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ショート動画は、次のレベルに!? 関ミナティがAIと生み出す革命的な未来とは!?|横山昴×ショート動画クリエイター対談vol.3 マツダ家の日常編
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ショート動画は、次のレベルに!? 関ミナティがAIと生み出す革命的な未来とは!?|横山昴×ショート動画クリエイター対談vol.3 マツダ家の日常編

新たなメディアとして影響力を高め、今後の企業PRに不可欠な存在となりうるショート動画。
クリエイターたちは、企業の案件をどのように咀嚼し、どのように発信することで生活者に“愛されるPR動画”を開発しているのでしょうか。いま博報堂社内でクリエイターと最も交流が広いと自称する横山昴が、注目のクリエイターと対談する連載企画です。

第3回目のゲストは「マツダ家の日常」の関ミナティさん。120名以上のメンバーを擁するクリエイター集団「チームマツダ家」として、企業のSNSコンサルだけにとどまらず、ショート動画業界の未来を切り拓く活動を進める関さんに、ショート動画×AIなど注目のキーワードをうかがいました。


関ミナティ
マツダ家の日常/M2DK.Inc クリエイター
HP: https://m2dk.jp/

横山昴
株式会社博報堂 クリエイティブ局 アクティベーションディレクター
株式会社PEAK 客員CSMO(Chief Short Movie Officer)
関さんと初めて会った日、違う登路から同じ山を登っていた盟友と、偶然5合目辺りで鉢合わせたそんな感覚でした。いや、この出会い“やばいでしょ”。

自分だけノウハウを持っていてもダメ。たくさんの人が成功しないと業界全体が盛りあがらない

横山
僕が関さんとはじめてご一緒してから、もうそろそろ1年くらい経ちますね。いま関さんは「なんの人」とお呼びするのがいいのでしょう?
やっぱりいまは「ショート動画クリエイター」「ショート動画マーケター」でしょうか。最近はそこにAIをミックスさせ、マーケティングに活かしていく取り組みを進めています。
横山
未来人のような見た目の関さんが、いまAIを語るのは面白い笑。その話、突っ込んでいきますね! そして、「マツダ家コンサル」も好評のようですね。
はい(笑)! 自分の目でショート動画の本質を捉えていくなかで、普遍の法則があることに気が付きました。いまはそれをAIに覚えさせて、AIと協力しながら世界中のショート動画を分析しているところ。根本の「人がどう感じるか」は人間でないとわからないので、その部分はこれまでのチームの経験がベースになっています。

はじめてTikTokに投稿してから3年ほど経っていますが、その法則も、その間で消えてしまったものと、まだ残っているものがある。3年経って残っているものはおそらく普遍的に人間が「反応」するものだと思っています。

横山
「反応」って言葉自体もショート動画特有ですよね。僕も山ほどショート動画を見て、その法則性を言語化しようと試みたのですが、没入し続けながらとんでもなく大変なことですよね?
はい(笑)。でも、それが楽しかったんですよね。
はじめは右も左もわからなかったし、いまのようにノウハウを発信する人もいなかった。とにかく自分の感覚で探し当てるしかなかったんです。

でも、僕だけノウハウを持っていてもダメだなと。もっとたくさんの人がショート動画で成功しないとこの業界自体が盛りあがらないと感じたので、なんとか再現性をもたせるために言語化しようと考えました。

横山
わかる! その使命感みたいなのは、僕も感じています(笑)。
この動画はバズってるのにどうしてこれはバズらないのか、それを検証して仮説を積みあげる作業を1年くらいかけて突き詰めて、ショート動画のつくり方を発信するようになったんです。
その1年で「ショート動画というのはこういうもの」というのが僕の体にインプットされた感じはありました。そこから本質的には何も変わってないんです。

同じ志を持つ100人が、「チームマツダ家」。全員でショート動画界隈を盛り上げる。

横山
いまは「チームマツダ家」として活動されていますが、メンバーは何名くらいいるんですか?
いま120人くらいになりました。AIエンジニアも増えましたし、元住宅メーカーのトップセールスマンとか、トラック運転手とか、本当にいろんなジャンルの人がいます。

横山
チームマツダ家をつくるというのが関さんがやりたかったこと?
めちゃくちゃやりたかったですね。いまがある意味、夢叶っている状態。
横山
「チームマツダ家」は、表現に特化したクリエイターとは違う立ち位置ですよね。ひとつのクリエイティブ・ブティックとしてお付き合いできるイメージを持っています。僕のようなアクティベーションディレクターの隣に関さんたちがいてくれると、すごくいいシナジーが生まれるんじゃないかな。

そう言っていただけるとうれしいです。アカウント運用のコンサルティングはかなり早い段階からやっていたんですけど、ショート動画を使ったマーケティングについては横山さんをはじめとした博報堂の皆さんにもいろんな事を教えて頂いたので、すごく感謝しているんです。いまは僕ひとりの知見ではなく、チーム全体にノウハウを行き渡らせているので、一人ひとりのメンバーの力も飛躍的に伸びていますよ!

ショート動画の出現で「人が興味を持つもの」の法則性が明らかになってきた

横山
僕はブランドが伝えたいことをショート動画広告として形にすることが得意です。一方で、関さんはクリエイターとしてどう生活者の気持ちを引き付けるかが得意。僕とチームマツダ家がタッグを組むと、可能性は今以上に広がりますよね。
先日、横山さんと一緒にクライアントへ出向き、勉強会をしたときに僕もシナジーを感じました!
横山
さらに、そこに「AI」が加わって、僕らのタッグは更に強くなりますよね。勝手に名前考えたんですが、マツダ家さんの社名「M2DK」に、僕の芸名?「TODAY」を加えて「M2DK&TODAY」なんてどうでしょうか。そこにAIを加えて…
TODAYさんらしい“どストレート”なネーミングですが、サービスの名前は次会ったときにちゃんと考えましょう(笑)!
横山
ですね…!

僕らはいまショート動画マーケティングを仕事にしていますが、AIを活用していけば、極論「人がどこに幸せを感じるか」というところまで答えが出てしまうんですよ。
まだAIってこわいと感じる人もいると思いますが、触れていくとわかるのが、人が本当に人間らしく生きるための道具なんですよね。人の生活が脅かされるということの真逆。
横山
未来の話じゃないですし、SFの話じゃないですもんね笑。実は、僕も企画を考えるときにAIと会話しながら考えています。本当に良い“壁打ち相手”で「ショート動画でバズりそうなアイデアを100案考えてよ!」なんて無茶振りしても一生懸命答えてくれる。やり取りしていると可愛く思えてきます。
おー面白いですね!アイデアブレストにAIを活用しているのですね。では、僕らは「ショート動画とAIを掛け合わせる」というフェーズから一緒にはじめていきましょう!それが、世の中に広がるうえでわかりやすいと思うので。

企業も気付いていない「宝物」を、いかにわかりやすく、世の中に広めていくか

横山
関さんって、突如現れた「ヒーロー」みたいな感じがありますよね。
動画クリエイターってプラットフォームに乗っかって自分をアピールするのが普通なのに、関さんはショート動画界隈を盛り上げていこう、クリエイターを増やしていこうという立ち位置にいる。それが僕にとってはすごく「ヒーロー」的なんですよ。ピンチなときに「もう大丈夫!何故って!? 私が来た!!」って現れるのが関さん(笑)
どこかで聞いたことがあるセリフ! うれしいです!
僕の根本にひとつの考えがあって。みんな「好きなことをしてご飯食べていけるほど甘い世界じゃない」って言うじゃないですか。でも僕らが思ってるのは「好きじゃないことをやって生きていけるほど世界は甘くない」ということ。
横山
そこ、もう少し詳しく聞きたいです!
自分が好きなことをいかに世の中に広めて、人を熱狂させて、世の中の価値にするか。さらに、それでご飯を食べていくためにどうすればいいかをひたすら追求しています。
だから、ほかの動画クリエイターさんにもどうすれば仕事にできるかを伝えるし、この考え方は企業さんと向き合うときも同じ。いろいろな会社さんにお邪魔してお話を聞いていると「こんなすごい仕事をしているんだ!」という驚きの連続なんですよね。一方で「こんなすごいのになんでそこショート動画で伝えてないんですか!?」ってことがたくさんあるし、僕らはそれを伝えたいと思う。

じゃあなぜ「ここを伝えればいいのに」というポイントがわかるかと言えば、ショート動画を知り尽くしているから。企業さんにとっては当たり前のことでも、僕らの視点でヒアリングをしていくことで、そこにものすごい宝物が隠れていたりする。それをいかにわかりやすく、世の中に広めていくかを常に考えている感じです。

横山
面白いなあ。僕は「愛されるブランド作り」というテーマで多くのクリエイターと研修やワークショップを行っていますが、彼らは表現部分“How to say”を語ることが多い。しかしながら、関さんはブランドの “What to say”を引き出すところから入り込んでいるんですね。
両方をショート動画に最適化しないと、愛されるブランドは生み出せないです。これは、これまでの様々な施策を通じて確実に言えることです。
横山
この頃は企業さんも、次の一手に飢えている感覚がありますよね。業界と相性が良いクリエイターからもなかなか新しい施策が出ないと現場では悩みの声が多数。関さんは単なるクリエイターのキャスティングじゃない、新しい手法ってどうすれば生まれると思いますか?
おー、その解決策はひとつで、マツダ家に相談することです(笑)。
一概にこうという正解はなくて、本当に企業さんによって違うもの。企業がどこに向かいたいのか、なにが課題なのか、洗いざらい全部話してもらって、ベストな施策を提案する。先日とある映画のPRを担当させていただきましたが、これまでの手法とはまったく違うアプローチで、良いスタートを飾ることができました。
横山
PR投稿だけじゃないショート動画における“ニュートラルな手口”も求められる時代ですね。その起点はやはり企業にどこまで向き合えるかですよね。
本当に。僕らがどこまで“自分ごと”にできるかだと思います。マツダ家のメンバーの特性かもしれませんが、すべてのクライアントさんに対して全力で向き合っているので、施策が成功したときの喜びようといったらすごいですよ(笑)。もちろん感覚的なものではなく、ロジカルに詰めていけるのがチームの強みだと思います。
横山
前述のように僕は「いかに愛されるブランドをつくるか」というテーマを大事にしているんですが、ショート動画でもそれができると思いますか?

できると思いますし、すでに出来ていますよ。短期的に結果を求めるのではなく、中長期的に取り組んでいく必要があります。なにを印象づけたいか戦略を持って動画をつくることも大切ですし、例えば、TikTokが好きな人に「あ、この企業私達が普段から触れているコンテンツの世界にちゃんと入ってきてくれている」と感じてもらうこともすごく重要。

ブランドをくずさず、ちゃんとTikTokの文脈に沿っているという匙加減が大事になってきます。そうすると見ている人は「自分たちの仲間だな」と思ってくれるはず。味方だなって思う感覚って、必ず記憶に残るんですよね。ショート動画の環境は、特にそれが起こりやすい。

人はこれから検索をしなくなる。「おもしろい」はAIが探してくれる時代に

横山
なるほど。自分が知っている企業が、自分たちが好むものに近づいてきてくれている=好意になるんですね。
ところで、ショート動画は今後まだまだのびていくマーケットだと思いますか?

伸びますね。というより、今後はメインになっていきます。人はより楽な方に動いていくものなので、今後「検索する」という行為をしなくなるはずなんです。
横山
「検索」は「会話」になっていきますよね。
そう。そして今後は自分のデータをAIにぜんぶ預けていくことになる。もし自分の家に執事がいたら、好きなものと嫌いなものを伝えておきますよね。それと同じ感覚。

あともう一つ、これからはおもしろいコンテンツが信じられないくらい増えて自分では探せなくなる。だから自分がおもしろいと感じるものをAIに探してもらうしかなくなる世界がやってくると思います。その未来に導いてくれるのが、ショート動画なんです。

横山
それがショート動画!? 人のニーズを追い続けている関さんだからこそ、その未来が見えているということですよね。
そうですね。これをこわい世界だと思われないにはどうしたらいいかを考えていますね。すごくいい未来なんで。AIはお友だちですね、本当に。

横山
AI×ショート動画について色々と聞きましたが、関さんは今後企業とどんな取り組みをしていきたいですか?
うちの会社はショート動画ってむずかしいんじゃないかとか、やってみたけど結果が出なかったという企業さんこそ、ご一緒したいですね。
まったく違うアプローチをするので、いままでの概念をぜんぶ捨ててほしいです。企業やブランドのいいところを見つけることは他の人でもできるかもしれないですが、そのいいところをどういう文脈で届ければいいかまでわかっているのが僕らのチーム。
横山
僕はSNSのクリエイティブ全体をプラニングする立場として、関さんのように知見のある方といっしょに共創できることが、とても心強いです! それに僕以外にも、社内でも悩んでいるメンバーはまだまだ多くいるはず。そういった現場に現れて救ってほしい!

そうだ、そんなときにヒーロー的な必殺技があったほうがわかりやすいな…「M2DK アターック」とかどうですか?

すみません。その案は、却下で。

 
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  • 関 ミナティ
    関 ミナティ
    マツダ家の日常 クリエイター
    2020年11月にTikTok「マツダ家の日常」を投稿開始。関暁夫のモノマネで独自のラップを歌う動画などがバズり、「TikTok流行語大賞2021」で「いやヤバいでしょ」のフレーズがチャレンジ部門を受賞。
    「TikTok Awards Japan 2022」ではWorldwide Creator of the Yearの受賞などクリエイターとして活躍する一方、各種メディアやセミナーへの出演などで、他のクリエイターたちに「バズる動画の法則」を広く伝えるコンサルタントとしても活躍する。

    書籍:TikTokハック あなたの動画がバズり続ける50の法則
  • 株式会社博報堂 クリエイティブ局 アクティベーションディレクター
    株式会社PEAK 客員CSMO(Chief Short Movie Officer)
    プラットフォームと連携しQuickに効果的な動画を作り出す「.QuickMovie」を発足後、1,500本以上の動画を企画からPDCA運用まで担当。その経験から動画起点で逆上がりしTVCM運用までを統合プラニングすることを得意とする。2021年にはTikTokとの国内初のクリエイティブチーム「TiQuick」を発足し、1年で日本企業初の認定クリエイティブteamへと成長させた。また、2024年に新設された「TikTok Creative Award」で審査員を務める。
    同年からグループ会社PEAKの客員CSMO(Chief Short Movie Officer)を兼務し、ショート動画やクリエイターなどソーシャルコミュニティを強みにした「STEAMSTUDIO」の立ち上げに携わる。