効率的かつ効果的なクリエイティブ制作を実現するAIクリエイティブワークフローシステム「Creative Table PINGPONG」
「Creative Table PINGPONG(クリエイティブ テーブル ピンポン、以下PINGPONG)」はアイレップが開発した、独自のAI技術をクリエイティブ制作のワークフローに組み込んだAIクリエイティブワークフローシステムです。広告クリエイティブ制作時間の40%削減を目指します。
また、マルチモーダルLLMを活用した広告クリエイティブのAI分析機能も搭載。本機能により、広告クリエイティブを客観的な視点で定性評価することが可能になります。これにより、制作の過程だけでなく、市場調査などにおいても広告クリエイティブを従来に比べスピーディーに分析することができるようになり、広告制作においてより精度の高い施策立案・実行が可能になります。
企業のマーケティング活動において広告クリエイティブは重要な要素のひとつです。日々変化する生活者の嗜好やニーズ、進化するプラットフォームに対応しながら、特にデジタル領域で広告運用の成果を維持し続けるためには、クリエイティブの制作スピードや品質、制作本数などさまざまな点でPDCAを回すことが求められます。
これまでアイレップは、クリエイティブ制作業務専門の拠点「アイレップクリエイティブディベロップメントセンター(新潟・高知)」を設置し、広告プラットフォームの進化やニーズの多様化によるクリエイティブ制作本数の増加に対応するなど、広告運用で成果を出すために必要な制作体制を強化してきました。
一方で、広告運用やクリエイティブを取り巻く環境はAIやテクノロジーの進化により日々変化しており、広告運用次第で成果が大きく変化した時代から、さまざまな面で自動化が進んだことで広告運用力だけでは成果をだしづらくなっているのが現状です。これからは、広告運用の基本であるクリエイティブの制作本数は担保したうえで、クリエイティブの質の高度化や制作作業の効率化などがより一層求められると考えています。
このような背景から、アイレップは広告クリエイティブの制作数増加に対応し続けるとともに、クリエイティブ力の向上と、効率的かつ効果的なクリエイティブ制作環境を構築すべく、AIクリエイティブワークフローシステム「Creative Table PINGPONG」を開発しました。これにより、多様化・複雑化する広告クリエイティブのニーズに迅速に対応し、クライアント企業の商品やサービスの広告効果の最大化に取り組むと共に、生成AIによるアシストを最大活用することで、広告クリエイティブ制作時間を最大40%削減することを目指します。
Creative Table PINGPONG概要
PINGPONGは運用型広告のクリエイティブ制作に特化したAIワークフローシステムです。「制作工程管理機能」と「AI制作アシスト機能」によって、ワークフローをハイパーオートメーション化し、管理・制作工数の削減とデザイナーのクリエイティブ力の向上を目指します。
主な機能
成果予測AIによるクリエイティブ判定機能 – 独自アルゴリズムによるクオリティ評価
独自開発の広告クリエイティブ成果予測AI「H-AI IMAGES※1」を搭載し、配信前に制作物のクオリティ判定が可能です。独自のアルゴリズムにより、運用型広告の成果変数(配信設定や配信金額、ターゲティング、配信期間等)を排除し、純粋なクリエイティブの評価に近いクオリティ判定をおこなうことが可能となります。※2
ChatGPTクリエイティブ制作アシスト機能 – ペルソナ・訴求軸・キャッチコピー生成
OpenAI社のChatGPTを活用し、クリエイティブプランニングに必要な「ペルソナ設定」「カスタマージャーニー」「訴求軸」「キャッチコピー」の制作をアシストします。サービス理解・ターゲットをChatGPTに学習させ、適切なペルソナ・訴求軸を整理して候補を出し、訴求軸を参照することで最終的にキャッチコピー案を生成します。
これによりクリエイティブプランニングの初期考察工数を大幅に短縮し、AIによる提案をベースに人のクリエイティビティを加える形で仕上げることにより、今までより圧倒的に少ない工数の中でも幅広い訴求のプランニングが期待できます。
Adobe Creative Cloud連携機能 – デザイン業務をスムーズにPINGPONGへ取り込み
PINGPONGはWebアプリケーションとしてだけでなく、Adobe Creative Cloudのプラグイン機能も備えています。例えば静止画広告作成の場合、デザイナーが利用するAdobe PhotoshopにPINGPONGがプラグインとしてインプリメントされるため、デザイナーはアプリを切り替えることなく、Photoshop上でPINGPONGのクラウドストレージ保存やSlack連携によるレビュー機能などが利用可能です。
また、Adobe Creative Cloudとのシームレスな連携により、今後、アドビ株式会社より提供が予定されている生成AI「Adobe Firefly」によるAIクリエイティブを広告制作プロセスに対し導入することで、クリエイティブ力の向上とともに、制作工程における工数削減を視野に入れております。
工程管理機能 – Slackと連動した工程管理・人的管理
クリエイティブ制作の各フローを一元的に管理します。与件発生・案件管理・アサイン管理・進捗管理をシステムで統合し、Slack連携を通じて管理とコミュニケーションをシームレスにおこなうことで、コミュニケーション工数の削減を実現します。
レポート機能
制作した広告クリエイティブを広告配信データと結びつけることにより、デザイナーがいつでも制作物の成果を確認することができます。デザイナーが常に「勝ちクリエイティブ」を把握することで、制作時のクリエイティブ力の向上に寄与します。
制作物管理機能 – クラウドストレージと連動した納品管理
過去に制作したデザインデータを一元管理することで、必要な情報へスピーディーにアクセスでき、これまでのクリエイティブPDCAを一挙に確認できます。ファイル名の自動生成、案件単位でのクラウドストレージへの自動フォルダ生成・保存などをシステムによって自動的におこない、ファイル生成に係る作業時間をゼロにすることを実現します。
マルチモーダルLLM を活用した広告クリエイティブの要素分析
マルチモーダルLLMを含む各種AIを活用した、広告クリエイティブの要素分析機能。自社の広告クリエイティブのみならず、市場のあらゆる広告クリエイティブの分析が可能。要素を列挙するだけでなく、メインコピーやキービジュアルが何であるのかを特定し、生活者にどのような訴求をし、どのような印象を与えるのか、体系的に分析することができます。これにより、制作した広告クリエイティブを客観的かつスピーディーに分析することが可能となり、広告のクリエイティブ制作における品質・スピードの向上につながります。
サービスの持つマーケティング課題を踏まえた、広告クリエイティブの制作背景の推定
広告クリエイティブに加え、サービス名や配信媒体・時期などの周辺情報を入力することにより、その広告クリエイティブがどのようなマーケティング課題を解決するために制作されたものか推定できます。推定に必要な最新情報を検索してから分析をはじめるため、精度の高い分析結果が得られます。これにより、自社の広告クリエイティブが生活者に意図どおりに伝わるか、意図しない伝わり方をしてしまうリスクがないかを客観的に確認することができます。また、市場の広告クリエイティブにおける制作目的を、推定することも可能になります。
※1 「H-AI IMAGES(PINGPONGモジュール)」は博報堂DYグループの横断型組織「Creative technology lab beat」にて博報堂DYグループの博報堂テクノロジーズとアイレップグループのnegociaが開発したクリエイティブの効果予測AIです。
※2 本技術は特許出願中です。
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Hakuhodo DY ONE