橋爪
現在実装できているのは、感情の「量」の解析。気持ちが盛りあがっているか、落ち着いているかという部分ですね。一方、感情には「質」もある。「質」というのは、ドキドキ・ハラハラしているとか、爽快な気分になっているといった感情の種類のことです。これはいま、ラッセルの感情円環をベースに分析を進めているところ。質まで可視化できるようになると、さらにマーケティングにおける価値が高まると考えています。

*ラッセルの感情円環…快-不快、覚醒-鎮静の二次元上の軸に各感情を円環上に付置することで感情全体を包括したモデル。

大島
たとえば、ゴールが決まって盛りあがっているタイミングで「ビールで乾杯しよう」という広告が出るなど、熱狂と広告の相性のよさはイメージしやすいですよね。でも実際にはさまざまなブランドや商品があり、すべてが熱狂だけを狙ってマーケティングしたいわけではない。心が落ち着いているときや悔しい気持ちのときなど、感情に応じたコミュニケーションのチャンスがあるはずです。
その感情の質を数値で解析することができたら、新しいマーケティング手法が生み出せると考えています。

-感情の質をデータの裏付けを持って捉えるということですよね。たとえば「怒り」の感情のときに相性がよさそうな広告はありますか?

橋爪
失点したり、負けてしまったりしたときですよね。たとえば転職サイトの広告などスイッチアプローチにも向いているかもしれないです。「もう、やってられない!」みたいな気持ちに乗せていく(笑)。どんな感情にどんなマーケティングチャンスがあるか、チームでワークショップをやりながら考えています。
植田
比較的おだやかで感情の起伏がないときには「いまのうちに目薬をさして大事なシーンに備えよう」という広告を出したり、試合運びがピンチのときに保険商品の広告を出したり…。アイデアを出すときはすごく盛り上がりますよね。感情とマーケティングをいかに接続するか、そのメソッド化のために知見を積みあげているところです。

DAZN×博報堂のタッグで、コンテンツドリブンなマーケティングを推進する存在に

-AIで感情を可視化する、というとテクノロジーの側面に光が当たりがちですが、データをいかにマーケティングに活かすかは、広告のクリエイティビティやファンダムを知り尽くしたDAZNの知見が重要ということですね。

橋爪
まさしくその通りですね。テクノロジーとストーリーが掛け合わさる「点」を探すのが僕ら博報堂の仕事。クライアントの企業価値に貢献できるストーリーをいかに描けるかがクリエイターの腕の見せどころだと思っています。
大島
我々は、橋爪さんのようなクリエイティブのプロ、植田さんのようなテクノロジーのプロ、そしてスポーツファンダムのプロであるDAZNメンバーで構成されたチーム。DAZNだけではなしえなかった相乗効果が生まれていると日々感じています。

-さいごに、DAZNと博報堂、それぞれの視点で今後の展望についてきかせてください。

大島
「スポーツ感情スコア」を数値化するところまでは実現できましたので、今後は広告商品として企業様のマーケティングに活かすフェーズに本格的に取り組んでいきたいと考えています。昨年からスタートした「Moment Booster※2」というサービスは、おかげさまで大変好評をいただいています。
直近では「FIFAワールドカップ2026」の配信権を獲得しましたので、そこで日本代表ファンに向けた「感情に連動したコミュニケーション」にチャレンジしていきたいですね。

※2 Moment Booster・・・試合の中で熱狂モーメントが生まれると、観戦画面に「Moment Booster」が発動し、SNSから熱狂をシェアすることが可能に。ファンが見たいモーメント動画に移るまで、3秒尺の広告クリエイティブをプレロール配信する。

橋爪
僕らの活動はスコア化が目的ではなく、スポーツと感情の掛け算で新しい価値を生み出すことがテーマです。スコア化はその手段のひとつでしかありません。
これからはコンテンツドリブンなマーケティングの時代がくるはず。小さな差別化でパイを奪い合う広告ではなく、「ノンアルコールの文化を楽しもう」「新しいフードデリバリーの世界を楽しもう」といった新たなマーケットをつくることが求められています。
それには、拡散力の大きいメディアと時間をかけて取り組むことが重要だと思います。
DAZNは、人の感情を揺さぶるスポーツに特化したメディアです。このコンテンツドリブンマーケティングという側面でも、大きな推進力になってくださると確信しています。
植田
マーケティングの側面はもちろん、生活者にとっての新たな視聴体験の創出にもチャレンジしていきたいですね。先ほどお話しした感情の「質」の解析が可能になれば、スカッとしたい時にみたい試合、ドキドキ・ヒリヒリしたいときにおすすめの試合など、感情に合わせたサジェストを出すことも可能になります。これまで映画や音楽では感情に合わせたおすすめが提案されてきましたが、スポーツでもそれができるようになったらおもしろいですよね。
橋爪
あとは、これまでサッカーしか見ていなかったファン層が、「ラグビーにすごいスコアの試合があるから見てみよう」と興味を示したり、感情スコアを通じて他のスポーツにも興味を持ってくれたりしたらうれしいですね。DAZNはさまざまなスポーツの配信を行なっているので、競技を超えてスポーツの魅力を発信することができると思います。
大島
そうですね。マーケティングの側面でも、新しい視聴体験という意味でも、スポーツ×感情の可能性を追求していきましょう。

※肩書は取材当時のものです

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  • 大島 久之介氏
    大島 久之介氏
    DAZN Japan Investment
    バイスプレジデント ブランドストラテジー
    スポーツメディア、スポーツマネジメント会社を経て2018年にDAZN Japan入社。国内のスポーツウェブメディア、インフルエンサーとのパートナーシップ構築、運用に従事した後、現在のポジションでは、コンテンツの新規開発及びマネタイズと広告戦略プランニングを統括。
  • 博報堂 コンテンツクリエイティブ局
    クリエイティブディレクター / ケチャップ リーダー

  • 博報堂 CXクリエイティブ局