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生活者のSNS利用実態、コロナ禍でどう変わった? ~SNS利用動向の変化と企業のコミュニケーションの在り方とは~
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生活者のSNS利用実態、コロナ禍でどう変わった? ~SNS利用動向の変化と企業のコミュニケーションの在り方とは~

新型コロナウイルスの影響で自粛期間中家にいる時間が長くなり、生活者のSNS・プラットフォームの利用実態も大きく変化しました。今回は、自粛期間中のSNSの使い方の変化や緊急事態宣言後・解除後のSNSの利用動向、企業がこれらのSNSの利用実態変化を、どのように生活者とのコミュニケーションに活用していくべきかについて、博報堂DYメディアパートナーズプラットフォームビジネス局でプラットフォーマーと共にビジネス開発、セールス促進をしている横山瑞季が解説します。

自粛期間中のSNS利用実態の変化

自粛期間中、家にいる時間が多くなったことでSNSの新しい使い方が登場しました。ZOOM飲みの様子をSNSに投稿する人が増えたり、ZOOMあるあるの演劇動画を配信する団体が登場して話題になったり、オンラインで映画鑑賞会をする人が増えるなど、ZOOMやオンラインでのコミュニケーションが新しい生活様式として定着しました。

また、YouTube上で料理やレシピの動画を見る人が増えたり、トレーニングの動画を見る人が増えたり、一緒に勉強する動画を見る人が増えるなどおうち時間を充実させるために動画サービスを活用する動きが見られました。

Instagram上では、「#おうち時間」の投稿数が増え、「おうち時間」スタンプとともに家でのお菓子作りの様子を投稿したり、#おうちカフェでおうちでカフェ風のご飯を作って投稿するユーザーや、有名スイーツ店が公開したレシピを作ってInstagramで投稿する動きが見られました。また、テレワーク環境をすこしでも よくしようと家に花を飾り「#花のある暮らし」をつけて花の写真を投稿するユーザーも見られました。

↑Instagram上の#おうち時間の投稿数の推移(NEWS CASTより)

Twitter上では、「#テレワークあるある」でテレワーク、テレビ会議だからこそのあるあるをつぶやく人が増えたり、「#自宅待機が奨励される今こそ漫画を宣伝しよう」や「#休校期間に子供に見せたい名作アニメ(映画)上げてけ」等のハッシュタグでおうち時間を充実させる為のドラマやアニメなどのコンテンツを勧めるツイートが多くなり、SNS上で家での過ごし方のおすすめをシェアする動きが見られました。

また、TwitterやInstagram上で有名アーティストの楽曲をリレー形式で投稿していく動きが話題になるなど、人に会えない中でもSNS上でつながろうという意識が生まれました。

このように、自粛期間中は、生活者がSNSを活用して新たなおうち時間の過ごし方を見出したことにより、SNS上でもInstagramの「#おうち時間」やTwitterの「#テレワークあるある」などの新たなトレンドや利用実態が生まれました。

緊急事態宣言解除後の生活者動向の変化

では、自粛期間が明けた緊急事態宣言解除後は生活者動向にどのような変化があったのでしょうか。Twitter上では、自粛に関するツイートが5月時点で3月のピーク時と比べて3分の1になったり、3月に比べてライブ、チケットなどアクティビティに関するツイートが増えるなど、自粛が解除されて外に出たいという気持ちがツイートにも表れています。

↑出典: Brandwatch Consumer Research 2020年3月1日-2020年5月10日までのツイートより算出

また、Googleトレンドによると、5月に入ってから「国内旅行 いつから」や、「キャンプ」などの検索ワードが急上昇しており、外出意欲が高まっている様子が伺えました。

↑出典:「外出したい」けど……揺れる気持ちが検索動向に──Google トレンドに見る緊急事態宣言解除後の変化
https://www.thinkwithgoogle.com/intl/ja-jp/articles/search/covid-19-9/

また、夏に実施予定のフェスやライブが中止になる中、プラットフォーム上でオンラインライブを実施し、その感想をSNSでシェアする動きも出てきました。ABEMAでは大規模生配信フェス「LIVE HUMAN2020」が実施され、複数のライブ会場からのパフォーマンスが配信されました。また、その様子や感想をTwitter上で「#LIVEHUMANフェス生配信」でつぶやくユーザーも多く見られました。今後も、SNS上で自粛解除に関するポジティブな反応が見られるとともに、オンラインライブのように、withコロナ時代の新たな楽しみ方が定着していくことが考えられます。

コロナ禍における有効なアプローチとは

ご紹介したように、コロナ禍で生活者のSNS利用実態が変化していく中で、企業はどのように生活者にアプローチしていけばよいのでしょうか。2つのポイントをご紹介します。

1.ライブ配信活用

コロナ禍でオンライン上に様々なコンテンツが登場し、また様々なリアルイベントがオンライン化を余儀なくされる中、今後より一層“コンテンツの分散化”が進んでいくと考えられます。また、プラットフォーム側でも、LINEの「LINE LIVE-VIEWING」やABEMAの「PayPerView」など、チケット制のライブシステムを導入する動きが加速しています。様々なコンテンツがあふれ、生活者の視聴数が分散化する中、企業は、既存の出面に広告を出稿するだけでなく、いかに視聴数を集めるコンテンツを作ることができるかが重要になってくると考えられます。そのために、上記のプラットフォームを活用したり、TwitterやInstagramのライブ配信機能を活用するなどして、企業自らがコンテンツを作り出し、その中で自然に商品を紹介していくのが有効と思われます。例えば、化粧品のブランドであれば、インフルエンサーを起用して「モーニングルーティーン」や朝のスキンケア~メイクまでを紹介する「毎日メイク」などのテーマでライブ配信を実施し、その中でブランドの商品をPRしてもらうなど、ただ商品の紹介・PRをするだけでなくユーザーが興味を持ちそうなテーマの動画の中で自然に紹介をする。また、インフルエンサー以外にも、専門知識を持った第三者をゲストに呼び、トークテーマを決めて配信する手法もあります。例えば、家電メーカーの商品をPRするために、料理研究家をゲストに呼び、「最新家電で時短クッキング」などのテーマで配信をしたり、美容研究家をゲストに呼び、「アンチエイジング」をテーマに配信を行うなどの手法が考えられます。このように、インフルエンサーや専門家などの第三者を起用し、ユーザーの興味を引くテーマで配信を行いつつ商品をPRする手法が考えられます。

2.OMOシフト

コロナ禍・アフターコロナの中では、企業により一層OMOシフトが求められると考えられます。オンライン上で購買を完結したり、リアル店舗であっても手持ちのスマートフォンでオンライン接客を受けるような世界です。OMOシフトのためには、生活者が店舗に行かなくても商品を体験できるようなユーザー体験を設計したり、オフライン店舗であってもシームレスに購買ができる必要があります。そのためには、例えばAR機能を使ってオンライン上で手軽に商品を体験できるようにしたり、ライブ配信等を使って商品の使用感を伝えるなどの工夫が必要です。また、ウェブサイト上でユーザーが質問に答えて診断を行い、ユーザーの悩みに即した商品をレコメンドする機能を搭載するなど、リアル店舗での接客がなくても商品の理解を促進し購買してもらう仕組みを作る必要があります。化粧品であれば「乾燥肌」「敏感肌」など、診断をもとにユーザーの肌タイプや悩みを判別し、悩みを解決するための商品をレコメンドしECサイト上で購買できるような仕組みが考えられます。さらに、リアル店舗であっても、事前にWebサイト等で顧客の悩みを聞いたり、スマートスクリーン等を使ってパーソナライズされた接客をする。 OMOシフトによってオンライン上での購買体験を充実させることで、コロナ禍でリアル店舗への来店が難しい中でも生活者に商品について理解を深めてもらうことが可能です。

このように、コロナ禍で生活者動向が変化する中、SNS上ではどのように利用動向が変化しているのか捉えながら柔軟にプロモーション・広告活用の方法を変えていく必要があります。是非、今回ご紹介したようなライブ配信活用やOMOシフトを活用してコロナ禍での生活者との新しいコミュニケーションの在り方を考えてみてはいかがでしょうか。

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  • 博報堂DYメディアパートナーズ プラットフォームビジネス局
    2019年博報堂DYメディアパートナーズ入社。同年キャリジョ研に参画。プラットフォーマーと共に博報堂DYグループ内でのビジネス開発、セールス促進を担当。
    趣味はダンスとアイドル鑑賞。