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アドビのアクセス解析ツール「Adobe Analytics」とは?
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アドビのアクセス解析ツール「Adobe Analytics」とは?

「自社サイトのデータを正しく収集・分析できているか?」
デジタルマーケティングに関する課題の一つです。
また
「有名なツールを入れてはみたものの思ったように使いこなせていない」
「より高度な分析を行いたいが、機能的に不足していて実現ができない」

といったお悩みをお持ちではないでしょうか?
自社データをマーケティングに活用するための優れた機能を持ったツール「Adobe Analytics」。本記事では、「Adobe Analytics」が持つさまざまな機能とその特長を紹介していきます。
無償で使用可能なツールと比較するとWeb上での情報が少ないですが、日本国内でも多数の導入事例を持つソリューションです。より多くの企業・担当者の方に知っていただき、ツール選定の際の選択肢に加えていただけたらと思います。

Adobe Analyticsについて

PDFファイルの表示で活用するAcrobat Reader、クリエイティブ系ツールの代表的存在であるAdobe Photoshopなどで有名なアドビ社は、デジタルマーケティングに関連する様々なサービスも提供しています。
中でもAdobe Analyticsは自社デジタルメディアに訪問した顧客・見込客の行動を、正しく計測・分析し、最適な施策へつなげるための様々な機能を持ったソリューションです。

※アドビ社資料より抜粋
青枠部分がAdobeサービス郡におけるAdobe Analyticsの領域で、あらゆる施策の基になるインサイトを得るデータ解析の基盤となるソリューションという位置づけです。

基本的なWebサイトデータの分析はもちろん、収集段階からの細かなカスタマイズ、アプリ分析にも対応しています。
また、収集後のデータに関しても高度なセグメンテーション機能や、手軽かつ高機能な分析機能(後述するAnalysis Workspace等)によって即時に柔軟なレポーティングを行うことが可能です。

日本国内においても、アドビ社ならではのアプローチで多数の導入事例と実績を持っています。

Adobe Analyticsの分析について

多機能な分析ツール「Analysis Workspace」
Adobe Analyticsの基本的な分析機能の一つに「Analysis Workspace」があります。
画面上でのドラッグ&ドロップで分析プロジェクトを作成できる機能で、直感的なインターフェースを操作し、指標やディメンションを掛け合わせたレポートを簡単に作ることが可能です。レポート以外にも、多彩な表・グラフをレイアウトしたダッシュボードを作成し、定期的に自動配信するといった活用方法もあります。

ビジュアライゼーションは20種類以上あり、表形式のものだけでなく、面グラフ、ドーナツグラフ、散布図など様々なグラフを使用できます。
中には、コホートテーブル、フォールアウト、フローなど、使いこなせれば非常に自由度の高い分析を行えるフォーマットも用意されています。

プロジェクトを作成する際には、アドビ社が用途別にディメンションや指標を組み合わせて提供している「標準テンプレート」を利用したり、自分で作成したプロジェクトを「カスタムテンプレート」に変換して再利用したりすることもでき、作業を効率化する機能も充実しています。

サンプリング化されないデータの活用が可能
Adobe Analyticsのデータはサンプリング化されずに、実際のオンライン行動に基づいた全量データが常にレポートされます。
他の分析ツールでは、ページビュー数が多いサイトで分析を行おうとするとデータのサンプリングが発生することがあります。サンプリングが発生すると、大量のデータの中から一部のデータを抽出してその傾向をもとにレポートが生成されることになるため、正確ではない結果が示される可能性があります。

セグメント
「セグメント」とは、計測しているデータの中から、指定した任意の条件に合ったデータのみを抽出する機能です。例えば、特定のデバイスや地域からのアクセスに限定したり、コンバージョンしたユーザーとしていないユーザーに絞り込んでデータ同士を比較したりすることができます。
Adobe Analyticsにはセグメントの作成上限数がないため、必要な分だけ無制限に作成することができます。レポートの内容に応じて様々な絞り込み条件を設定したい場合に、制限を気にせずセグメントを作成できるのは非常に便利です。
機能面でも自由度が高く、複雑な条件の指定に対応しています。例えば、特定の期間サイトにアクセスしていなかった休眠ユーザーのデータを見たい場合、「直近3か月間はアクセスがなかったが、7日以内に再訪問したユーザー」のような、細やかな条件でセグメントを作ることもできます。

AI/機械学習
「Adobe Sensei」はアドビ社の提供するサービスに適用されているAIとマシンラーニング(機械学習)を組み合わせた技術のことです。Adobe Analyticsにおいても、予期しないデータ傾向の発見や、人力で行うと手間のかかる分析などを効率化するために活用されています。
本記事では、代表的な機能について簡単にご紹介します。

1. 日々のデータのトレンドに対して想定よりも上昇/下降しているかを検知する「異常値検出」
2. 蓄積されたデータから異常値の原因とみられる特徴を自動分析する「貢献度分析」
3. 異常値検出、貢献度分析で発見された異常値についてのメールを配信可能な「インテリジェントアラート」
4. 作成したセグメントのパフォーマンスの違いをワンクリックで比較分析できる「セグメントIQ」
5. 成果につながるタッチポイント(接点)のアトリビューションを多⾓的に分析できる「アトリビューションIQ」

サイトに訪れたユーザーのインサイトの早期発見、分析担当者の作業負荷軽減、分析作業の属人化といった課題に対しては、こうしたAI/機械学習の機能が一助となるかもしれません。
プランによって使用できる機能は異なるため、詳細についてご興味のある方はDACまでお問い合わせください。

データ連携

データ抽出
Adobe Analyticsではレポート表示用に加工される前の生データを加工・抽出する機能があります。
「Data Warehouse」では、画面上で生データに必要なフィルタリング設定を行い、CSVやTDE(BIツール「Tableau」に対応した 形式)で書き出してメールやFTPサーバーに送信ができます。
「データフィード」では、画面上で生データをFTPサーバーに定期配信するためのバッチ処理の設定を行うことができます。
書き出したデータは保存したり、他プラットフォームやBIツールに取り込むことで、Adobe Analyticsで収集した情報を活用したりすることもできます。

データインポート
Adobe AnalyticsでWebサイトから収集したデータ以外にも「データソース」機能や「専用API」を使用して、外部で取得した追加のオンラインまたはオフラインデータを取り込むことできます。手動でのインポートはもちろん、FTPサーバーの利用、ご使用のアプリケーションとのプログラム連携によるデータ送信など、幅広い方法が用意されています。

他サービス連携
マイクロソフト社の「Power BI」とAdobe Analyticsは連携が可能となっており、両者を統合することで、Microsoft Power BI 内で Adobe Analyticsのデータを視覚化し、組織全体で簡単に共有できます。
また、Adobe Analyticsはアドビ社が提供するソリューションの一つでもありますので、各種アドビ製品と連携することも可能です。A/Bテストやパーソナライゼーションを実施できる「Adobe Target」、データ管理プラットフォームの「Adobe Audience Manager」など、様々な製品がAdobe Analyticsとの連携に対応しています。

Excelアドイン「Report Builder」
「Report Builder」はAdobe Analytics経由でインストールができるMicrosoft Excelのアドインです。
Excelのフォーマットを利用してデータの更新が可能なツールとなっており、Adobe Analyticsのレポート画面にアクセスせずにExcel上で更新作業を完結させられます。
指定したセルの領域に対してレポート数値の自動更新を行ったり、自由にフォーマットを組み換えた別シートに対してExcelの関数などを使用して更新を自動反映させたりすることも可能です。
設定したレポートをメールやFTPで自動配信する機能もありますので、Excelを利用して定期更新するモニタリングレポートなどを作成したい場合は特に便利なツールとなっています。

プライバシー機能

詳細なアクセス権限設定
Adobe Analyticsでは権限設定を細かく管理するための機能が用意されています。
権限設定を製品単位、計測指標単位などでグルーピングが可能な他、複数ユーザーで構成されたグループ単位、個人単位など柔軟に指定ができます。
自社の関係部署、社外の広告会社など、利用者グループごとに見せるデータを限定したい場合は、データを収集しているレポートスイート※そのものに制限をかけられます。例えば、指定したユーザーのグループだけにアクセス権限を付与して、必要なデータのみにフィルタしたレポートを閲覧できるようにすることが可能です。
(※データを収集し、格納する単位。Google Analyticsにおけるプロパティのようなもの)

改正個人情報保護法への対応
改正個⼈情報保護法をはじめ、GDPR/CCPAなども踏まえた顧客情報の取り扱いを慎重に行うため、アドビ社は対応を行っています。
Adobe Analyticsではデータガバナンス機能が用意されており、設定されたデータ項目に対して、閲覧、削除のリクエスト処理を行うことが可能になっています。
また、使用するデータセンターをツール導⼊時に指定することができます。

Web SDKを利用したITP対応
近年、Webブラウザではトラッキングに関する技術規制が進められており、プライバシー保護の観点から3rd パーティクッキーの利用は大きく制限を受けるようになりました。
Apple社、Google社を中心に規制は年々厳しくなっており、Web上での効果測定ツールを提供している企業では何らかの対策が求められる状況となっています。
ITP(Intelligent Tracking Prevention)対策とは、こうした規制下でもターゲティング施策や効果計測を行うための代替手法を指します。
アドビ社でも対策が進められており、1st パーティクッキーによる計測だけではなく、「Web SDK(Alloy.js)」と呼ばれる新しい計測コードとPlatform Collection Edge Network(アドビ社が提供するデータネットワーク)を利用することで、クッキー規制の影響を回避できるような技術が用意されています。

まとめ

Adobe Analyticsについて、柔軟な分析、効率的なモニタリングを行うための機能が豊富であることや、Webを取り巻く環境変化に合わせてデータの取扱に関するプライバシー・セキュリティに関連した対応も行われていることをご紹介しました。
また、Adobe Analyticsの機能は非常に多岐にわたっているため、この記事内では残念ながら取り上げられなかった有用な機能もあります。
DACではAdobe Analytics、Google アナリティクス両方の企業資格を持っていますので、フラットな観点で各ツール利用に関するご提案が可能です。ご興味がある方はぜひお気軽にDACまでご相談ください。

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  • デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社
    ソリューションマネジメント本部 第二DDOP部
    クロスメディア運営会社、複数企業でのWebアナリティクス業務委託経験を経て、2020年DAC入社。
    Adobe Analytics、Googleアナリティクスの計測、各種タグマージャによる広告タグ実装などのエンジニア業務に従事し、さまざまなクライアントの案件対応に携わる。