おすすめ検索キーワード
ヒット習慣予報 vol.404『おこぼれ親心』
PLANNING

ヒット習慣予報 vol.404『おこぼれ親心』

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの仙田です。

ついにもうすぐ4月を迎え、昨年入社した私は新卒としての”免罪符”がなくなってしまうことに人一倍悲しみを抱えている春ですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

今回は、皆さんの日常にもあるかもしれない「おこぼれ親心」の事例をご紹介いたします。年度末の忙しさに追われる日々。そんな中、ふとした瞬間に何かを愛おしく感じ、癒やされることはありませんか?
放っておけない・守ってあげたいという溢れ出した感情の行き先を、ここでは「おこぼれ親心」と呼びたいと思います。

1つ目の事例は、【お世話デトックス】です。

まさに最近再ブームを果たしているお世話ゲームや、おうちに置いておけるペット型ロボットなどがまさに「おこぼれ親心」の代表といえます。自分がお世話をし、喜ぶ姿を見ることで達成感を味わい癒しを得る。それが「お世話デトックス」です。自分を必要とする存在がいることで生きる意味が増えるという意見も友人から聞いたことがあります。

また、私の周りでも増えている”ぬい活”(ぬいぐるみ活動)もこのお世話デトックスの一つでもあります。

▼「ぬい活」検索量推移(2021年以降・日本)

(Googleトレンド 「ぬい活」で検索)

インターネット上で見かけるぬい活では、一緒に出勤は当たり前。時には友人のぬいと一緒にランチに出かけたり、連れて行った旅行先ではいつもと違う服を着せて景色と写真を撮ったりするなど、近年ぬいぐるみへの愛着の持ち方は進化しています。ぬいぐるみを購入することは”お迎え”と呼ばれており、ぬいぐるみは一つの命として尊ばれます。そのお世話をすることで、何かを可愛がる満足感を得ているようです。

2つ目の事例は、【かわいそう愛で】です。

近年、世間からの人気を集めているキャラクターには「ポンコツ」「報われない」「完璧じゃない」要素がメインになっているものが多いことにお気づきでしょうか。

一生懸命頑張っているのに、どこか不憫。そんな姿に愛おしさを感じることを、かわいそう愛でりと称しました。不憫かわいいや不憫萌えという言葉も存在しているように、キャラクターの憐れな状況をあえて”かわいい”という感情で昇華し、ポジティブに捉え直す傾向が最近より強くなっていると感じます。

人々は、このキャラを放っておけない・自分が守ってあげたいという内なる親心を揺さぶられながらも、どこかで自分自身を自己投影しているとも考えます。日頃のモヤモヤや憤りをキャラが代弁してくれることで、苦しくなりながらも認められたような気持ちになることを私自身も何度も経験しています。

そして、最後の3つ目の事例は、【生中継保護者会】です。

こちらは、コロナ禍を経て需要の高まったオーディション番組やライブ配信映像を通じたおこぼれ親心の事例の一つです。

最近は、猿山になかなか馴染めずぬいぐるみを母ザル代わりに奮闘する赤ちゃん猿の様子なども、SNS上で海外からも注目を集めるほどの親心の対象になっています。以前話題になった海外のアザラシの保護施設も同様、リアルタイム配信などを通じて日々の生活を見守られています。捨て子だったなどの背景も踏まえた上で、”種族を超えた親心が芽生える”という声をネット上でたくさん見かけます。

この”裏側を含めて親のように感情移入する”行為は、近年の一大トレンドであるオーディション番組においても同様です。リアルタイムで候補者の成長を見守り、”我が子を育てる”感覚で投票を行い、応援を届ける。このエネルギーにあふれた愛情が、コンテンツを盛り上げる根幹の要素になっているのです。

さて、いくつかの事例を紹介してきましたが、なぜ昨今このような「おこぼれ親心」が増えているのでしょうか。

まず、現代人は完璧主義や自己責任論に疲れがちだから、という考えが挙げられます。インターネットの進化で、常に人と比較されるようになりました。その中で「役に立たなくてもいい、不完全でもいい」存在をあらかじめ身近に置いておこうという防衛精神が生まれたのではないか、と考えます。 

そして、ライフスタイルの変化により、少子高齢化が進んだりリアルなペットが飼いづらくなったりと、行き場のないケア欲求の存在の必要性が増えていることも考えられます。また、その親心の注ぎ先も、デジタル機能や配信環境の発展で多様化されたことで、いつでもどこでも自分の愛情の注ぎ先をつくっておける環境が整い、おこぼれ親心の手段が現代ではより豊富になっているのです。

最後に、「おこぼれ親心」のビジネスチャンスとして、下記のようなことを考えてみました。

【「おこぼれ親心」をめぐるビジネスチャンスの例】
■    ぬい活に特化したトラベルパッケージツアー
■    絶滅危惧種をキャラクター化し生中継する応援プラットフォーム
■    規格外の野菜を「里親」として定期購入できるサブスク

何かに対する愛情が、実は自分自身の頑張る糧になっている。このポジティブなサイクルを大事にしながら、皆さんも日々の癒しを見つけていきましょう。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

sending

この記事はいかがでしたか?

送信
  • 博報堂プロダクツ デジタルプロモーション事業本部 アクティベーションプランニング部
    ヒット習慣メーカーズ メンバー
    2025年に博報堂プロダクツへ入社。一人前のプランナーを目指し、とにかく頭を捻り続ける毎日。SNSの着せ替え背景を、幼児から絶大な人気コンテンツに最近変更しました。親心が振り切って幼児退行が進んでいます。