ヒット習慣予報 vol.289『アクティブリラックス』
こんにちは。ヒット習慣メーカーズの金田です。
突然ですが、皆さんは「休日に何しているの?」という質問を聞かれたときになんて答えていますか?初めて会う方や久しぶりに会う方との会話の中でよく出てくるこの質問、私はこの質問が苦手でした。
なぜなら昔は、休日はリラックスしたいという思いから家でゴロゴロしていたということもあり、毎回なんて答えればいいんだろうかと密かに困惑しながら答えることが多かったからです。ただ、最近はあえて休日に外に出て活動をするということを意識的に行っています。そうすると、意外と外に出ているけれど結果的にリラックスできることがあることを体感し、活動的な休日も悪くないなと感じています。
そこで今回は、あえて何らかの活動をすることが心身のリラックスに繋がるという視点で「アクティブリラックス」な事例をご紹介いたします。
まずご紹介したい事例が、「ピラティス」です。
実際にGoogleトレンドでも「ピラティス」の検索数は増えており、徐々に注目度が上がってきていることがわかります。
ピラティスは、胸式呼吸法を活用し、インナーマッスルを鍛えることでバランスのとれた体になれることが特徴の、ヨガや太極拳のエッセンスを取り入れたエクササイズです。
似ているものにヨガがありますが、ヨガは冥想など精神面からのアプローチに重きを置いているのに対し、ピラティスは身体面からのアプローチに重きを置いているという違いがあります。ただどちらも肉体と精神について深く関連があると考えられています。
このことからピラティスは動きながら自分を内観していく「動く瞑想」とも言われており、身体の内部の動きに集中することで、無心の状態へと導くため、心を落ち着かせてすっきりした気持ちになることができるそうです。
続いては「美術館・博物館鑑賞」です。
以前と比べて、“アート”が最近の日本でも身近になってきて親しむ人が増えてきているように感じます。私は、幼い頃に母によく美術館や博物館に連れて行ってもらっていたからか、あの空気感や昔の人の作品を眺めているとなんとなく心が落ち着く感覚が好きで度々訪れるのですが、最近は若いカップルの方を始めとした色んな年代の方を美術館や博物館で見かけるようになりました。SNSの投稿を見ていても、美術館や博物館に行ってきた様子をアップしている人が増えてきているようにも思います。
また最近では「博物館浴」という言葉も登場し、博物館や美術館で感じる“癒し”について科学的に解明してメンタルヘルスケアに役立てようという動きも出てきています。
最後は「山登り」です。
最近、私の周りの知人や友人で山登りを始めたという声を聴くことが増えています。自然にはヒーリング効果があるということは昔から言われていますが、山登りはしんどいものというイメージがあったので、実際に始めた方に話を聞いてみました。すると、歩くたびに景色が変化していくので地形に応じて変わっていく自然を見ていると、普段のストレスがスッと消えていくのを感じ、登った時の達成感が病みつきになるとのことでした。また、山登り専用のアプリなども登場し、自分が登った山のルートや時間などを記録したり、実際に自分が登った山のシェアなどもできたりするようになってきているようです。
ではなぜ「アクティブリラックス」が広がりつつあるのでしょうか。
ひとつは、ストレス社会やコロナ禍によってメンタルヘルスに対する注目度が上がったことが上げられます。私たちは日々、様々なことを考えたり悩んだりしています。そうした悩みや“やらなければ/考えなければならない重荷”から一時的にでも解放され、目の前のことにシンプルに集中する時間を持つこと。この時間が実は自分の頭の中や心を整理する時間として活用されているのではないでしょうか。また、新型コロナウィルスが5類に移行したことによってこれまで抑えられていた外に出てアクティブに活動をしたいという気持ちを存分に発散できるような環境になってきたことも後押ししていると考えられます。
また、今回ご紹介したような事例はどれも、毎回“新しさ”との出会いがあることも特徴です。普段の生活の中で、中々新しい物事との出会いをつくるのは大変という方も多いかもしれません。しかし、例えば美術館鑑賞であれば毎回見たことのない作品と出会い、山登りであれば毎回異なる景色と出会えるように、その活動によってマンネリ化した日常生活に適度な刺激を与えてくれることが、結果として心の心地よさにつながっているのではないでしょうか。
最後に「アクティブリラックス」をめぐるビジネスチャンスについて考えてみました。
「アクティブリラックス」のビジネスチャンスの例
■自分のリラックスしたい度合いに適した活動を提案してくれるサブスクサービス
■リラックス効果を最大化できるピラティスウェアの販売
■アクティブリラックスな体験ができるホテル宿泊プランの開発
ずっとピラティスをやりたいやりたいと思い続けてまだ行動に移せていないので、これを機にまずは体験レッスンに行ってみようと思います。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
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関西支社第二ビジネスデザイン局第二プラニングチーム
ヒット習慣メーカーズ メンバー2017年に博報堂入社。大阪生まれ大阪育ちのマーケター7年目。ヘルシー&ビューティー関連が大好き。最近新しい“推し”と出会ってしまい、日常生活がとても活き活きしています。