ヒット習慣予報vol10『楽楽通勤』
こんにちは。ヒット習慣メーカーズの鈴木です。
昨年11月にスタートした本連載もついに10回目を迎えました!!
このコラムは新しいヒット習慣予報を、「週刊」で紹介することにこだわっています(「習慣」だけに)ので、これからもよろしくお願いします!
さて、このコラムが掲載されるのは2月はじめですが、原稿自体は1月の第4週、首都圏に4年ぶりの大雪が降った週に書いています。大雪に弱い都心では当日の夜や、翌日の朝も交通機関が大きく乱れました。こういう時につくづく苦痛だなと感じるのは通勤です。
そこで今回のコラムでは最近の通勤事情について考えてみました。長い通勤時間はストレスになりがちですが、今回は昨今見られる通勤を「楽しく」「楽に」する動き=「楽楽通勤」をテーマにお届けします。
仮に毎日往復で2時間通勤にかけるとすると、1年間に通勤にかかる時間はなんと約20日間!これをできるだけ「楽しく」「楽に」過ごすことは、働き方の改善がクローズアップされる今の日本の緊急課題ともいえます。
まず、世の中の人は「通勤」や「通学」についてどう感じているのでしょうか?
「通勤」「通学」という言葉でどのような内容がTwitterで投稿されているのかをみるために、共起語(「通勤」「通学」とともにどのような単語が投稿されているか)を調べてみました。
上位にあがってくるワードは「寒い」「辛い」「長い」「遠い」等、その過酷さを物語るものがランクインしています。しかし、ここで注目したいのは意外にもランクインをしていた「楽しい」という言葉です。
具体的に通勤に関するポジティブな投稿をみると、「スマホでゲームや動画を見られるのが楽しい」「街の景色を楽しみたいから会社の一駅前で下車して歩く」等がありました。さらに少しユニークなところだと、「つり革や手すりを使って体幹トレーニングをする」「スマホでブログを書いて、こっそりお金を稼ぐ」人も。また、私の同僚の知り合いは、なんと通勤電車でいつも一緒になる人とたまたま仲良くなり、結婚までしたそうです。ちょっとエクストリームな例ではありますが、そんな出会いがあるかもしれないと考えると俄然通勤が楽しみになりますね。
電車内で好きなことを楽しんだり、出会いの場所にしてしまったり。通勤時間を自分の気の向くままに過ごすことで、仕事の時間とも家族の時間とも違う、自分ひとりの楽しい時間にしているのではないでしょうか。
筆者の妻は1年の産休を経て今年4月から仕事に戻る予定ですが、復帰で一番楽しみなのはなんと「通勤の時間」とのことでした。子供がいる生活はもちろん楽しいけれど、たまに完全に自分ひとりだけの時間が欲しくなるそうです(なんかスマン)。
そして、そんな通勤の楽しい時間は電車通勤に限ったことではありません。最近では「#車内歌」というハッシュタグで車の中で自分が楽しく歌っている様子をシェアする動きもあります。また、様々なジャンルの本をプロのナレーターの朗読で聞くことができる定額制のアプリサービスも車通勤者の中で人気を集めているようです。
ストレスフルな通勤を、工夫をして「楽しく」に変える。これが、今回のタイトル「楽楽通勤」のひとつめの「楽」です。
もう一つの「楽」は、「楽に」です。
最近では一部在宅勤務も推奨される会社が増えてきました。それに伴い、必ずしも朝の始業時間に会社にいる必要がなくなってきたため、出社の時間をずらすことで混雑を避け、できるだけ楽に通勤をしようとしている人も増えているようです。また私の上司は、通勤は疲れるし、時間がもったいないと考えたため、少し狭くなっても会社から近い家に引っ越しをしたそうです。
そして、そんな楽に通勤することを後押しする取り組みもはじまりつつあります。
たとえば、通勤ラッシュを緩和するサービスの一環として、JRや私鉄各社が「座席指定制の通勤電 車」を続々と導入。京王電鉄が運行する座席指定列車も今年春に運行予定(ひとまずは夜間運行)で、注目を集めています。また、官公庁でも、健康増進のために歩きやすい服装での通勤を推奨する動きなどが起こっています。
こうした取組みがより活性化すれば、通勤がより「楽に」なっていくことが期待されます。
これまでのヒット習慣予報でもビジネスチャンスの例をいくつかご紹介しましたが、
「楽楽通勤」にも色々なビジネスチャンスがあると考えます。
「楽楽通勤」のビジネスチャンスの例
■同じ電車に乗って通勤している人と仲良くなれるアプリが開発される(「楽しく」)。
■音楽サブスクリプションサービスが、車内用カラオケを配信する(「楽しく」)。
■タクシー会社が、定額制のタクシー通勤サービスを開始する(「楽に」)。
■ファッションブランドが、通勤に特化した靴や服を発売する(「楽に」)。
など
毎日の通勤を少しでも「楽しく」「楽に」する可能性を秘めた「楽楽通勤」。みなさんもぜひご自分の通勤で実践してみてください!!
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
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博報堂 統合プラニング局 ヒット習慣メーカーズ メンバー2007年 博報堂に入社。
ヒット商品やヒット習慣には飛びつかずにはいられない、ドミーハー。好きが高じて、ヒット商品やヒット習慣を生みだせると良いなと思い日々奮闘中。休日は家でアイドルのDVDを見るのが好き(主にジャニーズ)。