ヒット習慣予報 vol.339『バッグでセルフプロデュース』
こんにちは。ヒット習慣メーカーズの中林です。
ちいさなバッグが好きです。
手のひらサイズのミニバッグをお店で見つけると、絶対あめちゃんしか入らないじゃんこれ……などと心のなかでつっこみながら、ついつい手にとってしまいます。ポケットはパンパンになりますが、かわいいのです。
とまあ、人それぞれ好みはありつつ、バッグは個性を表現するアイテムの一つですよね。
近頃、街でバッグにキーホルダーを付けている若者をよく見るので調べてみたところ、セットでの検索数が急増していました。
そこで、若者たちはバッグを使ってセルフプロデュースをしているのではないか、という見立てをつけ、その心理を探ってみました。
▼「バッグ・キーホルダー」の検索数推移
ひとつ目は「コスメのキーホルダー化」。
主にリップやチークなど、小さめのコスメをバッグにつけて持ち運べる、コスメ専用キーホルダーが人気です。リップはパッケージや見た目のデザインで購入する人も多いため、視界に入る場所につけておくことでテンションがあがります。それに加えて、自分が好きなブランドを周囲にアピールすることができるため、セルフプロデュースツールとしても効いているのです。また、その日のメイクのトーンや、気分によって持ち運ぶリップを変えられるのもたのしみのひとつ。コスメはポーチにしまって持ち運ぶものだけでなく、見せて好きをアピールするツールとしても活用されてきていることがわかりますね。
つぎに「ネームタグ」です。
ネームタグと言うと盗難防止や防犯のためと思われがちですが、いま流行っているのは、自分の好きを表現するためのネームタグ。自己紹介要素をたくさん詰め込むことで、セルフプロデュースのツールとして使われているのです。オリジナルのネームタグをつくれるショップが人気で、名前だけでなく様々なモチーフやパーツを組み合わせ、色や形にもこだわり、自分を表現することができるのです。ちなみに、ネームタグに推しの情報も入れて持ち運んでいる友人は、推しが変わるごとにネームタグを作り変えると言っていました。もはや名刺ですね。笑
そして最後は「じゃらじゃらバッグチャーム」です。
好きなものをとにかくたくさんつけてバッグをジャラジャラさせる若者が増えています。ガチャガチャのキーホルダーをつけたり、好きなブランドのチャームをつけたり、布を巻いたり、ぬいぐるみをつけたり、なんでもアリです。近頃、バッグにつけるチャームを手作りできるスポットが街に増えたり、ハイブランドもバッグチャームのコレクションを作ったり、と、選択肢の幅もどんどん広がっています。
では、なぜ若者は、バッグでセルフプロデュースをするようになったのでしょうか?
まず考えられるのは、セルフプロデュースの場がオンラインからリアルへと逆輸入的に広がっている、ということです。デジタルネイティブ世代は、いままで自分の世界観をSNS上で作り込むことで、他者とつながったりセルフプロデュースをしてきました。現実世界でも、自分の“好き”や世界観をアピールしたいという意思が強まり、それがバッグに表れているのではないでしょうか。また、平成レトロブームによって、キーホルダーの人気が高まっていることも関係していそうです。若者たちは、人と被らない、自分の個性を表現できるアイテムを見つけることに喜びを感じ、さらにそれを持ち運ぶところまでセットとして楽しんでいるのです。
広がりつつある「バッグでセルフプロデュース」について、新たなビジネスチャンスを考えてみました。
「バッグでセルフプロデュース」のビジネスチャンスの例
■会社で使う社員証もチャームがつけられるなどセルフプロデュースツールにする
■キーホルダーなどの飾りをつけやすい、アレンジに特化したバッグを開発する
■ついているチャームで性格を占ってくれるバッグ占いを新大久保でやる
一目惚れして買ったまま眠っている、ぬいぐるみのキーホルダーがいくつかあったことを思い出しました。これを機に、バッグにつけてみます。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
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博報堂 クリエイティブ局
ヒット習慣メーカーズ メンバー2021年博報堂に入社。一人前のマーケティングプラナーをめざして毎日修行中。いわしが好きです。髪が長いです。