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使い続けてもらえるアプリを構築・運用する秘訣とは
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使い続けてもらえるアプリを構築・運用する秘訣とは

多くの企業が生活者とコミュニケーションを強化するための接点として、アプリを活用する一方で、継続利用するユーザーが増えないなど、ロイヤルカスタマーとなってもらうためのアプリ構築・運用に悩んでいる企業も多いようです。
博報堂アイ・スタジオは2017年からReproと提携し、Reproのツールを使ってアプリ上でのデータ分析とユーザーとのコミュニケーションを行って来ました。数多くのアプリの開発・運用を手がけてきた両社は、成功のポイントがどこにあると考えているのでしょうか。博報堂アイ・スタジオ ビジネスサクセスデザイン部 グロースハックチームの小野裕明と、Repro Enterprise/BizDev Div.執行役員の吉澤和之氏に聞きました。

■アプリの分析から施策実行までできる「Repro」

小野
博報堂アイ・スタジオの小野です。私はビジネスサクセスデザイン部グロースハックチーム所属で、いろいろなクライアントのアプリやWebに関するKPI設計や、KPI向上に向けたデータ分析および施策の立案実行をしています。
弊社とReproのお付き合いが始まったのは2017年12月ころからです。当時からアプリ案件が増え始めてきており、継続利用してもらうためにはパーソナライズ化されたコミュニケーションを取ることが大事だと分かっていたので、アプリの成長戦略・企画、開発・運用を起点に、企業のマーケティング活動をサポートするソリューションの提供を開始。「Repro」を使えば分析や施策が簡単に実行できたので、アプリ案件では一緒にやっていきましょうという話になりました。
吉澤
Reproの吉澤です。「Repro」は2015年から提供を開始しているSaaS型のマーケティングツールです。元々は「アプリ内マーケティングのRepro」と銘打ってリリースしておりました。我々が提供するSDK(ソフトウェア開発キット)をアプリに入れることで、ユーザーの行動ログを取得したり、その分析結果に基づいたプッシュ通知を配信できるようにします。我々はSaaSベンダーなので、ツールの提供と共にカスタマーサクセス、運用の代行支援もやっています。導入実績は59カ国、6500以上のサービスです。今年8月13日にはシンガポールオフィスの開設を発表しました。今後は本格的な世界進出を考えています。
小野
博報堂アイ・スタジオでは、「そもそも何のためにアプリやWebサイトがあるべきなのか」という部分を深く考えてアプリのUXを設計しています。実際にアプリを作ったあと、最初に設計したUXが思った通り機能しているかをデータで確認しながら改善しています。このデータ分析によってユーザー体験を確認しながら改善していくことを「グロースハック」と呼び、アプリ開発経験もある10人弱のメンバーによるグロースハックの専門チームがあります。このふたつをサポートする体制があるところが我々の強みです。
これまでWeb系の案件が多かったのですが、最近はアプリ系の案件も増えてきて、様々な企業のアプリの開発代行と運用代行も含めて、一気通貫でサービスを提供する体制が整っています。その際に「Repro」のデータ分析機能やメッセージ配信機能を活用しています。
吉澤
博報堂アイ・スタジオにグロースハックチームがあることは、僕らとしては心強いパートナーだと感じています。Reproでは8月8日に、パートナープログラム「Repro Partner Union」を発足しました。Webへの展開もしていますが、もともと我々はアプリの専門家であり、「餅は餅屋」という考え方をしているため、様々なパートナーの協力が必要です。いろいろなプロフェッショナルの方と組んで業界を盛り上げていく一大エコシステムを作りたい、と考えています。1st認定パートナーとして、博報堂アイ・スタジオをはじめとした37社にご参加いただき、今後はパートナー同士のコミュニティや、販売代理店を含めたユーザーコミュニティを作っていきたいと考えています。
今後もアプリのマーケティングを一緒に盛り上げていきたいですね。
小野
そうですね。「Repro」を実際に使ってみると、分析から施策実行までを一気にできるところが魅力ですよね。よくやるのは、リテンション分析した後のアプリ内メッセージやプッシュ通知の配信です。難しい知識が要らないので、簡単に分析できるところがいいですよね。Webサービスへの対応もされていると思いますが、アプリとWebの両方で導入されているケースもあるんですか?
吉澤
元々マーケターファーストを意識してUI設計をしたので、そこを評価していただけると嬉しいです。Webは2018年にスタートしたばかりで、両方活用いただく企業はまだ限られていますが、Webとアプリの両軸でコミュニケーションができるマーケプラットフォームに生まれ変わったので、今後はもっと上流のマーケティングツールとしていきたいと考えています。実際に、「Webやアプリを使って、そもそも何をするかという部分から一緒に考えて欲しい」という上流でのご相談がここ数ヶ月で急激に増えてきました。

それに、Webとアプリは役割が違うと考えているんです。アプリはエンゲージメントの高いロイヤルカスタマーの育成・維持に向いていて、Webは新規ユーザーの獲得に向いています。最近は両者の役割分担をはっきりさせた上で、両軸でパネルを組むような分析シナリオやコミュニケーション手段が求められているので、ニーズは確実に高まっています。

アプリで何をしたらいいか分からない人は多い

小野
最近は今までアプリを作ってこなかった業界の企業がアプリを出し始めましたよね。アプリストアを見ていても、例えば保険会社がヘルスケアのアプリを出すなど、アプリを提供することによって日常で継続的に顧客と接点を持つことに対する関心が高まっているのを感じます。
吉澤
顧客獲得後に継続した接点を持つことについては、確かに凄くニーズがあります。それは言い換えればそれだけ課題があるということでもありますね。
日常消費財だと、生活者と接点をもつサイクルが短いのでコミュニケーションがやりやすいんですが、LTV(Life Time Value)のサイクルが長い自動車、不動産、保険などの場合はコミュニケーションが難しいんですよね。なのでそういった企業からご相談いただくケースが増えています。既存のアプリをリニューアルしたい、というご相談も多いですね。
小野
確かに「アプリで何をしたらいいか分からない」というご相談は多いですよね。
私の所属しているビジネスサクセスデザイン部にはUXデザインチームもあり、ここに所属しているUXデザイナーが中心となってクライアントの主軸となる事業の周辺で、生活者がどんな行動を、どんな気持ちでしていて、どんなことに価値を感じているのかを調査から把握し、アプリのコンセプトやコアバリューの定義、機能・画面などを具体化・具現化していきます。
これらが無いと、どんなにグロース業務を頑張っても成果が出にくかったり数値の向上がすぐに頭打ちしてしまうので、とても重要なポイントだと思います。
吉澤
特に最近の若い世代はモバイルファーストで、アプリを当然のように使っているので企業の興味がそこへ行くのも当然です。でもアプリはアンインストールされるのも一瞬なんですよね。せっかく高い広告費をかけても、無駄になってしまうというケースが顕在化しています。これにどう対処するか悩んでいる企業も多いですね。
小野
アンインストールを防ぐには、最初の体験をいかによくするかが大事ですよね。
吉澤
アプリ系の業界では、「チュートリアル突破率」というKPIがあります。ゲームだと顕著なのですが、分かりづらいルールがあるものに対して、ちょっとずつ体験させることで使い方の理解を深めて分かりやすくしていきます。これはゲームに限ったことではなくて、アプリ全般で重要だと思っています。チュートリアルを作ってしっかりと突破させ、基本的にはダウンロードしてからの7日間に、どれだけ継続してアプリを利用したかは重要な数字として注視します。
小野
ダウンロード翌日、3日後、7日後など、初期利用のモチベーションを落とさないようプッシュ通知でコミュニケーションしたり、ユーザーの利用状況の熟練度や使い方に合わせたプッシュ通知やアプリ内メッセージの配信を「Repro」でやっています。プッシュでメッセージを送る場合も全部を同じにするのではなく、どのようなことに悩んでいるのかデータから仮説を立てて設計し、通知を送り分けるのが大切です。それによって反応率が全く変わってくるんです。
吉澤
CRMという概念が、アプリだとまだないんですよね。CRMは今までメールマーケティングが主流であり、アプリの中でCRMというとハテナが付くような状況です。その辺は業界的にも啓蒙していかなきゃいけないのかなと思っています。アプリであってもメールの場合とCRMについての考え方は同じで、新規ユーザーがいて、エンゲージメントの高いユーザーがロイヤルカスタマーになって、という流れは変わりません。
小野
しっかりチュートリアルを設計していても、例えば、ヘルスケアや家計簿アプリなど生活を記録するような、入力の手間がかかるアプリは特にチュートリアルを突破して、定着化するまでが大変です。どうチュートリアル突破率を上げるかは、クライアントとその都度相談して、トライアンドエラーしていくしかありません。そうした場合に「Repro」は非常に役立ちます。普通はアプリからメッセージを出そうとするとアップデートが必要になるのですが、「Repro」であればアプリのアップデートを必要とせずにメッセージ内容や配信対象を変更したりできるのでスピーディーなPDCAを回すことができるんです。
吉澤
通常はメッセージを出すのに開発の手間が必要だったりするんですが、「Repro」はマーケターの方がその場でコミュニケーションできるので、その部分はご評価いただいています。
小野
ほかにも様々な案件で、どういうメッセージだと反応がいいかをいろいろ試しています。その上でいいものはさらにブラッシュアップする、といったことをしていますね。
吉澤
ABテストなどのサイクルを短期的に作りやすいですよね。グロースハックしやすい環境が作れると思います。

ポイントを絞ってKPIを設定する

ークライアントのアプリの運営を成功させる上で、サポートではどんな取り組みをしていますか。

小野
グロースハックのフェーズでまずやるのは、アプリの役割に合わせてKPIをどう設計するか、ということです。例えば、メディアサイトであれば問い合わせを増やす、ECであれば購入金額を上げる、といった具合です。アプリによってゴールが違うので、ゴールからブレイクダウンしてKPIに落とし込みます。そして現状の数字がどうなっているのかを見て、今注力すべき課題が何なのかを見極めます。闇雲に手を広げてもダメなので、注力すべきポイントを見つけるんです。
吉澤
ただその一方で、クライアントの中にはゴールまでの道筋が不明確だったりチーム内での認識がずれているケースもよくあります。経営陣と担当者間で差異がある場合も多く、そうした場合は、きちんとゴールを全員で共有した上でKPI設定に臨みます。そうしないと、あとでミスリードが発生してトラブルになるためです。正しいKPIを設定し、しっかりと道筋を立てていくのも僕らの役目だと思っています。
小野
我々はクライアントの代弁者である一方で、ユーザーがどう思うかをしっかり伝えていかなくてはいけないんですよね。そのバランスをとるのは大変ですが、企業視点ばかりが強くても、ユーザーには使われなくなってしまいますしね。
吉澤
「Repro」の機能に「リテンション分析」というものがあります。これはアプリ特有の指標を指しています。例えば、「継続しやすいユーザーはN回以上この行動をする」という方程式があった場合、このNをマジックナンバーと呼びます。このような自社アプリ内のマジックナンバーを、「リテンション分析」を使って見つけ出します。

出典:Repro社「Growth Hack Journal」より、「Repro」管理画面の「リテンション分析」

小野
我々もリテンション分析の機能は非常に重宝しています。簡単に数字を変えて分析できるのでマジックナンバーを素早く見つけることができるんです。ただ、それでも「これがマジックナンバーになりそうだな」とある程度当たりを付ける必要はあるんですよね。そのコツってありますか。
吉澤
事業を実際にやられている方なら、ロイヤルユーザーと、ふわっとした段階のユーザーの境目に当たるものが何か、見当がある程度つくはずなんですよね。例えばECだったら「商品詳細を何回見た」、メディアだったら「新着ニュースを見ている」といった具合です。まずはこうした大きな仮説から入るのが良いのではないでしょうか。
小野
その辺はいろいろ試してみるしかないですね。
吉澤
はい。我々には沢山の事例があるので、勘の部分でも経験の部分でもお役に立てると思います。
あと当社ではASO(App Store Optimization)のサービスも提供していて、これはアプリストア内のSEOのようなものです。検索したときにアプリがトップにくるかは非常に重要なので、専門チームがテキストのディクリプションの書き方のコツや、どのような画像を出すのが効果的かをお伝えしたりしています。アプリストアでは、タイトルの入れ方やディスクリプションなどが総合的に評価されてランキングが上がっていきます。ASOは凄く需要がありますね。
小野
アプリストアに掲載する画像もダウンロード率に関係するし、口コミの評価も大事ですよね。アプリを使っている人に「評価してください」というメッセージを出すタイミングも大事です。何らか良い体験した直後だと書いてもらいやすいですから。
吉澤
口コミに返信をしっかりするのも大事ですし、評価に関わることで言うと、プッシュ通知のオンオフの許諾をいつやるかも大事ですね。一般的にはアプリを初回起動した際に許諾の通知を出しますよね。でも必ずしも初回起動時にしなくてはいけない訳ではなくて、初回の「購入体験」が終わった直後に「関連するおすすめ情報のプッシュ通知を許可しますか?」と設計するアプリもあります。どの時点で、どのような伝え方でプッシュ通知の許諾を得るか、ユーザーの体験設計をしっかり踏まえることが大切です。
小野
当社のグロースハックチームでもASO支援サービスを提供しています。ASOの大切さを理解されてない企業さんもいらっしゃるので、その場合は検索経由のインストールがいかに多いかをお伝えしてご理解いただいています。

「Repro」とグロースハックのノウハウを掛け合わせる

ー博報堂アイ・スタジオとReproがタッグを組むことによってどんな相乗効果があるのか教えてください。

小野
アプリの開発案件や改修案件では、広告のインストール数を分析するツールなど様々なツールと掛け合わせながら「Repro」を使っていますが、アップデートの頻度が高いのも魅力で、最近ではAIの機能も充実してきてとても成長が早い印象です。
吉澤
AI技術は離脱しそうなユーザーの特定に使っていて、事前に把握してアクションをすることで離脱を防ぐ効果があります。
最初に実証実験をさせていただいた集英社の漫画雑誌「少年ジャンプ+」アプリでは、離脱防止策として定期的に全ユーザーを対象に有料コミックを読む際に使えるコインを配布してたんです。実験では、離脱しそうなユーザーにだけコインを配布し、離脱防止ができるかどうか、さらに広告コストは削減できるかを検証しました。結果は、全ユーザーに配布していたときと同じパフォーマンスを85%コスト削減して実現できました。実証実験で効果が出たので正式にリリースすることになり、今は標準サービスのオプションとして提供しています。次はコンバージョン予測機能をリリースする予定です。AI関連の新機能は、優秀なトップエンジニアを配置して開発に注力しています。
小野
私が一番よく使うのはやっぱりリテンション分析ですね。さきほど解説いただいたマジックナンバーを発見するためによく使います。まずはこの分析をして、どんな機能がユーザーにとって価値ある体験なのかを把握するようにしています。
吉澤
リテンション分析は、何月何日時点で流入したユーザーが何人居て、この人たちが何日後に来た割合は、といったことが一目で分かります。課題がすぐに特定できるので、継続してくれている人にプッシュ通知を送ったり、離脱した人に送ったり、といったアクションが簡単にできます。
小野
分析もそうですけど、そこから施策を打つところが肝ですよね。この辺は我々に相談してもらえればと思います。この他にもかゆいところに手が届く機能が多いんですよ。SNS広告の機能はまだ使っていないんですが、今後使ってみたいと思っています。アプリを使わなくなってしまった人に対してSNSで広告を打てるんです。アプリから離れてしまった人にアプローチできるのは秀逸だと思います。
吉澤
ありがとうございます。SNS広告は、現状の課金しているユーザーだったりロイヤルカスタマーに近しい特徴を持つ人をSNS上で見つけてピンポイントに広告を出す、ということもできます。継続率を高めるための施策でもあるんです。
小野
サポートが手厚いのもReproの特徴ですね。コラボレーションツールのSlack上に「Pluto」というユーザーコミュニティがあって、導入している企業の方が活用の上での悩みだったり、「こういう機能が欲しい」といったことをいつも議論されているんです。それにすぐ対応されていらっしゃいますし。
吉澤
実際にユーザーコミュニティでご要望いただいた機能を実装したケースは何度もあります。「Pluto」以外にも、パートナープログラム「Repro Partner Union」でパートナー同士、販売代理店同士のユーザーコミュニティも作るので、更にサポートを強化していきたいと思っています。
パートナーということで言うと、Reproと博報堂アイ・スタジオのグロースハックのノウハウを掛け合わせることで、質の高い施策支援が可能であると思っています。今後もアプリ業界を盛り上げるパートナーとして引き続きタッグを組んでいけたらと思っています。
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  • 吉澤 和之
    吉澤 和之
    Repro株式会社
    Enterprise / BizDev Div. 執行役員,General Manager
    フリーライターからキャリアを始め、創刊誌の初代編集長、広告代理店でのクリエイティブディレクターを経験した後、外資系MAベンダーにて新規事業・事業開発に従事。その後独立し、各SaaS企業の事業コンサルティングを行う傍ら、米国シリコンバレー系スタートアップ企業の日本進出支援・営業責任者を担当。2019年に執行役員としてReproに参画。エンタープライズ事業部の統括を担当。
  • 博報堂アイ・スタジオ
    ビジネスサクセスデザイン部 グロースハックチーム
    KPI設計からデータ分析、施策の立案・実行までを一気通貫して支援する、グロースハッカー。モバイル向けコンテンツ配信を行う事業会社のプロダクトオーナーを経て、事業を成長させる事の難しさやノウハウを習得した後、これまでの経験を多業種多企業の事業支援に活かし支援していくために博報堂アイ・スタジオに転身。
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