ヒット習慣予報 vol.257『真冬のぬくぬくアウトドア』
こんにちは。ヒット習慣メーカーズの永井です。
いきなりですが、今年の冬って寒くないですか?私は普段、雪深い北海道に住んでいるので日頃から身も震えるほどの寒い思いをしているのですが、ここ一ヶ月、流行りのワーケーションに乗っかって東京や関西、四国、沖縄など全国各地を飛び回ってみると、全国的にも以前より寒くなっている気がします。旅先で出会った方々も、一昨年より去年、去年より今年と、年々寒くなっている気がすると口を揃えていましたし、テレビでも「◯十年に一度の大寒波」のようなニュースを頻繁に目にしますよね。ただ、実際の気象データを見てみると、平均気温の経年変化は言うほど大きくはなく、一部の専門家からはむしろ暖冬傾向にあるとも言われております。
そんなはずはないだろう!と思いながら、Googleトレンドで「寒い」を検索してみると、当然のごとく毎年冬にスパイクしていますが、2020年からその規模がだんだんと大きくなり、今年はより一層大きくなっていることがわかります。「寒い」実感している人が増えていることのあらわれでしょうか。
また、それと比例するように「暖かい」や「防寒」などのスパイクも大きくなっています。そこで、さらに詳しくリサーチしてみると、さまざまな防寒や温活アイテムを駆使し、あえて屋外に出てぬくぬくするのを楽しむ生活者が増えていることがわかりました。そこで、今回のテーマを「真冬のぬくぬくアウトドア」と題して、注目の防寒アイテムとともに冬のアクティビティの新たな兆しを見ていきたいと思います。
まずは、「アウトドアこたつ」です。
今、こたつが再注目されています。昔ながらの住宅にあり、一家団欒の心象風景がありますが、昨今のレトロブームをキッカケに再注目されたようです。そしてここ最近、豆炭を熱源にしたものや輻射熱(ふくしゃねつ)だけで足元を温めてくれる布団レスの進化系こたつが続々と誕生し、特にキャンプなどのアウトドアシーンで楽しまれているのです。なかには、サップボートの上にこたつを乗せ、川の上でたこ焼きを楽しむといった、一風変わったアクティビティも注目を集めています。
次は、「電熱ベスト」です。
防寒対策として、スーツの中に薄手のダウンベストを着るのはすっかり定番化しましたが、最近では電熱ヒーターが内蔵したインターベストが注目を集めています。バッテリーが内蔵され、USBで簡単に給電できるので、屋内で羽織るのはもちろん、釣りやキャンプといったのんびりとしたアクティビティで大活躍しているそうです。細かな温度調節機能がついているものから、日常生活でも使えるカジュアルテイストなものまでラインナップも幅広くあり、自分の身体を効率よく温められるアイテムとして人気のようです。
最後は、「DIY露天風呂」です。
雪国に住んでいる方は共感いただけるかと思いますが、真冬の露天風呂って最高ですよね。寒さで髪の毛が凍りながら、熱々の湯船に入るのは実に気持ちがいいですが、そんな露天風呂を自分で作って楽しむ人がSNSで散見されました。サウナ好きが、真冬のテントサウナの延長線上として始めたものだと思いますが、キャンプ場や湖のほとりで楽しまれています。自作の湯船にたっぷり浸りながら、真っ白な冬景色を眺めるのは、想像しただけで癒やされそうです。今後はキャンプファイヤーのような真冬のアウトドアの風物詩になるかもしれません。
このように真冬のアクティビティは新たな兆しを見せているわけですが、なぜ今、盛り上がりを見せているのか。
一つは、巣ごもり生活からの解放です。コロナ禍も相まって巣ごもりする時間が増え、いかに家ナカで暖かく過ごすか模索していた数年間でした。しかし、コロナが落ち着きを見せ始めてきた今、生活社の消費の矛先が内から外へと、外出機運が一気に高まったからでしょう。
もう一つは、「何もしないことは贅沢」という意識が高まっているからだと思います。「暇キャンプ」という自然の中でただぼーっとするキャンプが注目されたり、銭湯などのお風呂文化が人気を集めているのも、日常の煩わしいコミュニケーションがなく、サイレントに物事を楽しめる点が若者を中心にウケています。そして空前のアウトドアブームの中、冬のアクティビティもウィンタースポーツのようなアクティブなものから、より受け身で楽しめるコンテンツが受け入れられているからだと考えます。ぬくぬくには、何も考えずぼーっとできる贅沢さがあるのではないでしょうか。
最後に、「真冬のぬくぬくアウトドア」のビジネスチャンスについて、少し考えてみました。
「真冬のぬくぬくアウトドア」のビジネスチャンスの例
■既存のアウトドア商品に、簡易ヒーターなど温める装置や機能を搭載。
■冷えの症状に最適な防寒・温活アイテムをレコメンドしてくれる診断サービスの開発。
■電熱ウェアやその他のギアがIoT化し、自動で効率的な温度調節をしてくる体温マネジメントアプリの開発。
など。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
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北海道博報堂 / 博報堂生活者エクスペリエンスクリエイティブ局
ヒット習慣メーカーズ メンバー2018年北海道博報堂に入社し、マーケティング職に従事。2021年から博報堂生活者エクスペリエンスクリエイティブ局に複属。アンダーグラウンドからメインストリームまで、新たな生活者インサイトを発掘すべく、日夜どこかの街を徘徊している。