GA4を正しく知りたい!【Vol.4】 移管したら何が変わる? BigQuery連携について知っておこう
アクセス解析ツールとしておなじみのGoogleアナリティクス(以下、GA)。現在多くの企業で使用しているユニバーサルアナリティクス(以下、UA)が2023年6月末を以ってデータ計測終了、以降でサービス終了予定であることが発表されました。それに伴い、GAを利用している企業は今後、Googleアナリティクス4(以下、GA4)に移管していく必要があります。
前回は、GA4の機能やその特徴ついてご紹介しました。
今回は第四弾として、GA4の特徴的な機能の一つであるBigQueryとの連携機能について解説します。
BigQueryとは?
BigQueryは、GoogleCloudが提供するソリューションの1つであり、役割としては大きく2つあります。
① 大規模なデータを蓄積しておくデータウェアハウス
② 大規模なデータを高速に処理する分析基盤
TB(テラバイト/1,000GB)やPB(ペタバイト/100万GB)といったデータ処理を数秒~数分で実行し、アウトプットすることが可能です。
GA4のBigQuery連携機能
GA4には様々な新機能がありますが、中でも特徴的なのがBigQuery連携の機能です。
UAにもBigQuery連携機能はありましたが、あくまでも有償版GA360の機能であり、一部の企業でしか活用することができませんでした。
GA4では、無償版もBigQuery連携に対応し、これによりGA4で計測しているローデータへのアクセスが可能になります。(無償版GA4の場合は、100万イベント/日の上限あり)
通常、皆さんがGAの管理画面で参照されている数値は、「集計されたレポート」です。例えば、日別のセッション数、流入元別のコンバージョン数などがそれに該当します。
一方で、BigQueryにエクスポートされるローデータは、集計される前の何時何分何秒にどのページが見られたか、どのイベントが発火したかといった、点のデータが蓄積されます。
BigQueryに蓄積されたローデータの活用例
① アドホック分析に活用
GAの管理画面上には、あらかじめレポートフォーマットが用意されており、簡単にレポートが確認出来ますが、当然ながらGAの管理画面で決まったレポートの粒度やデータ集計方法でしか確認することができません。そこで活躍するのが、BigQueryに蓄積されたローデータです。前述の通り、BigQueryにはGA4の何時何分何秒にどのページが見られたか、どのイベントが発火したかといった点のデータが蓄積されているので、SQL※を活用して、自在にデータの加工やアドホック分析が可能となります。
※SQL(Structured Query Languageの略)とは、データベースの定義やデータの分析・操作を行うプログラミング言語の1つ。
② 1st Partyデータとの連携
これまで、WebやApp上の情報探索行動と自社1st Partyデータ(基幹データ)はそれぞれ別で管理されており、分断していることが一般的でした。
■従来のデータ管理
BigQueryを活用することで、分断されていたWebやAppの情報探索行動データと1st Partyデータを統合することが可能になります。
■GA4×BigQueryによるデータ管理
これにより、例えば、LTVが高い顧客における情報探索行動の特徴を分析・可視化して、実行策(広告・コンテンツ・CRMの最適化)に連携するなど、マーケティングの高度化が期待できます。
GA4のデータ保持期間
GA4では、データの保持期間を選択でき、この期間を超えると管理画面上でのデータ参照ができなくなってします。GA4の管理画面上で、データの保持期間を「2ヶ月」もしくは「14ヶ月」指定することができますが、デフォルト設定では、「2ヶ月」となっているので注意が必要です。(有償の360版では「最長50ヶ月」の設定が可能)
GAによる分析の際に、過去データとの比較をすることも多いと思いますが、2ヶ月分のデータしかないと限定的な分析となってしまいます。それでは「14ヶ月」であれば十分でしょうか?施策によっては15ヶ月以前のデータを参照する可能性もあると思います。しかし、BigQueryに連携されるローデータはこの限りではありません。計測したデータは各社の資産ですので、管理画面上で参照できなくなった後も必要に応じて、参照・分析出来る環境に保管しておくことも重要です。
GA4を導入した際には、データの保持期間を「14ヶ月」(有償360版の場合は50ヶ月)への変更することと、BigQuery連携を忘れないようにしましょう!
GA4とBigQueryの連携設定
BigQuery連携の設定はとても簡単です。
①まず、GA4の管理画面から左下の「管理」を選択し、プロパティ配下の「BigQueryのリンク」を選択します。
②右上の「リンク」ボタンを押下します。
③自身の管理するBigQueryプロジェクトを選択し連携をします。
このとき、GoogleCloudを管理・アクセス可能なGoogleアカウントとGAを管理するGoogleアカウントは共通である必要があります。
④必要に応じて、データのロケーションを選択し「次へ」ボタンを押下します。
⑤構成の設定で、必要に応じてデータストリームとイベントを選択し、頻度にチェックを入れます。頻度は基本的には「毎日」にチェックを入れ、リアルタイムでローデータを把握する必要があれば、ストリーミングにもチェックを入れます。(ただし、ストリーミングによるデータエクスポートにはデータの制限がある点、利活用する上で注意が必要です)
⑥最後に「送信」ボタンを押下し、設定が完了です。翌日以降、BigQueryにGA4のローデータが蓄積されていきます。(通常、毎日早朝に前日分のローデータが、BigQueryにエクスポートされます)
今回は、すでにBigQueryがご使用いただける状態である前提での解説ですが、BigQueryは従量課金で、一般的にはクレジットカードによる支払いとなります。
ただし、企業によっては請求書払いが好ましいというケースもあると思いますので、その際には、博報堂DYグループで請求書払いによる請求代行サービスもご提供しております。
まとめ
GA4管理画面でレポートを参照するだけでは、データ活用も限定的なものになってしまいます。データ活用によるマーケティング高度化には、そもそものデータ蓄積が前提となり、それらを行うには、従来、高額なデジタルツールの導入が必須でした。しかし、GA4は無償でもご利用いただけるソリューションであり、BigQueryはGA4のローデータを蓄積するだけであれば、数百円~数千円/月のコストで済むケースがほとんど(蓄積されるデータ量やデータ処理量によって課金額は変動)です。
GA4×BigQuery連携により、データ活用によるマーケティング高度化のハードルは格段に下がっており、すでに「データの民主化」が始まっています。そして、GA4により顧客の情報探索行動を詳細に把握し、BigQueryによって自社1st Partyデータと統合、これらをCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)としてご活用いただくケースも増えています。
博報堂DYグループは、GA4の導入・実装はもちろんのこと、実務上のUA→GA4移管(GA4移管プロジェクトの推進)、GA4で計測したデータを活用したマーケティングDX支援に至るまで、幅広いサポートを行っております。
ご興味ある方は是非、お問い合わせください。
(本記事は、2022年7月時点での情報をもとに作成しておりますが、今後、適宜情報のアップデートがされる可能性がございますので、その際は改めて本サイトにてアナウンスさせていただきます)
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博報堂 マーケティングシステムコンサルティング局
マーケティングテクノロジー推進部
ビジネスプラニングディレクター/データアナリストネットベンチャー企業・ネット専業代理店を経て、2014年に博報堂入社。営業職を経て2019年より現職。主にダイレクトマーケティングのPDCA業務やデジタルソリューションツールの導入・運用を得意とし、金融、人材、インフラ、家電、消費財など幅広い業種での対応実績あり。2022年より、博報堂DYグループ4社でGoogleなどが提供するさまざまなソリューションを活用し、1st Partyデータ活用におけるデータ基盤構築・戦略立案・実行策支援をワンストップで対応する専門チーム「DATA GEAR」をリード。