おすすめ検索キーワード
ヒット習慣予報 vol.402『感情コレクト』
PLANNING

ヒット習慣予報 vol.402『感情コレクト』

 

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの中久保です。
年始に立てた抱負を早くも変えたくなり、心機一転のタイミングである4月にまた新たな抱負を立てようとしているのは私だけでしょうか。
最近、周りのひとに抱負や目標をきいてみると、「週2回ランニングする」のような行動そのものというより、「たのしいと思える趣味を見つける」のように感情を軸にしたものが多いような感じします。

そんななか、いま女性を中心に幅広い世代で、日々のポジティブな感情を顕在化して貯めていくという習慣がにわかに広まりつつあるのをご存知でしょうか。
これまでもたとえば、運動できた日にはカレンダーに○をつけて記録する、家庭でお手伝いをしたらお小遣いをもらって貯金する、というように、実行できた「行動」に対して見える化しながら自他を肯定していく習慣は多くありました。
ですが、「感情」を顕在化して貯めていく習慣はこれまでのそういった習慣とは少しちがい、日常的にうまれるポジティブな「感情」を貯めていくことで自他を肯定するという習慣なのです。

例えば感情を書いて貯める「ライフログ」をGoogleトレンドで見てみると、ここ3年でのYouTubeでの検索数がゆるやかに上昇しています。
「ライフログ」とは日々の生活や感情などについての記録を簡単にメモしながら残す、という習慣です。日記とはちがい、毎日つけるというよりは思い立ったタイミングで自身の感情が動くたびに記録として残し、自身のデータ収集や振り返り目的でつける自由なスタイルの記録帳のようなものだそうです。
このことからも、自身の思ったことや感じたことにフォーカスして何かしらのかたちでより具体的に表し、蓄積させていくことが、いま注目されてきているようです。

(出典:Googleトレンド「ライフログ」のYouTube検索数推移)

今回は「感情コレクト」について、具体的な事例を交えながらご紹介します。

事例1つ目は、「ありがとう貯金」です。
家族や仕事仲間、自分自身に対して、「ありがとう」という感情が生まれるたびに貯金するという習慣です。
ポケット式の小さなファイルに「ありがとう」と思った出来事の内容を書いたカードと1000円札を一緒に入れていくという方法が一般的で、あたたかい感情を見える化して貯めるのです。
ファイルを見返すたびにポジティブな感情の積み重なりが見られて気分が明るくなるのはもちろんなのですが、なにかを少し我慢しながら節制するというイメージがあった貯金が、ポジティブな感情とセットになる行動へと変換されることも、継続したくなるポイントとなっているようです。

事例2つ目は、「おつかれ自分ポイ活」です。
何かと忙しい日々のなかで、達成感をおぼえたり自身への労いの感情がうまれたりするたびに、自分だけのルールでポイントを貯めていくという習慣です。
お手製のカードやスケジュール手帳にポイントを記録していくという方法が一般的なようですが、正の字で簡易的に記入するだけだったり、感情の大小に応じてポイント数を設定してその数の分だけシールを貼っていったりと、数え方や貯め方はバラエティに富んでいるようです。
そして、決めた目標数までポイントが貯まったら好きなものを買ったり旅行にいったりと、まるで一般的なポイントカードの特典のように、自身にごほうびを与えるということを繰り返していくようです。

事例3つ目は「クスッと保存」です。
SNSを見ているとき、こんな習慣を実行しているひとを見つけました。
なんだかクスッと笑えた投稿のスクリーンショットや、実際に周りで起きたちょっとおもしろいワンシーンをメモ機能で残した画面のスクリーンショット、友人や家族とのチャット中に笑いが起きたトーク画面などを、すべてスマートフォン上の同じアルバムに残していく習慣です。
この習慣を取り入れているひと曰く、アルバムを見返すだけでつい笑いがこみ上げてきて、ネガティブな感情を強制的に薄めることができるからおすすめ、とのことでした。
なんだかいま笑いたい!という気持ちになったときのために、おもしろいと感じたものの画面を日常的に保存するよう意識しているようです。

では、なぜいま、ポジティブな感情を顕在化しながら貯めていく習慣が広まりつつあるのでしょうか。

ひとつは、他人に見せることを前提とした行動や思考への疲れが背景にあるのではないでしょうか。
SNSでの独り言のようなつぶやきや、一見好きなものを自由にアップしているだけに感じられる投稿も、実は、無意識のうちに特定のだれかに見られることを前提と考えているひとが意外と多いようです。
仕事や成績面での評価だけでなく、SNSユーザーが多い近年の社会では「いいね」や「閲覧」という評価基準もあり、自身が認識しているより他人からの目や評価を気にして行動・思考をとることが無意識のうちに定着してしまっているのでしょうか。そのため、誰にも見られることなく、自分の感情という軸だけをもって判断したことの見える化とそれを振り返るという行動は、現代を生きる生活者にとって本当の意味で喜びや達成感を感じられる習慣になっているのではないかと考えます。

そしてもうひとつは、生活者がセルフラブに新しいかたちを求めていることも背景にあるのではないでしょうか。
美味しいものを食べたり好きなものを買ったりなど、従来のセルフラブが自分自身への大きな労いになることに変わりはありません。
ですが、現代を生きる生活者たちにとって、自分自身に物理的な何かを与えるセルフラブは、時間や経済の面で日常習慣として実行するのはなかなか難しい部分があるのも現実です。
さらにセルフラブに求める条件も変化してきており、単に一過性のごほうびではなく、未来の自分自身の気分を上げられるものであることも必要とされつつあるのではないかと考えます。
そこで、ポジティブな感情を継続的に大切にできているということを自分自身に証明しながら自己肯定感を上げつつ、将来の自分のためにもなる行動をともなうこの習慣は、だれでも日々実行できる新しいセルフラブのひとつとなっているのではないでしょうか。

最後に、「感情コレクト」のビジネスチャンスについて考えてみました。

【「感情コレクト」のビジネスチャンス例】
■ 毎日頻繁に触れるカレンダーアプリやニュースアプリなどのなかで「今日の自分いいね」をワンタッチで貯めるシステム
■ 勤怠管理システムとキャッシュレスアプリを連携し、達成度に応じて手軽に少しずつ貯金できる機能
■「ありがとう貯金」をキャッシュレスかつ家族や恋人と共有もできるアプリ

皆さんもぜひ、ポジティブな感情が生まれたときには見逃さず、プチ貯金のチャンスにしてみてください!

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

sending

この記事はいかがでしたか?

送信
  • 北海道博報堂 / ヒット習慣メーカーズ メンバー
    2023年に北海道博報堂に入社。今年の4月からはプランナーと営業を兼務。
    ここ最近、お香を焚かない日はない。