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ヒット習慣予報 vol.126 『おうち紀行』
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ヒット習慣予報 vol.126 『おうち紀行』

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの馬場です。

明日から7月になります。なんとなく7月に入ると夏が本格的にはじまるような気がしますね。今年は新型コロナの影響もあり夏の計画が立てづらく、なかなか悩ましい状況ですが、例年であれば、そろそろ夏休みの予定を立てはじめるという方も多いのではないでしょうか。

今回のコラムは、そんな夏休みの予定の代表ともいえる旅行について、コロナ禍で新たに広がりつつある「おうち紀行」という新習慣をご紹介します。「おうち紀行」は、自由に旅行を楽しめない中で、少しでも旅行気分を味わうために、SNSやブログで過去の旅行を振り返って紀行(旅行中の行動や感想を記すこと)しなおす習慣です。

たとえば、SNSであれば過去の旅行で撮った写真に感想などをつけて投稿、ブログであれば行程やその時の感想などもつけて詳細に我流の紀行文を書いて投稿します。これだけ聞くと、普段の旅行に行った時の投稿と大きく変わらないと思われるかもしれませんが、ハッシュタグなどを付け、お互いの紀行を共有しあう前提であることで投稿内容に変化が生まれています。具体的には、「#あの素敵なセカイをもう一度」や「#コロナで気が滅入るからみんなの写真で旅行しようぜ」といったハッシュタグなどで、お互いの旅行を共有しています。

単に旅行をしたということを「発信」するのではなく、お互いの旅行を「共有」しあうため、写真は「旅行者」はほぼ登場せず「旅行先の風景」中心となります。文章も「観光地に行った」や「現地のごはんを食べた」という事実ではなく、振り返って思い起こされる当時の心情や出来事を踏まえたエピソードが主体となってきます。

また、過去の旅行を振り返ると同時に、旅行した先の特産品や香辛料などを取り寄せて、食事だけでも旅行感をだす工夫をするなど、更なる楽しみ方も模索されており、更なる進化の可能性も見られます。

Googleトレンドで直近2年間の「旅行」の検索数を見てみると、3月ごろから大幅に落ち込んだのち、GW明けから検索数が戻りつつあるものの、例年水準までは回復していないことが分かります。生活者が、外に出て旅をしたい気持ちと、まだまだ自由に旅できる状況ではないこととの板挟みになっている様子が感じられます。特に海外旅行はまだしばらく難しいことを考えると、ますます「おうち紀行」が広がるのではないかと思います。その他、5月ごろから紀行本の売上が好調なことからも、なんらかの方法で旅行欲を解消したいニーズが広がっていることが伺われます。

なお、「おうち紀行」が広がっている最大の理由は、言うまでもなく新型コロナによる外出自粛だと思われますが、ほかにも理由があるのではないかとも考えています。その理由とは、「リアル」なコンテンツへのニーズの高まりです。誰もがコンテンツを自由に投稿する時代になり、芸能人もSNSなどで素の自分を見せることが増え、他人のリアルな旅行体験をコンテンツとして楽しむ土壌も育まれてきたのではないでしょうか。

最後に、「おうち紀行」のビジネスチャンスについて考えてみました。

「おうち紀行」のビジネスチャンスの例
■ 旅行会社の観光地のライブツアー
■ 上記のライブツアーに観光協会や食品メーカーなどがコラボして、ライブツアー中に現地の食事を楽しめるサービスを提供
■ 教育会社×博物館/美術館のコラボでの夏休みVR社会科見学
など。

コロナ禍で広がった習慣の一つだと思いますが、知り合い同士で旅行を追体験することで、次の旅の目的地の参考にもなるため、アフターコロナにも広がっていく習慣なのではないかと思っています。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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  • 博報堂 マーケティングシステムコンサルティング局
    ヒット習慣メーカーズ メンバー
    2016年 博報堂に入社。
    入社以来、データ/デジタルマーケティングに従事。業務で培った知見を活かし、新たな習慣を生み出すべくヒット習慣メーカーズに参画。