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ヒット習慣予報 vol.341『噛みライフ』
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ヒット習慣予報 vol.341『噛みライフ』

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの平石です。
みなさんは口さみしい時、何を飲んだり食べたりしますか。
私は噛むことが好きなので、食後や小腹が空いたときはガムを噛むことが多いです。
実際によく噛むことは、歯の健康につながる・脳の働きが活発になる・味覚が発達するなどの良い効果があるそうです。
Googleトレンドで「噛む」と調べると、「健康」カテゴリにおいて長期間にわたり右肩上がりになっていることが分かり、注目され続けているトレンドであることがわかります。

「噛む」の検索数推移(「健康」カテゴリ)

出展:Googleトレンド

一方で、噛むものの代名詞的なガムは近年、私も含め買わなくなったという声を知人の間でもよく聞きます。コロナ禍のマスクとの相性や喫煙率の低下、タブレット菓子の台頭などが要因ともいわれています。
そうした中で、従来のガムでの口臭対策や歯の健康対策ではない目的のための「噛む」習慣が広まってきています。その習慣を「噛みライフ」と名付けて紹介していきます。

最初に紹介するのは「美容のための噛みライフ」です。
これは、噛むタイプのサプリメントを美容目的で摂取する習慣です。
近年ただ液体や粉末を飲むことで摂取していたサプリメントが、おやつ感覚で噛みながら摂取できるグミ状のタイプが私の周りでも親しまれているようです。。
味も栄養ごとに工夫(ビタミンだと柑橘系、目に効くものだとベリー系など)されており、嫌々飲んでいた栄養補給手段から、“美味しく噛める栄養あるおやつ”に認識が変わってきているのです。
さらに、よく噛むことを習慣づけられることで、口周りの筋肉が鍛えられて小顔効果にもつながるような気分になり、美容面において一石二鳥といえるそうです。
個人的にもいくつかのメーカーのものを購入してみましたが、美味しいので無理なく続けられる点から私の新しい習慣にもなっています。食べ過ぎてしまいそうになることだけが難点です。

続いて紹介するのは「ストレス発散のための噛みライフ」です。
これはとにかく堅い・噛み応えのある食べ物を噛むことで、ストレスを発散する習慣です。
実は最近噛み応えが強いパスタ麺が私の中でヒットしました。また固さを前面に押し出したグミ商品が店頭に増えているようです。
ヒットの秘訣はやはり強い噛み応えで、噛むことがストレス発散になるそうです。
「噛みライフ」をしている友人は、固いパスタやグミはもちろん、晩酌のお供に鮭とばを食べることにハマっていて、文字通り“噛みしめて”味わうことが1日のささいな幸せになっているとのことでした。

最後に紹介するのは「パフォーマンスアップのための噛みライフ」です。
これは、噛むことで思考を停止して頭をクリアにすることを目的とした習慣です。
冒頭でガムは近年買わなくなった生活者が増えつつあるようであると書きましたが、最近は新しい商品が登場し、よりパフォーマンスアップのために選ばれるようになっています。
具体的には、ほぼ味がなかったり、固さが長期間変わらなかったりするガムなどが出てきていて、そのガムを噛み続けることで作業に没頭できたり、スポーツのパフォーマンスがアップしたりするそうです(※)。メジャーリーガーが試合中にひまわりの種やガムを噛んでいるイメージがあり行儀が悪い気がしていたのですが、噛むことにポジティブな効果があったようです。
※:ガム咀嚼による脳覚醒が運動パフォーマンスに及ぼす影響「体力科学」より(塩田正俊, 松原茂, 西川絵梨子, 鈴木政登)

私も固さが長時間変わらないガムを噛みながら作業をしてみると、自分の中でリズムが刻まれるような感覚があり、飽きにくく、思考の調子が良くなっていく感覚がありました。
行儀が悪いと一括りにせず、仕事中やスポーツ中の噛みライフを認めていくべきなのかもしれませんね。

ではなぜ今このような「噛みライフ」が広まってきているのでしょうか?
大きく2点の要因があると考えています。

1つは、グミ文化自体の広まりです。
先述した栄養摂取に繋がるグミや固さの異なるグミの登場により、一昔前よりもコンビニやスーパーのグミコーナーは拡がっています。またグミは“映える”見た目の商品も多く、若者中心にSNSで多く投稿され、食べる様子を配信するASMR動画も多く制作されるようになりました。グミ文化のさらなる広まりが、噛みライフへの関心につながっていると考えています。

2つ目は、タイパ志向との相性の良さです。
噛みライフは、上述の通り美容や集中力向上、エネルギー/栄養補給を噛むだけで実現できるため、余計な労力・時間をかけずにできる習慣です。“ながら”、“ついで”で取り組めるためスキマ時間競争の範疇から外れるタイパの良い、タスクと感じられない習慣なのです。このように今の若年層の価値観とマッチしていることから広まっているのでしょう。


最後に「噛みライフ」習慣を活かしたビジネスチャンスを考えてみました。

「噛みライフ」のビジネスチャンスの例
■暑い日にピッタリな冷やして美味しい「冷感ガム」
■シニアでも飲みこむ心配が少なく、手軽にカロリー補給できる「シニア向け高カロリーガム」
■美しい輪郭・口周りの筋肉を育てる「噛み方診断・矯正アプリ」
など

今後は(マナー上問題ないコースであれば)ガムを噛みながらゴルフしてみて、スコアを比較してみたいと思っています。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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  • 関西支社第二ビジネスデザイン局第二プラニングチーム
    ヒット習慣メーカーズ メンバー
    2020年博報堂中途入社。前職から継続してストラテジックプラナーとして働く自称「関西支社の元気印」。4つ下の弟・9つ下の妹がおり、家族揃ってカープファン。コロナ禍で始めたゴルフのベストスコアは奇跡の93から停滞中。