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【第1回】各業界からスペシャリスト達が結集、新組織「ショッパーマーケティング事業局」とは
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【第1回】各業界からスペシャリスト達が結集、新組織「ショッパーマーケティング事業局」とは

博報堂は2021年10月、ショッパーマーケティングを専門とする新組織「ショッパーマーケティング事業局(SMK局)」を設立しました。SMK局立ち上げの経緯や組織の雰囲気、提供するサービスの独自性、チーム間の連携体制などについて、同局に所属する井上、桑嶋、堀江、福家の4人に聞きました。

井上 元作
メーカーDX推進グループ トレードマーケティングチーム
桑嶋 剛史
メーカーDX推進グループ コマース(EC)チーム
堀江 亮平
リテールDX推進グループ
福家 実明
プロダクト事業開発チーム

多彩な人材から成り立つ、前例のない新組織

――まずはじめに、SMK局がどういった部署なのかを教えてください。

桑嶋
去年新設された部門で、ショッパーマーケティングを推進するための専門組織です。コマース(EC)対応チームとトレードマーケティングチームからなるメーカーDX推進グループ、リテールDX推進グループ、買物研究所、プロダクト事業開発チームの4グループ・5チームがあります。
現在合計で30数人が在籍していますが、そのうちプロパーの社員は6人だけです。外部からスペシャリスト人材を大量に採用して立ち上げた部門であり、博報堂としても前例のない取り組みだと思います。

――現在担当している業務内容と、これまでの経歴を教えてください。

井上
メーカーDX推進グループのトレードマーケティング対応チームに所属している井上です。私は、新卒でコンサルティング会社に入社し、流通・小売や金融業界へのコンサルティングを合計で10年程担当してから、大手飲料メーカーに転職してコンビニエンスストア向けのマーケティングや製品開発、ブランドマネージャーなどを、こちらも約10年経験しました。博報堂には2022年6月に入社しました。
私たちのチームは本当に何もないところからスタートしていて、現在はクライアントのトレードマーケティング領域における課題解決のお手伝いや、博報堂独自のソリューション開発などに注力しています。 その成果の1つが、2022年の11月にリリースした「配荷方程式」です。配荷方程式はクライアントである消費財メーカーの売上成長を支援するトレードマーケティング分析ソリューションになります。

桑嶋
メーカーDX推進グループで、EC専門のマーケティングを行うコマース(EC)対応チームに所属している桑嶋です。肩書きはビジネスコンサルタントになります。業務内容はクライアントのECビジネスの事業戦略の作成や、事業プロデュースをして売り上げを伸ばす支援をすることです。
2015年に博報堂に新卒で入社しまして、本日の参加メンバーでは唯一のプロパー社員になります。入社後は営業部門、データ系のプランニング部門を経験してから当部門に異動しています。我々コマース(EC)対応チームは、HAKUHODO EC+といった対外組織のメンバーでもあり、SMK局立ち上げに当たってチームごとジョインした形になります。

堀江
リテールDX推進グループ所属の堀江です。10年程デジタルマーケティング領域でメディア営業やメディアプランナー等を経験し、直近では印刷会社でリテールDX・メーカーDXの推進に携わりました。博報堂には2022年7月に入社し、現在も同領域の推進に取り組んでいます。
リテールDX推進グループでは、小売企業が保有している様々なデータを活用したリテールメディアの開発やDXソリューションの開発、メーカー企業に対するリテールデータを活用したデジタル販促の支援等を行っています。

福家
プロダクト事業開発チームの福家です。私は2017年にネット専業の広告会社に入社して、2年半程データアナリストとして広告の効果検証に携わりました。その後、通信会社でデータビジネスやアプリケーションの企画などを担当しました。博報堂に入社したのは2022年10月です。
現在、販促コマース領域で新サービスを開発しています。例えばリテールのID-POSデータや簡易マスターデータ、ライフスタイルに関するデータなどを組み合わせて健康状態をスコア化するSaaSサービスの開発に取り組んでいるところです。

――今回キャリア入社された皆さんがSMK局の募集に応募しようと思われた理由は何でしょうか。

井上
第一に、飲料という成熟した分野で長くビジネスをやっていたので、新組織での新しい事業、取り組みに魅力を感じました。
もう1つの理由が、前職で博報堂と一緒に仕事をする機会が多くあった中で、生活者に対する理解や戦略作りに長けていると感じていたことです。そんな博報堂が新たな領域でビジネスをやろうとしていることを知り、「今まで培った自分のノウハウと博報堂の資産を掛け算できれば、他と違うことができるのではないか」と思って応募しました。
堀江
私は前職でも現在の業務と同じくリテールDX・メーカーDXの支援に取り組んでおり、直近は新たなリテールメディアの開発に携わっていました。開発に取り組む中で、このメディアは生活者の買物行動において、ある一部分の要素にしか過ぎないと感じ、もっと広く買物行動全体に対して変化を生み出し、リテール企業、メーカー企業の課題解決に向き合いたいと思うようになりました。
SMK局はテレビ広告での認知からアプリやWeb広告、店頭・そして購買までフルファネルの課題解決を支援するというビジョンを掲げていました。そうしたビジョンに共感し、ここなら自身の視野をさらに広げられると考えて応募しました。
福家
小売・流通のデータ規模に可能性を感じていたことと、それを博報堂の企画力と組み合わせれば新たな顧客体験を作れるのではないか、と感じたのが転職の理由です。
前職では事業会社のデータビジネスに関わっていたのですが、自社の1stパーティーデータを外部向けに製品化し収益化すること、また製品化を自社が保有するデータのみで実現することに難しさを感じていました。データ保持しているのみではなく、そのデータにどう付加価値をつけていくのかを試行錯誤していく重要さを感じ、生活者に寄り添ってビジネスをし続けている博報堂、かつ小売流通出身の専門家がいるSMK局なら実現できると考えました。

――博報堂が「ショッパー領域に取り組んでいる」というイメージはありましたか。

井上
以前から、「博報堂買物研究所」の存在は知っていました。前職の飲料メーカーはカテゴリーのリーダーだったので、コンビニエンスストアに対してプレゼンをする際、消費動向などについて意見を求められる機会が多くありました。その際にショッパーの動向やトレンドについて調べていると、買物研究所の資料に行き着くことが何度かあったんです。
ですからSMK局の募集を見た時に、ショッパー領域をより強化していることに意外性はありませんでした。
福家
私の場合、前職ではショッパーマーケティングに携わる仕事をしていたわけでもなかったため、イメージはありませんでした。しかし、採用ページを見たり、面接で話を聞いていくうちに博報堂がショッパー領域を強化していることを知り、自分も携わってみたいと思うようになりました。
堀江
私も正直そこまでの印象は持っていませんでした。ですから、新たに組織を作って強化すると知って驚きました。新組織の組成を行い、新たな市場領域の拡大にチャレンジしていくことに凄く興味を持ったという次第です。
井上
メーカー側でトレードマーケやショッパーマーケを担当しているのは営業寄りの部署であることが多いです。宣伝部やマーケティング部では「困ったら博報堂に声をかけよう」と考えるくらいの認知がある一方で、営業部門の場合は困ったらコンサル会社などに相談するのが一般的だと思います。ですから、かつての私と同様に、営業寄りの部署の方の多くは、「博報堂に買物研究所があるのは知っているけれど、他に何を頼んでいいかわからない」と感じているのかもしれませんね。
桑嶋
メーカーの方からすると、自社の全体の売り上げが伸びれば、ブランドマーケ・ダイレクトマーケ・トレードマーケと手法は問いませんよね。我々も、もっと一緒にいろいろ考えなくてはいけないと、強く思います。

部署やチームを越えた連携が盛んにある

――実際に入社して、転職前の想定とギャップがあった部分はありましたか。

福家
入社前から専門性の高いチームだとは聞いていたのですが、入ってみると想像以上でびっくりしました。スキルの高いデータサイエンティストやプロダクトマネージャーがかなりの人数在籍していて、システムやモデルの要件定義から実行までを自社で完結できる体制も整っています。「発展途上だろうな」と想定していた部分で、既にかなりの実力があることに驚きました。
井上
それは私も同じですね。アプリ開発まで自社でできることには驚きました。前職で一緒に働いている時にも教えてもらいたかったくらいです(笑)。
堀江
会社全体の中でこの新部署に対する注目度がどの程度であるかについてわかっていない部分がありましたが、非常に期待値・注目度が高く、ますますやる気に火がつきましたね。
入社前は「まずは博報堂の文化を理解し、学ぼう」という意識が強かったですが、リテールDX推進グループは全員がキャリア入社のメンバーで構成されていて、会社の文化を学びつつ、新しい文化を作っていこうという流れもあり、ベンチャー企業のような雰囲気もあるところが、驚きもありつつ、面白みがあるなと感じています。
井上
チームのメンバーのダイバーシティは予想以上でしたね。メーカーやECの実情など、周りの人と気軽に教え合えるんです。部署を超えた部活動も盛んで、仕事外での雰囲気作りも良いなと感じています。
堀江
例えば、メーカー出身者の方から「メーカーの中でどういう風にリテールメディアが捉えられているのか」といったメーカー視点の生の声を聞くことができるのはとても貴重だと感じています。
桑嶋
20~30代の若い人が多いですし、年齢が上だからとか、どこ出身だから偉い、といった空気がありませんよね。いい意味でフラットな環境だな、と感じます。

――部署を越えた交流、というお話がありましたが仕事においても部署やチームを越えた横連携の取り組みは多いのでしょうか。

桑嶋
横連携は凄く盛んだと思います。我々ECチームとトレードマーケティングチームは同じグループにいることもあり、チーム会で様々な状況をシェアしながら、オンオフ統合ワンチームでの支援を行っています。前述の「配荷方程式」も、トレードマーケティング対応チームとプロダクト事業開発チームのコラボと言えるものですよね。
井上
当たり前にしなくてはいけないと思いますね。実際に、あるメーカー企業の案件で、トレードマーケティングの話から、EC領域での取組みに繋がったケースが先日ありました。こういった機会は今後も確実に増えていくはずです。
福家
私も横連携はかなり盛んだと思っています。他チームと連携し、営業経験があるメンバーやリテール出身のメンバーの方に私が持っていない視点でアドバイスをいただけることは本当に有難いですね。
堀江
私が取り組んでいる業務についても、他のチームと連携することで、様々な経験に基づいた他方面からの視点による意見や新しい気付きが得られるので、今までにはなかった幅や深さが出せるなと感じています。例えば、買物研究所と連携して生活者の買物インサイトを基にしたソリューション開発を行っており、自分のチームだけでは得られなかった新たな発想を組み込むことができていると実感しています。
桑嶋
最強のスペシャリスト集団がいて、組織の垣根なくいろいろなことを尋ねたり、連携して提案したりできる、ということですよね。博報堂DYグループ9社横断の戦略組織である「ショッパーマーケティング・イニシアティブ(SMI)」という視点で見た時には、博報堂プロダクツなどのグループ会社の力も非常に大きいと感じます。
井上
セレブリックスのような、常時小売店との接点を持つラウンダーの方が何百人もいるグループ会社があることにも驚きましたね。

SMK局だからこそできる、“三方よし”の価値提供を

――SMK局がクライアントに提供できる独自の価値は、どういったものになるでしょうか。

井上
マス広告から店頭まで一気通貫にマーケティングできるところだと思います。社内のマーケティング部門、クリエイティブと一緒にチームを組んで実行する、という点はクライアントにとって大きな価値があると感じます。こういった取り組みを進め、将来的には店頭基点の話も含めたIMC(統合型マーケティング・コミュニケーション)を作ることができたら、と思います。
桑嶋
IMCを事業者目線で科学し直す、といった具合ですね。
井上
そうですね。クライアントのマーケターは全ての領域を見ているので、一気通貫のプランを欲しています。それも絵に描いた餅のようなものでは駄目で、実際に棚が取れるプランでなければいけません。
堀江
リテールメディア市場において、リテール企業が自らの1st Party Dataを活用したメディア開発を行い、メーカーのマーケティング支援に取り組むという動きがあります。SMK局はこれまで培ってきた広告ビジネスとマーケティングコンサルティングの知見とショッパーマーケティングのノウハウを活かし、リテールとメーカーのそれぞれの立場の課題や主張を理解し、両者の Win-Winを創出する役割を担えると考えています。
桑嶋
リテール、メーカー、生活者にとっての知見がSMK局には貯まっているので、“三方よし”を提供していきたいですね。
井上
メーカーとリテールはWin-Loseになりがちですからね。第三者が入る必要性は強く感じます。

――今後の目標を教えてください。

桑嶋
SMK局は、ショッパーマーケティングという今ホットな領域に、様々なバックグラウンドを持ったスペシャリストが野心を持って集まっている、とても刺激的な環境です。こんなに成長できる場所はないなと感じていますので、お互いに切磋琢磨したいですし、いろいろなものを盗めたらと思いますね。そして私個人としては、ECという枠を超えた、コマースという大きな目線でクライアントのビジネス成長に貢献できたらと思います。
井上
繰り返しになってしまいますが、メーカーの宣伝部やマーケティング部の方が困った時に博報堂に声をかけるのと同じように、営業部の方から声をかけていただける存在になることですね。そのために情報発信を積極的に行って、認知度を高めたいと思っています。
堀江
急拡大しているリテールメディア市場では、多くの企業が業務提携や新たなメディアの開発など、日々様々なリリースを発信しています。SMK局が生活者の新しい買物体験に繋がるソリューション開発や成功事例を創出し、この群雄割拠な現状の中で頭一つ抜け出す存在感を示していけるようになることが目標ですね。
福家
プロマネやデータサイエンティストなどの分野は、社外から博報堂の強みと認知されるまでに至っていないと思うので、その部分の認知度を高めたいと思っています。優秀な人材は十分にいますし、プロダクトを自力で構築する力もあるので、新たなソリューションのリリースを通じて対外的に発信することをしていけたらいいなと考えています。そのために、私も専門家の中の一人として活躍できるよう日々勉強に励んでいるところです。
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  • 博報堂 ショッパーマーケティング事業局
    メーカーDX推進グループ マーケティングプラニングディレクター
    2000年に新卒で国内大手コンサルティング会社に入社以降、金融・消費財・アパレル・小売業界に対するITシステムの開発・導入、BPR、店舗再生、プライシング戦略等多岐にわたるプロジェクトに従事。その後、外資系事業会社において、ブランドマネージャーとしてブランド戦略立案から実践までの実務を経験。2022年6月博報堂入社。現在は、消費財業界におけるコンサルティング業務及び新規ソリューションの開発を担当。
  • HAKUHODO EC+ ビジネスコンサルタント
    博報堂 ショッパーマーケティング事業局
    メーカーDX推進グループ イノベーションプラニングディレクター
    2015年博報堂入社。通販事業の運営チームを経て、現所属。食品・消費財・化粧品を中心に企業のEC支援を担当。米国Kepler社への短期出向後、2020年にチームに復帰。フルファネル型EC支援組織であるHAKUHODO EC+のメンバーとして、ECを軸とした、事業全体やデジタルトランスフォーメーションの戦略作成・コンサルティング業務に従事している。
  • 博報堂 ショッパーマーケティング事業局
    リテールDX推進グループ ビジネスプロデューサー
    ネット専業広告会社にて、メディア営業・プランナーを経験し、多くの企業のデジタルマーケティング課題解決に取り組む。2017年から印刷会社にて、メーカーを中心としたOMOの支援、販促DXの推進業務やメディア開発を含むリテールDXの推進業務を経験。2022年7月博報堂入社。現在は、広告×販促×店頭領域を統合するOMOソリューションの開発や生活者発想に基づくリテールメディアの開発等、リテールDXの推進に従事。
  • 博報堂 ショッパーマーケティング事業局
    プロダクト事業開発チーム データサイエンティスト
    2017年に新卒でネット専業広告代理店に入社し、オフラインとオンラインの統合プランニングと効果検証 の業務に従事した後、2020年より通信会社にて位置情報データのビジネス設計やデータガバナンスを担当。2022年10月博報堂入社。現在は 機械学習モデルを活用したサービス・ソリューション開発の推進業務に従事している。