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ヒット習慣予報 vol.154『ドライブスルーマーケット』
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ヒット習慣予報 vol.154『ドライブスルーマーケット』

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの植月です。
厳しい寒さが続いていますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
私はもともとインドア派だったのですが、最近の外出は必要最小限の買い物のみでその時もパパっと用を済ませて即座に帰宅するようになりました。
今回はこのように必要な買い物だけを迅速に済ませる方法として、「ドライブスルーマーケット」を取り上げます。以前「ドライブインライフ」という車の中からエンタメを楽しむ予報もありましたが、今回は同じ車の中でも買い物という観点にしぼり、進化した非接触購買の一種としてご紹介します。
これはその名の通り、何かの乗り物に乗った状態で、必要なものを受け取るという買い物の形ができつつあるというものです。ドライブスルーというと、ファストフードで聞きなじみのあるワードかもしれませんが、最近は“八百屋”“魚屋”など様々な業態において活用されています。

〈「ドライブスルー」で急上昇している検索関連ワードTOP10〉


出典:Googleトレンドの【注目】(期間内の検索増加が大きかったもの)
※固有名詞が入ったものは除いてランキングを作成
※期間:2020年1月~12月

具体例として、ランキング上位の「ドライブスルー八百屋」を見てみましょう。
こちらは、外食業に卸売りする予定だった野菜が外出自粛傾向で余ってしまったことを受け、その廃棄を削減するために大特価で野菜を販売するドライブスルーです。
事前予約制で決まった時間に車で特設会場に行くと、降車することなく購入した野菜をトランクに積んでもらえるというサービスです。生産者にとってもフードロス削減になり、生活者にとってもリスク・手間を最小限におさえてお得に野菜を購入できるということで人気になっています。

その他にも、「ドライブスルー中華街」がランクインしています。
本来であれば王道の食べ歩きスポットとして人だかりができる中華街も、昨今は閑散としています。そこで、この食べ歩き気分を安全に再現するものとして、車で所定時間に中華街のパーキングスペースに行くと、車に乗ったまま受け渡しができるサービスがあります。期間限定のものですが、老舗や名店も多数出店しているため、反響も大きかったようです。

最後に、少し毛色の違ったものとして、「ドライブスルー商店街」というものがあります。
嬉しい出来事として、なるべく買い物を近所で済まそうと考える人が増えたことで、これまではシャッター街と言われていたのが、息を吹き返しつつある商店街もあるようです。中でも象徴的な活用方法は、小さなお子さんを持つ親御さんが自転車に乗ったまま(子どもも専用の後部座席にのせたまま)お店の前で店員さんに注文してその場でお会計と商品受け渡しを済ませるというものです。自転車であればスーパーでもいいのではと思われるかもしれませんが、スーパーだと自転車の駐輪・カートの管理など、子どもを抱えた状態では大変な作業も伴います。そんな状況下に、商店街ならではのサービスの手厚さが支持されているようです。

では、なぜ「ドライブスルーマーケット」が増えつつあるのでしょうか?
理由は大きく2つあると考えられます。
1つ目は、接触リスクの低減です。特にここ1年は非接触購買を意識してキャッシュレス決済が進んだりネット購買が増えたりしました。その手法の一つとして、ネットではなくリアルだけど非接触で買い物をするという方法が出てきたのかもしれません。
2つ目は、サービスの手厚さです。近年は買物袋有料化含め、購入物を袋に入れるといった作業もセルフ化する傾向にありました。そんな中で、自分は乗り物に乗った状態ですべてをやってもらえるというのは、手間が省けてありがたいサービスとして、よりプラスに感じてもらえたのではないでしょうか。

最後に、「ドライブスルーマーケット」のビジネスチャンスとしては下記のようなことが考えられるのではないでしょうか? 

「ドライブスルーマーケット」のビジネスチャンスの例
■ 本屋が、ランダムな本のセットを積み、セレンディピティな本との出会いをつくる「ドライブスルーブックストア」を企画する。
■ レンタルバイクの会社が、自転車でめぐる一方通行の「ドライブスルーフリーマーケット」を開催する。
■ 小売店が、事前決済・事前受取予約をすればお得に商品を購入できる「ドライブスルー割」を導入する。
など。

買い出しは近場で済ませるという方も多いと思いますが、たまには気分転換を兼ねて遠出して「ドライブインマーケット」を訪れるのも楽しいかもしれません。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
 

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  • 博報堂 統合プラニング局 ヒット習慣メーカーズ メンバー
    2017年 博報堂に入社。
    マーケターとして、社会の荒波に揉まれながら、社会に新たな潮流をつくることを夢見て奮闘中。