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ゲームはメディア。Z世代やα世代にリーチする「ゲーム広告」を新たなスタンダードに|ARROVAが米Anzu社と提携
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ゲームはメディア。Z世代やα世代にリーチする「ゲーム広告」を新たなスタンダードに|ARROVAが米Anzu社と提携

いま、ゲームというコンテンツが新たな広告メディアとして存在感を高めています。そんななか、日本におけるゲーム広告市場を牽引する株式会社ARROVAが、世界最先端のインゲーム広告ソリューションを提供するAnzu社と提携。ゲームのメディア化とはどういうことか、Anzuとの提携により生まれるシナジーとは?
ARROVA代表取締役社長 荒井浩介と、メディア開発を担う丹羽巧に加え、メディア市場やデジタルマーケティングに精通するHakuhodo DY ONEの永松範之が語ります。

日本国内のゲームユーザーは人口の約半数。ゲームは広告における最後のフロンティア市場

-ARROVAはゲームを次世代のメディアと捉え、その市場を牽引することを掲げていますが、あらためて、なぜ「ゲーム」なのでしょう?

荒井
いまZ世代とα世代中心に、メタバースを含めた3D空間でゲームコンテンツを楽しむ人が増えています。世界におけるゲームユーザーは30億人、日本においても人口の約半数におよぶ5,400万人に到達。これは十分メディアとして成立するボリュームです。さらに、可処分時間の割合を見ても、若年層ではSNSよりソーシャルゲームに費やす時間が長いという結果も出ています。

このような背景から、アメリカでは広告における最後のフロンティア市場と言われ、急速に活用が進んでいるところです。スーパーマーケットチェーンのWalmart(ウォルマート)がROBLOX(ロブロックス)内に体験型コンテンツをつくったり、「ポケモン GO」の位置情報を使った広告が展開されるなど、ユニークな取り組みが日々生まれている状況です。
アメリカの広告市場が日本の1~2年先を行っていると考えると、近いうちに日本にもその波がやってくる。この市場を牽引するため、これまでもゲーム空間を活用した広告サービスを展開してきましたが、今回のAnzuとの提携で、さらに力強いパートナーを得たことになります。

永松
これまでゲームにおける広告市場を牽引していたのはカジュアルなスマホゲームが中心でしたが、この数年でコンソールやPCを活用した広告市場も大きく伸びていきています。ゲーム開発もマルチプラットフォーム対応で行われていることにともない、広告枠もネットワーク化されたことでリーチを獲得しやすくなったというのが大きいですね。

ゲームの世界観とマッチしたコミュニケーションが強み。高い広告効果が期待できる

-広告枠のネットワーク化とは?

荒井
ひとつのゲームのなかに広告枠を買い付けるのではなく、数百以上のゲームタイトルに常時接続されていて、1つのクリエイティブをさまざまなゲームに配信できるネットワークがつくられています。それを運営しているのが、今回提携するAnzuのような企業です。

ピッチサイドの看板やゲーム内のディスプレイがネットワーク化され、広告枠として買い付けできる。

ゲーム広告では、サッカーゲームのなかでスポーツブランドの広告が出ている、レーシングゲームのなかで車の広告が出ているといったように、ゲームの世界観とマッチしたコミュニケーションをできることが強みです。広告の掲出だけでなく、車を運転して遊べるゲームを開発するなど、実際にプレイすることでブランドのメッセージを印象深く刻むこともできます。
2023年から、世界最大の広告祭であるカンヌライオンズにゲーム部門が新設されたこともエポックメイキングなできごとでした。それだけ世界のマーケターが注目しているということですし、ゲーム広告ならではのコミュニケーションに期待されている証だと思います。

永松
こういったプレイスメント型のゲーム広告は高い広告効果があるという調査結果がIAB等から出ています。視認性と注視性の高さに加えて、記憶に残りやすいという傾向もあります。KONAMIが「実況パワフルプロ野球(以下「パワプロ」)」というタイトルを出していますが、テレビのプロ野球中継とパワプロ内の看板広告を比較したところ、パワプロ内の広告の方が記憶に残りやすいという結果が出ていて興味深かったです。(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/contents/downloadfiles/report/esportskoukokukatireport2022.pdf)ゲームは自分ごと化している状態でプレイしているので、より深く印象に残るのかもしれません。

広告主とパブリッシャーとユーザー、三方良しのエコシステムを目指す

-プレイしているユーザーの体験をじゃませず、広告効果も得られるということですね。

荒井
ユーザーからの反感を受けにくい、という広告主の利点もありますし、ゲームパブリッシャーはこれまで事業のなかに広告収益という概念がなかった分野。ゲームの売り上げがイコール開発資金だったわけです。そこに新しく広告収益がプラスされることで、資本力が生まれ、強いタイトルが開発されれば、ユーザーもそれを楽しむことができる。そんなふうに日本のゲーム業界全体が盛り上がるサイクルを生み出せたらと思っています。

ゲーム広告を活用していくことで、3者が相互にメリットを生み出し恩恵を受け続けられるサイクルがあるとARROVAは考えています。それぞれのメリットは以下の通りです。

●ゲームパブリッシャーのメリット
良質なゲーム作品を提供し続けるには莫大な開発費用が必要で、インゲーム広告により広告収益を得ることで開発資金を補うことができます。また従来のリワード広告と異なり、プレイを中断せずゲーム空間に溶け込む広告フォーマットを用いるため、最も重要なコンテンツ品質を保てることから、広告によってはリアリティが向上するケースもあります。

●広告主のメリット
若年層への訴求効果が高いゲーム広告、ならびに忌避感を与えにくい新しい広告フォーマットで認知を獲得することができます。ゲーム中は画面を注視し続けるため、通常のウェブメディアに掲載される広告と比べ、視認性が高く、広告の視聴時間が長くなる傾向があります。

●ゲームプレイヤーのメリット
プレイを中断し広告を強制視聴する必要がなくなるため、ゲームの体験を阻害されることがなくなります。また、広告クリエイティブとゲーム空間の相性がいい場合は、ゲームのリアリティが増しプレイ体験が向上するケースもあります。(例:レーシングゲームにおいて、コース上に自動車メーカーの看板が掲載される場合など)

このエコシステムによって、
日本のゲームパブリッシャーは広告収益をもとにより素晴らしいゲームを生み出し、ゲームプレイヤーは魅力的なコンテンツにより没入、そして、広告主はプレミアムなゲーム内広告枠でユーザーの印象に残る訴求活動を行う、
これらの良い循環が生み出されます。

-ARROVAとして具体的に取り組んでいる活動は?

丹羽
ゲーム内の広告枠を販売するという活動も行っていますが、同時にパブリッシャーに対してこの技術を取り入れていただき、ゲーム内のメディアを増やしていく活動も行っています。今回提携したAnzuのソリューションを活用すると、ゲーム開発者はドラッグ操作で範囲を指定するだけで広告枠をつくることができるのです。感覚的には、パワーポイントで正方形を描くくらいの簡単さです。ゲーム開発者は常に時間に追われているので、開発者の負担が少ないソリューションというのは非常に優位性が高いです。

技術力、調達資金、ゲームプラットフォーマーとの連携、すべての面で抜きん出たAnzu

-パートナーとしてAnzuを選んだのはその技術力が決め手ですか?

丹羽
技術的なクオリティの高さはもちろんですし、Anzuは2022年に改定されたIAB(インタラクティブ広告協議会)のゲーム広告測定ガイドラインを、世界に先行してクリアしている企業です。むしろルールメイキングから参画して、スタンダードをつくる側にいます。
たとえば、ユーザーの視野に対して広告枠がどう表示されているかを計測し、見やすい角度で適切に表示されている場合のみ広告収益が発生するように定義されています。

ユーザーの視野に広告枠が適切に表示されているかを常に計測。ゲーム内であればすべての屋外広告が計測可能となり、レポーティング可能な屋外広告として期待できる。 

荒井
さらにAnzuは、Sony Innovation Fundをはじめとするメジャーなベンチャーキャピタルからの出資を受けていて、シリーズBで70億ほどの資金を調達しています。加えて、主要なゲームプラットフォーマーの開発ツールに対応している実績がある。ここ数年さまざまなスタートアップが出てきたなかでも、開発技術のレベル、調達資金、ゲームプラットフォーマーとの連携、すべての面で抜きん出た存在でした。Anzuのソリューションを活用しながら、日本のゲームパブリッシャーも巻き込み、「ゲームで広告を出すのは当たり前」というムードを醸成していきたいですね。

「ゲーム=メディア」は新常識。若年層にアプローチする広告として活用を進めたい

-近年、SNSの詐欺広告などへの忌避感も高まっているように感じます。そういった心配はありませんか?

荒井
ゲームはユーザーに遊ばれなくなってしまってはすべてが終わりです。そのため、広告配信にあたっては、どんな広告を許可するのか、業種や内容の審査などかなり細かく管理できるようになっています。ゲーム制作会社は、ホワイトリスト、ブラックリスト管理といった機能によってゲームの世界観を守ることが大前提。広告主にとっても、こういったプロコンテンツに広告配信することは、炎上リスクの面でも安心感につながります。
ゲーム広告はアメリカではすでに実用フェーズに入っていて、IABによるガイドラインもできている。「ゲーム=メディア」という新しい常識が生まれています。ゲームと一体化した世界観でユーザー体験を邪魔しない広告配信は、認知効果としても高い結果が出ている。決して「未来の広告」ではなく、実用フェーズに入っているということを強調したいです。

-さいごに今後の展望をきかせてください

荒井
いまマーケターの課題のひとつにZ世代やα世代に対するアプローチの開発があると思います。その世代に向けた訴求ができるのがゲーム広告の強みです。
繰り返しになりますが、文脈を大切にした広告配信ができるということもインゲーム広告ならではです。SNSに並ぶもうひとつ大きな武器として、インゲーム広告を活用していただきたいですね。
今回はゲーム内広告である「IN GAME」領域についてお話ししましたが、ゲーム広告にはほかにも、メニュー画面に表示される広告配信の「PRE GAME」領域、ゲームの実況配信など二次拡散コンテンツへの広告配信である「OFF GAME」領域があり、周辺領域も高いポテンシャルを秘めています。ARROVAとしてこの周辺領域にもしっかり活動を広げていきたいと思っています。
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  • 株式会社ARROVA 代表取締役社長
    2019年株式会社博報堂DYメディアパートナーズに入社後、大手自動車会社など向けのデジタルメディアマーケティングに従事。2021年よりデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社にてメタバース・ゲーム・XR領域における次世代メディアサービスを展開。2023年8月、株式会社ARROVA 代表取締役社長。
  • 株式会社ARROVA メディアテクノロジーグループ/シニアディレクター
    2018年にデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社(現 株式会社Hakuhodo DY ONE)に入社し、「DialogueOne@」の販売戦略立案および商品企画に従事する中で「DialogueOne@Insight」の開発に携わる。
    2022年4月よりARROVAプロジェクトに参画し、2023年8月の会社立ち上げから、ゲームパブリッシャーを中心とした媒体社の開拓と、ゲーム・メタバース空間における次世代広告商品開発を担当。
  • 株式会社Hakuhodo DY ONE 新規テクノロジー事業開発本部 研究開発局シニアマネージャー
    2004年デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム入社(現 株式会社Hakuhodo DY ONE)、ネット広告の効果指標調査・開発、オーディエンスターゲティングや動画広告等の広告事業開発を行う。近年はAIやIoT、XR等のテクノロジーを活用したデジタルビジネスの研究開発に取り組む。専門学校「HAL」の講師、共著に「ネット広告ハンドブック」(日本能率協会マネジメントセンター刊)等。