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「じぶんトレーナー」 拡張体験デザイン協会Good Experience Design Award 2024 受賞インタビュー
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「じぶんトレーナー」 拡張体験デザイン協会Good Experience Design Award 2024 受賞インタビュー

博報堂DYホールディングスが開発した、従業員自身の3Dアバターによる健康サポートプログラム「じぶんトレーナー®️」。本プログラムが、国立研究開発法人産業技術総合研究所が民間企業等と設立した「拡張体験デザイン協会(Design Association of Augmented Experience 以下DAAX)」による「DAAX Good Experience Design Award 2024」を受賞しました。産業技術総合研究所人間拡張研究センター主任研究員大山潤爾氏よりトロフィー・賞状の授与とあわせて、受賞したメンバーへインタビューいただきましたので、ご紹介いたします。

Good Experience Design Award 2024授与式&受賞インタビュー
作品名:じぶんトレーナー 受賞者:株式会社博報堂DYホールディングス
2024年5月28日

大山氏
受賞おめでとうございます!「じぶんトレーナー」、とても革新的で面白いアプリケーションですが、どのような経緯で開発を始められたのですか?
松本友里
ありがとうございます。元々は、健診データをもとにヘルスケアをエンターテインメント化した「健診戦」というプログラムを開発していまして、健康に無関心な人をいかに動かすか…というテーマに取り組んでいました。その延長で、無関心な社員を動かす方法を探っている中で、いまVRがトレンドなので掛け合わせて何か面白いことができないかと考えていたのと、健康で自分に向き合うときに、健康診断の数値よりも「痩せたい」だとか「かっこよくなりたい」「かわいくなりたい」といった見た目から健康を意識することが多いなと思っていました。それで、自分を俯瞰して表現できる3Dアバターとの相性がいいでは?と思ったのが、「じぶんトレーナー」の開発のきっかけです。
中島優人
もともとファッション分野で、アバターを使ってバーチャル試着をする「じぶんランウェイ」というものをやっていました。ヘルスケア分野でもできそうだなと思っていたのもあって、タイミングよくヘルスケア的な流れとアバターの流れが合わさった感じですね。

大山氏
「じぶんトレーナー」の特長、工夫した点について改めて教えてください。
松本
ポイントは3つあって、1つ目は、健康診断の会場でスキャンして自分の身体をすぐに3Dアバター化できるというところです。しかしそれだけでは行動変容までいかないと思ったので、2つ目の工夫として、その場でGIFスタンプを配布したところ、社内で話題になり、特に若い社員の間で自分のアバターが動いているスタンプを送りあう文化が生まれて、話題が作れたというのがあります。3つ目の工夫は、もっと自分の身体を見つめて行動変容に…というところで、後日、自分の「理想の姿」と「さぼっちゃった姿」を、アバターの体型を加工して見せました。また、理想の体型になったトレーナーがエクササイズを教えてくれるサイトを公開しました。本来は自分でチューニングするのが理想ですが、今回は簡易的に「現状」「ちょっと瘦せた」「もっと痩せた」「ちょっと太った」「だいぶ太った」の5段階に分けて設定し、選んでもらうという形にしています。1300人のアバターが作れたので貴重な身体のデータです。京都大学と共同研究をしていまして、学術的に研究できるようにデータを共有分析していただいています。
大山氏
分析データについては、今回の受賞において、体験の効果を定量的定性的に分析されている点も高く評価させて頂いたポイントです。時間や予算が限られる中、しっかり効果を分析するのは大変なので、十分体験の効果や価値を分析できないままに次々新しく開発してしまいがちですが、XRの技術の説明ではなく、体験者の声や行動変容からどのような体験になっているかを説明できることは、XRによって拡張された次世代の体験産業において、とても重要だと考えています。

垣屋有葉
ありがとうございます。どこに効果があるのかというのをはっきりさせたいと思いました。健康な人が興味を持ってくれるのか、そうでない人が興味を持ってくれるのか、アバターを見るだけで効果があるのか、怠惰な体型まで見ると効果があるのか…細かく検証したいと思って調査項目を分けています。健康な人よりも、数値的に見ると少し不健康気味とも言えるけれど潜在的に健康に興味のある人たちが運動したくなった、という回答が高く出ていました。元々は、運動している自分を見て運動したくなるという効果を狙っていたのですけど、素の自分の姿にインパクトを感じている方が多くて、アンケートで「背中って見たことないけど意外と太ってるんだ」とか「10年前と全然違う!」とかのコメントがいくつかありました。
大山氏
DAAXでは、まさにそうした体験の設計や評価をされている新しい体験を応援していきたいと考えています。今後の取り組みにも注目したいですが、オープンにできる範囲で教えて頂けますでしょうか? 
松本
今は集めたデータを使って効果検証をしていますが、今後は実験レベルではなく社会実装できたら…と考えています。ヘルスケア分野だけでなく、XRとしてメタバース空間の中でアバターデータを使う方法や、健康診断以外に自分の身体を考える場やサービスとの親和性など、もう少し広げて展開を考えてみたいと思います。

大山氏
ありがとうございました。受賞おめでとうございました!

※DAAX会員向け記事から転載したものです。

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  • 大山 潤爾 氏
    大山 潤爾 氏
    産業技術総合研究所 人間拡張研究センター 主任研究員

  • 博報堂 
    ミライの事業室 事業開発部
    ビジネスデザインディレクター

  • 博報堂
    生活者エクスペリエンス局
    エクスペリエンスディレクター

  • 博報堂DYホールディングス
    統合マーケティングプラットフォーム推進室
    アソシエイトデータサイエンティスト