ヒット習慣予報 vol.316『こだわり冷凍』
こんにちは、ヒット習慣メーカーズの植月です。
もうGWが終わってからしばらく経ちますが、いかがお過ごしでしょうか?
私はいまだ本調子が戻せず、仕事が終わるとすぐにゆったりオフモードに入ってしまい、夕飯をいかに簡単に済ませるかに頭を悩ませている毎日です。
そんな時に助けられているのが何といっても冷凍食品。8割以上の方が「普段冷凍食品を買う」と回答しているほど、どの家庭にも必須のものになっています。
〈冷凍食品の購入率〉
もはや冷凍食品を使うことは一般化し、私たちの生活に欠かせないものとなりました。今回は、そんな中でも、より食品や容器への工夫が詰まった『こだわり冷凍』をご紹介します。
まずは、「冷凍・炊き立てごはん」です。
「冷凍なのに炊き立て?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。これは、専用の容器を用いて冷凍することで、解凍させるとふっくらした炊き立てのようなごはんが楽しめるというものです。ごはんを毎日炊くのは大変なので、まとめて多めに炊いて冷凍しておくという習慣は以前よりありましたが、そうすると、ごはんの味や食感が落ちておいしくなくなってしまうというのが、多くの人が抱える悩みでした。しかし、この容器を用いることでその悩みが解決され、どんなタイミングでもおいしいごはんが食べられるようになります。実際にこの『冷凍・炊き立てごはん』を実践している私の友人は、「むしろ炊き立てよりも冷凍することで水気が自分好みの感じになるので、あえて炊き立ては食べずに冷凍してから食べる」と言っていたほどです。
次に、「冷凍・生ホールケーキ」です。
冷凍ケーキと聞くとアイスケーキを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、今回はそうではなく、食べる時には解凍して食べるケーキです。それでは、なぜ冷凍するのでしょうか?理由は大きく2つありますが、1つはケーキを切りやすくするためです。通常のケーキだとスポンジやクリームが柔らかいので、切る時に形が崩れてしまったり、フルーツなどの中身がうまく切れなかったりします。しかし、冷凍であれば固いのでどんな方でもきれいにケーキを等分できます。そして2つ目の理由は、最初に切って食べる分だけ解凍して残りは冷凍しておけることです。ホールケーキだと人数によっては一度では食べきれないことも多いので、こうした工夫で無理せずに食べたい時に食べられるのは嬉しいですね。
最後に、「冷凍・栄養満点弁当」です。
冷凍食品というと栄養が摂れるイメージはあまりないかもしれませんが、最近では栄養バランスを重視して作られた冷凍弁当のサブスクリプションサービスも始まっています。食材をまとめて買い、料理を作り置きすると、週の後半などはメニューのレパートリーがなくなってくるタイミングでもありますよね。そんな時にこうした冷凍弁当のストックがあると、栄養面でも精神面でも助かりますね。また、あえて常温のお弁当ではなく冷凍のお弁当で届けられることで、腐らせる心配がないのも嬉しいポイントです。
では、なぜ『こだわり冷凍』が増えつつあるのでしょうか?理由は大きく2つあると考えられます。
1つ目は、食材のまとめ買いや作り置きの一般化です。
安い時にたくさん買っておいて冷凍したり、一度に大量に作って冷凍したりと、一食分以上の食材・食品を冷凍保存して1週間の食生活を充実させるやり方が普及しました。その中で、より冷凍の質を追求した結果、専用の容器が生まれたり、専用の冷凍食品が生まれたりしているのだと考えられます。
2つ目は、冷凍食品に対する意識のポジティブ化です。
以前までは、“冷凍だけどおいしい”と考えられがちでしたが、最近ではその考えも弱まり“冷凍もおいしい”ものとして、私たちの食卓に頻繁に並ぶものになりました。冷凍食品は妥協して使うものだという考えはなくなり、味や質を鑑みても文句のつけようがないレベルになり、積極的に冷凍食品を取り入れるようになったのも影響しているのかもしれません。
最後に、『こだわり冷凍』のビジネスチャンスとしては下記のようなことが考えられるのではないでしょうか?
「こだわり冷凍」のビジネスチャンスの例
■冷凍庫に入れられ、かつ、そのままオーブンレンジで温められる冷凍ピザ専用容器を開発する。
■作り置きした一汁三菜をそのまま冷凍・解凍できる専用ワンプレートを開発する。
■赤ちゃんも食べられる、日持ちする栄養満点の冷凍おやつを開発する。
今日の私の夕飯も「冷凍・炊き立てごはん」なのですが、仕事が終わったらすぐおいしいごはんが食べられると思うと幸せです。よかったらみなさんもぜひお試しください。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
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マーケットデザイン事業ユニット ストラテジックプラニング局
ヒット習慣メーカーズ メンバー2017年 博報堂に入社。
8年目のマーケターとして、社会の荒波に揉まれながら、新たな潮流をつくることを夢見て奮闘中。最近はふるさと納税の冷凍食品で冷凍室をパンパンにするのが趣味です。