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ヒット習慣予報 vol.206 『社員インフルエンサー』
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ヒット習慣予報 vol.206 『社員インフルエンサー』

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの村山です。

気づけばもう2022年も2ヶ月が経過しましたが、いかがお過ごしでしょうか。今年は35歳になりついに40代が見えてきてしまいましたが、気持ちだけはいつも20代の心持ちで自己肯定感あげてやっていきたいと思う今日この頃です。体も20代くらい健康に、ということで筋トレもはじめました。

さて、そんな気合いを入れていきたい私の今回のテーマは「社員インフルエンサー」です。インフルエンサー、というとSNSの隆盛とともになんとなく影響力がある人を指す言葉としてごくごく一般的に使われる言葉として定着していると思います。そして、普通のインフルエンサーというとモデルやタレントのような活動をしている人や、アーティストやビジネスマンとして成功した人のようを思い浮かべると思いますが、今回取り上げる「社員インフルエンサー」はそういう所謂“有名人”ではなく、企業の社員が自分らしさを武器に企業の看板を背負ったままSNSで活躍しだす潮流が新しく生まれ始めているというものです。

この潮流が素晴らしい点は後ほど述べていこうと思いますが、大きな社会視点で考えると社会全体において「働きがい」に対する意識が低下していることに対する打ち手になるかもしれないという点です。実際に検索数でみてみても、ここ5年間で「働きがい」というワード自体への関心が著しく低下していることが見て取れます。

出典:Googleトレンド

そもそも、正解がなく、先行きが不安な時代に「働き方」自体が大きく変わろうとしているだけでなく、昭和の主流であった生涯雇用も当たり前ではなくなり「副業」のような自分の本業以外での活動にも世の中的な注目が集まっていることなど複合的な要因が考えられそうです。そんな時代に、「社員インフルエンサー」が増えていけば一つの企業と従業員の新しいキヅナを生み出すキッカケになるかもしれないと考えています。

例えば、大手化粧品会社も本格的にこの取組を始めているようです。インスタグラムでその化粧品会社の名前を検索窓に打ち込むとたくさんの社員インフルエンサーのアカウントがヒットします。アカウントを見てみると、本当に個性的でそのひとらしい発信方法が工夫されており、企業が押し付けた統一のフレームややらされている感がなく、イキイキとやる気をもって発信されている様子が伺えます。最近注目のメンズメイクについて発信している人もいれば、花粉のシーズンにおすすめのお手入れ方法などシーズン話題を取り入れる人、画角や色調など撮影にこだわった投稿をする人など様々な工夫がされていて、検索しだすと止まらない面白さを感じました。一人ひとりは1000人ほどのフォロワー数だったとしても、それが100人、1000人と増えていけば100万人規模のフォロワー数を合計で獲得することができる、それは価値のあるファンマーケティングにもつながっていくと思います。

 

海外のスーパーマーケットブランドでも「社員インフルエンサー」が活躍しているようです。スーパーマーケットのような店頭での接客や体験が大事になるブランドだからこそ、その最前線にいる従業員のモチベーションをあげることはもちろん、その人達に対して顧客からエンゲージメントを獲得することはとても意味があることです。さらに普段の店舗ではお客様から見えない裏側の努力や新しいサービスの紹介なども投稿されており、まさにブランドの語り部として従業員が活躍している様子が伺えます。(今後150万人の従業員すべてに取り組みを拡大していく予定とのこと!すごい!)

他にも、地方の工業製品企業が、あえてミドルエイジの男性社員をTikTokに登場させることで好走している事例もありました。TikTokというと若者のものでしょ!というイメージがありますが、あえてミドルエイジのそれも男性を登場させることでそのギャップや若者カルチャーにひたむきに歩み寄る姿勢に好感がもたれ、採用にも好影響を与えているそう。インフルエンサーという言葉を表面的に捉えずに、年令問わず顧客と直接コミュニケーションする手段として前向きに捉えることで効果を得られる可能性がありそうです。

ここまでいくつか事例をご紹介してきましたが、「社員インフルエンサー」が今、企業のコミュニケーションとして注目されはじめている理由として他にも、企業に対して生活者が「透明性」を求め始めていることも要因だと言えるのではないでしょうか。SNSが普及して様々な裏側が良くも悪くも見え透く時代だからこそ、企業の中で本当に頑張る従業員一人ひとりの想いやパーソナリティを「見える化」することで、生活者と真摯にフラットに向き合うこれからの企業としての土台を形成することができるのかもしれません。さらにコロナ禍という、社員もお客様も直接つながることが出来づらい日々が続いている時こそ、役に立つコミュニケーションになり得ると思いました。

最後に、「社員インフルエンサー」のビジネスチャンスについて、少し考えてみたいと思います。

「社員インフルエンサー」のビジネスチャンス例
■ 社員インフルエンサーのインターン生を募集!新鮮な視点で会社をレポート。
■ 社員のSNS発信方法を研修するプログラムをビジネスに。
■ 異なる企業の社員がSNSで交流することで企業間共創のキッカケに。

自分を自分でプロデュースし社会と個人として向き合うことが求められていく時代なんですね。僕も30代にして、お酒を飲みながら自分を見つめ直してみます。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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  • 博報堂 PR局
    ヒット習慣メーカーズ メンバー
    車からお菓子に至るまで様々なクライアントの情報戦略、企画立案に携わる。運動不足でたるみきった体と気持ちを鍛え直したいと思い、筋トレを始めました。