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いまどき女子のデジタル活用術! VOL.2 ~コスメ系インフルエンサーの実態からわかる“女の子のハートの掴み方”~【後編】
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いまどき女子のデジタル活用術! VOL.2 ~コスメ系インフルエンサーの実態からわかる“女の子のハートの掴み方”~【後編】

働く女性を研究する博報堂キャリジョ研が、いまどきの女子を取り巻くデジタル環境、デジタル活用の実態などについてご紹介する本連載。(前回までの記事はこちら。VOL.1前編 後編 VOL.2前編)第2回目のテーマは「インフルエンサー」。“ファンを多く抱える普通の人”という従来のイメージを超え、もはやクリエイターでありマーケターであり、タレントでもある彼女たちの姿に迫り、これからの広告のヒントを探っていきます。彼女たちの実態からわかる、女の子たちのハートの掴み方とは?

■コンプレックスをバネに美を追求!泥臭い系美容垢(アカウント)おかめ微々ちゃんの場合

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基本DATA
主なフィールド:Twitter
フォロワー数:241,000人(2020年6月現在)
活動開始期:2017年~
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(コスメ以外の投稿例として)

(コスメの投稿例として)

キャリジョ研
スキンケアやカラダづくりなど、いつもツイート参考にしています!おかめ微々さんのインフルエンサー活動のきっかけは何ですか?
微々ちゃん
もとはブログを開設していて、Twitterはあくまでも趣味として始めたんですが、開始から毎月1万のペースでフォロワーが増えていき、企業からPRの声がかかるようになっていきました。会社員の収入をTwitterの収入が上回るようになったときに思い切って退社を決意。法人化してすでに1年半くらいになります。
キャリジョ研
最初は会社員時代に副業として始めたんですね。TwitterやYouTubeに書籍化まで……今や全方面で精力的に活動されていて、かなりお忙しいですよね。
微々ちゃん
それが、全部好きなことなので辛さは感じないですね。休みたいとか発散したいとも思わないんです。
キャリジョ研
専門性の高い美容知識と、ときに赤裸々でポジティブな微々さんの発言が多くの女子の支持を集めています。インフルエンサーとして情報発信する際に大切にしていることは何ですか?
微々ちゃん
見てくれている人と同じ目線で語るようにしています。いい女ぶっても暴いてくる人がいるし、私自身そもそも自分を飾るタイプではないので、なるべく素のまま、「クソ」とか「神」とか気取らない言葉を使うことを心掛けています。それによって反感を買うこともあるんですが、共感してもらえることも多いですね。
キャリジョ研
具体的にはどんな風に投稿していますか?こだわりの仕事術などあれば教えてください。
微々ちゃん
文章はつくりこまず、そのとき感じたことを1分もかからずに書きます。140文字しか打てないので、同じ言葉を使わずすっきり見せるようにし、改行もあまりしません。言いたいこと、教えたい情報があるときにだけつぶやくようにしているのでノルマもなし。1日何もつぶやかない日もあれば、20ツイートしている日もあります。自分の投稿が夜の9~10時くらいに見られているのは知っていますが、そこに合わせるよりも、自分に「これを伝えたい」という熱があるかどうかが大事。その分ひとつひとつのツイートに熱量がしっかりこもっているんじゃないかな。あまり考えずに気楽に見られるのがTwitterのいいところだと思っているので、「やばい」とか「半端ない」とか小学生でもわかるような簡単な言葉を使っています。写真も投稿しますが、基本は文章。そもそも私自身、3歳から小説家を目指していたくらい文章を書くのが好きなので、そこで共感を得られていると思っています。きれいな写真が載っていなくても、商品名がなくても、バズるときはバズるんです
キャリジョ研
微々さんのツイートに、思わず唸る文章が多い理由がわかりました。
微々ちゃん
実は小学生の頃からGIFアニメをつくったりケータイ小説を書いたりしていて、その都度バズってたんですね。なので自分の文章は、見てもらう機会さえあれば必ず伸びるという確信はありました。Twitterを始めてからすぐにコンスタントにフォロワーが増えていったので、フォロワーの増やし方に関しては割と戦略的ではありました。いくつかのつぶやきをいいと思ってもらって、拡散してもらえるようになると、翌月から1万人ずつフォロワーが増えていったという感じです。
キャリジョ研
なるほど……昔から「みんな」の心をつかむポイントを心得ていたのですね。商品紹介のお仕事も多いと思いますが、どんなときにやりがいを感じますか?
微々ちゃん
どんな仕事でも、「微々ちゃんのおかげでこんな変化があった」と報告が来たときが一番嬉しいですね。また特に企業商談のときには、「お陰様で注文数が増えました」と言われるときが一番嬉しい。やりがいというよりも、安心すると言ったほうが近いかもしれないです。一方で、「〇〇をPRしてほしい」という依頼があっても、自分がいいと思えない商品、納得できないものは必ず断るようにしています。そういうお仕事で、よくPRのハッシュタグやURLを貼るように指定されたり、「この成分を書いて」と指示されたりすることもありますが、あまりに多くを指定されると「私じゃなくてもよくない?」と思ってしまう。私にできることは「成分を伝えること」ではなく「気になってもらうこと」です。気になったらみんな自主的に調べますし、なるべくインフルエンサーの自由にやらせてもらったほうが、一番その人らしさが出せて、フォロワーの心も動かしやすいと思います。
たとえばある日用品のお仕事では、メーカーの想い、開発までのストーリーを取材してPRしました。実は、もともと私自身が長年肌荒れに悩んでいたんですが、そのメーカーの商品に出会ったことで解放され、それ以来ずっと愛用していたんです。なので、工場にうかがったときは「この子たちが私を救ってくれたんだ!」と感動しましたし、心からその商品についてたくさんの人に伝えたいと思った。PRの正解はそういうことなんだと思います。
キャリジョ研
企業タイアップ案件で、上手に伝えるためのポイントはありますか?
微々ちゃん
この商品のここはよくないけどここが好き、とポジティブ面もネガティブ面も両方伝え、投稿から人間味を感じられるようにすることが重要です。最近のインフルエンサーは正直で、商品の短所にも触れるインフルエンサーが増えている気がします。ネガティブも伝えたほうが、真実味が増すんです。
キャリジョ研
2018年からはYouTubeで顔を出しての動画投稿も始められましたね。
微々ちゃん
事務所から声を掛けられて始めました。以前は身バレについて恐怖心がありましたが、実績があれば訴える力もつくしアンチに対しても抑止力がきく、と考えるようになりました。安定にしがみついていては成長はない、と覚悟が決まったんです。実はYouTubeより少し前、整形後のダウンタイムの最中に別の動画サイトで顔出しをしてアンチから叩かれたんですが、整形が完了したころから叩かれなくなりました。
最初は気にしていましたが、好きなことを仕事にできているし勝ち組だ!と思ったらどうでもよくなりました。
キャリジョ研
自分で実力をつければ物理的にも、精神的にもアンチへの防御力がつくということですね。かっこよすぎます……!今やYouTuberやインフルエンサーを目指す人も多いと思いますが、彼ら彼女らに向けて何かアドバイスはありますか?
微々ちゃん
「捨てなきゃ入ってこない」ということ。覚悟を決めて、しがみついている何かを手放してみたら、新しい何かが入ってくるんだと思う。そうすることで初めてなりたい自分になれるんじゃないでしょうか。あとは寝る暇も惜しんで夢中になれるものがあれば、誰だってインフルエンサーになるチャンスはあると思います。
キャリジョ研
ありがとうございました!

==インタビュー取材を終えて== 

美への執着と起業家精神を兼ね備え、冷静沈着に今後のビジネス展開を考えている微々ちゃんの力強い言葉に、キャリジョ一同聞き惚れました。

さらけ出してコンテンツではなく人柄にファンをつける

前編ではYouTuber、後編の今回はTwitterで人気の微々ちゃんにお話を伺いましたが、両者で媒体によるファンへの伝え方、見せ方の違いも見ることができました。お二人以外のインスタグラマーやインフルエンサーの方にもインタビューさせていただいたのですが、共通するのは「あえて作りこまず、自分をさらけ出す」ということでした。彼氏や部屋、趣味まで自分のバリエーションを“浅く”広くさらけ出すのがYouTubeやInstagramの特長なのに対し、Twitterは自身の美学や過去の闇などまで“深く”さらけ出す
媒体によって「さらけ出し方」が違うのも発見でした。

ファンに届けるためには、まずインフルエンサー本人にブランドを好きになってもらう

また、言葉の持つ力を知っているからこそ、自分のありったけの熱量を投稿にぶつけたいという想いが強く、「140字」という限られた場所で戦うには企業の指定ワードが非常にもどかしいというエピソードも印象的でした。前編のサラさんもおっしゃっていましたが、企業コラボの場合は開発者の言葉を直接聞いたり工場見学に行ったり、「一緒に作り上げていく」ことができれば、必ず彼女たちのファンもついてくる。インフルエンサー本人にもブランドの熱いファンになってもらうことを考えると、実はインフルエンサー企画は単発のプロモーションよりも中長期のマーケティングに向いているのかもしれません。

プランナーでありクリエイター。一緒に作り上げてこそファンに届く

ファンに人柄を好きになってもらっているインフルエンサーたちに、1つの共通メッセージを投稿するよう依頼するのはナンセンス。思い切ってメッセージの出し方まで任せることで、ようやく彼女たちのファンに真に届けることができるのです。
インフルエンサー投稿をリーチ獲得用の「枠」として捉え、決まったメッセージを伝えてもらう、という考え方になりがちですが、今やインフルエンサー個々人が、各SNS、書籍、ブログ、イベント……と発信の場を広げながら生活者との接点を展開する一種の“メディア”であり、“ブランド”であることを忘れてはいけません。むしろインフルエンサーと協働する際は、彼ら彼女らの独特な視点や語り口調を最大限活かすように組まないと、意味がないとも言えます。これからのインフルエンサーマーケティングにおいては、クリエイティブ(投稿)に裁量を与え、ブランドのパートナーとして一緒に考えていくことが重要なのだと切に思いました。

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  • 博報堂キャリジョ研
    博報堂キャリジョ研
    博報堂および博報堂DYメディアパートナーズの女性メンバーにて、2013年に立ち上げた社内プロジェクト。キャリア(職業)を持つ、特にお金と時間を自分のために使いやすい子どものいない女性を「キャリジョ」と定義し、インタビューや定量調査、トレンド分析などを通じて「キャリジョ」を徹底的に研究。その成果を社内外にナレッジとして共有し、日々のマーケティング・プランニング業務に生かしています。

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