2021.03.09 ヒット習慣予報vol.160 『どM消費』 #SNS #検索データ #ヒット習慣予報 #トレンド こんにちは。ヒット習慣メーカーズの藤田です。 寒かった2月が終わり、3月に入りました。新年度はすぐそこ、私は社会人3年目に突入します。様々な先輩に伺うに、「社会人は、3年目で決まるよ」とのこと。疲れているとついつい楽な方を選んでしまいがちな自分を厳しく律して、関西支社で自分を成長させるべく精進しなきゃ、と思う今日この頃です。 さて、今日はそんな、「敢えて自分に厳しくする習慣」について取り上げたいと思います。本来人は、ポジティブな体験をすることにお金を払うもの。しかし最近は、俳句を厳しく指導されるTV番組も人気を集めているように、「敢えて自分が追い込まれる体験」に価値を感じる人が増えつつあるように感じています。 そんな習慣を、「どM消費」と名付けてみようと思います。ちなみに、その人がMなのかSなのかは関係ありません。笑 ただ、これだけだとよくわからないと思うので、どM消費を具体的に見ていきたいと思います。 1つ目は、断食です。 皆さんは、「ファスティング」をご存じでしょうか。ファスティングとは断食のことを指します。昨年コロナ禍で自分の自由時間が増え、生活習慣が見直された中で、体質改善の方法として注目されました。下記のGoogleトレンドをご覧ください。過去5年間の推移を見ると、現在に至るまで注目度が高まっていることがわかります。 出典:Googleトレンド(「ファスティング」で検索) 断食して空腹の状態を持続させることにより、体内の細胞を活性化させるオートファジーも最近脚光を浴びているようです。健康とは楽して手に入るものではないことはないものの、食欲は人間の三大欲求の1つであり、健康のために自分を“ちゃんと追い込む”ことに価値を感じつつあるのでしょうか。 2つ目は、指導です。 最近、オンラインサロンの存在をニュースで目にするようになりました。オンラインサロンとは、オーナーのもとに月額で会費を払いながらオンライン上で集う、会員制サービスです。著名人のオンラインサロンでは会員が数万人のものもあるようです。 下記のGoogleトレンドをご覧ください。オンラインサロンへの注目度は、ここ数年で急上昇しています。 出典:Googleトレンド(「オンラインサロン」で検索) オンラインサロンと一括りにしても様々あり、勉強会をするグループもあれば、趣味を楽しむ集まりもあります。ただ、私が着目したのは、「敢えて自分を厳しい場所に追い込む」タイプのオンラインサロンです。自らお金を払ってオーナーのために働く(=オーナーと一緒に仕事をすることに価値を感じる)ものや、お金を払って厳しく叱責を受ける(=著名オーナーに厳しく指導されることに価値を感じる)ものなどがあるようです。 世の中が個人で戦う時代となったといわれている一方で、パワハラや働き方改革が叫ばれ、今いる場所では叱ってくれる人がいず、物足りないと考えた人たちが集まっているのだと思います。 また、最近ではTwitter上でズバズバとツイートの指導をするユーザーと、それに師事するユーザーを多く見かけますし、オンラインオフライン問わず、“自分に厳しく高めてくれる人”のニーズが高まっているのではないでしょうか。 3つ目は、味覚です。 以前「辛い幸せ」という味覚の中で「辛い」への注目が高まっている予報もありましたが、辛いものを食べることは、“自分を追い込んでいる”こととも言えるのではないでしょうか。 興味深い調査があります。2018年に実施された調査によると、激辛の食べ物を1年以内に食べた人は全体の40%もいて、そのうちの約5割は「理由はわからないが無性に食べたくなるから」食べていたそうです。美味しいとか、ストレス発散とかではなく、もはや本能が辛いものを欲しているようです。 出典:株式会社マクロミル調べ。関東地方の1都6県の15歳~49歳1000人を対象。2018年6月実施。 では、なぜ今「どM消費」の傾向が高まっているのでしょうか。 要因は、世の中の物足りなさにあると考えます。 世の中でちょっと下手なことを言ったり出過ぎたことをすれば叩かれ、自粛を求められる。そんな、息苦しさもある時代、ますます人は他者に関心を持たないようになり、社会から得られる刺激は少なくなっていく。 世の中として“何か物足りない”からこそ、自分で自分に過度な刺激を与えて追い込むことへのニーズが高まっているのかもしれません。 それでは最後に、「どM消費」のビジネスチャンスについて、少し考えてみました。 「どM消費」のビジネスチャンスの例 ■食欲や睡眠欲など、様々な欲求を制限する、欲求制限プログラム ■お金を払って真剣に怒ってくれる、怒られBAR ■日常の様々な選択の瞬間で自分を追い込む方向を示してくれるどMアプリ など。 余談ですが、私は周囲にはMだといわれます。そのうえ「どM消費」もしているので、私はある意味、「真のM」といえるのかもしれません。 ▼「ヒット習慣予報」とは? モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。 感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。 この記事はいかがでしたか? 送信 藤田 啓介 博報堂関西支社第一ビジネスデザイン局第一プラニングチーム ヒット習慣メーカーズ メンバー 愛知県蒲郡市にて、3人兄弟の三男として生まれる。 2019 年博報堂に入社、希望して関西支社に赴任。マーケティングプラナーとして、また一生活者として、目の前の義憤を仕事に変えようと奮闘中。ワインと日本酒、政治モノの海外ドラマが好き。 この記事に関するお問い合わせはこちら 前の記事 に戻る 次の記事 に進む バックナンバーはこちら