ヒット習慣予報 特別編『ミレニアル世代の6つの習慣クラスター』
こんにちは。ヒット習慣メーカーズです。
下期が始まる今日10月1日は、特別篇でお届けします。
クライアントの方とディスカッションしていると、ミレニアル世代について知りたい!という要望を聞くことが増えている気がします。そこで、今回、ミレニアル世代の特徴が表れているのはスマホアプリだ、と考えて、習慣的に利用しているアプリからミレニアル世代の実態を解き明かしてみたいと思います。
ヒット習慣メーカーズの活動の一環として、フラー株式会社の協力を受けて、フラー社が手がけるスマホアプリ分析プラットフォーム「App Ape(アップ・エイプ)」で調査の基礎となるデータを分析しました。具体的には、20歳~35歳のアプリユーザー2,565人を対象として、週1回以上12週連続で利用しているアプリのログデータを元に6つのクラスターに分類し、それぞれのクラスターに対して定量調査を実施し、各クラスターの特徴を把握しました。そこで得られた結果を報告します。
<6つの習慣クラスター>
1.「動画習慣」ミレニアルズ(590人)
口コミ重視&自炊にこだわりがあるクラスター。
このクラスターは、動画視聴のアプリや、テレビ局のアプリなどを習慣的に利用しています。さらに、定量調査結果を見ると、自ら自炊していたり、グルメ情報を集めるのが好きだったり、食器にこだわっていたり、食に関することにも興味があることが分かりました。性格はやや飽きっぽいので、色々な料理を作ったり、色々な動画を見たりしながら、過ごしている様子が見て取れます。
加えて、異性の目を気にして服を選んでいたり、口コミを参照して食べに行く店を決めていたり、周りの目を意識していることも、動画習慣クラスターの特徴です。
さらに、アプリ利用ではメッセージ系のアプリやフリーメールのアプリ、コミュニケーション系のアプリ利用も多いです。とあるメッセージ系アプリで、スタンプを多用している人が他クラスターと比較して多く、もしかしたら、ちょっと寂しがり屋さんで、こまめに連絡を取りたい人なのかもしれません。
〈「動画習慣」ミレニアルズの攻略ポイント〉
■ 色んな種類が楽しめるように、ラインナップを増やす。
■ 誰かとつながれる/共有する仕組みを作る。
■ 「みんなが選んでいる」ことをフックにして訴求する。
2.「マンガ習慣」ミレニアルズ(331人)
流行に流されないマイペースにメリハリ消費するクラスター。
このクラスターは、スマートフォンで簡単に読めるマンガ系アプリを習慣的に利用しています。さらに、定量調査結果を見ると、ファッションについてお金をかけずにセンスのいいものを身に着けたいと思っていたり、一人の時間を大切にしたいと思っていたりと、流行に左右されずに自分の好きなスタイルを重視する傾向にあります。
また、食に関しては、電子レンジを積極的に活用して効率的な食生活をおくる一方で、一人でも気兼ねなく飲食店に入ることができ、特別な日には奮発した食事をするなど、メリハリを持って行動していることも特徴です。
さらに、安定した生活を送っていきたいという意識があり、25歳までに結婚したいと考えている人も多いです。自分の世界観をしっかりと持ち、将来のことまでしっかりと見据えている堅実派なのしれません。
〈「マンガ習慣」ミレニアルズの攻略ポイント〉
■ セルフアレンジなど、「自己スタイル」をつくることのできる余白をつくる。
■ 普段仕様/特別仕様を分けて訴求する。
■ 「将来には〇〇」という未来に関連する根拠データを見せる。
3.「自己マネジメント習慣」ミレニアルズ(478人)
自分らしい生活を、こだわりをもってマネジメントするクラスター。
このクラスターは、カレンダーアプリや家計簿アプリなど、仕事や家計を管理するアプリを習慣的に利用しています。さらに、ビジネスチャットアプリを入れている人も、他クラスターと比較して多くなっています。性格を見ると、几帳面で自分の人生の計画を立てる人であり、仕事でもプライベートでも自分をしっかりとマネジメントしながら暮らしているクラスターです。食事は通いつけの店があり、服はまったく同じファッションアイテムを複数所有しているなど、自分のこだわりを大切にし、それを利用し続けている様子も見て取れます。さらに、ランチは1人ではなく誰かと食べたい人が少なく、買い物も1人でして、1日中誰ともやり取りしない日がある人が他クラスターとして多く、1人でも寂しくなく、むしろ1人で行動したい人だといえます。
〈「自己マネジメント習慣」ミレニアルズの攻略ポイント〉
■ マイレージやポイントを整備する。
■ 商品、サービスがもたらすメリットを数値化して伝える。
■ 利用履歴を記録する仕組みをつける。
4.「気分転換習慣」ミレニアルズ(353人)
コスパよく効率的に生活する、現実志向なクラスター。
このクラスターは、スマートフォンの待受画面等の壁紙きせかえ系アプリを習慣的に利用しています。さらに、定量調査結果によると、タイムラインに流れるプレゼントキャンペーンによく参加していたり、購買の参考には口コミサイトやフリーペーパーをよく利用していたりと、お得情報に敏感なクラスターです。
そのため、食事や飲み会においてもクーポンをよく利用していたり、結婚相手には愛だけではなく収入などの現実的な要素を求めたりするという特徴もあります。
また、ファッション面では、気に入ったものであれば古着や中古品でも積極的に利用し、おしゃれよりも実用性で選ぶ傾向があります。
さらに、無駄がない生き方をしたいと考え、多くの友人よりも数人の気心のしれた友人との時間を大切にするタイプなので、狭く深いつながりを求めているのかもしれません。
〈「気分転換習慣」ミレニアルズの攻略ポイント〉
■ 期間限定”、“●代限定”など、わかりやすく特別感をつくる。
■ ●●円→●●円”など日常との差を具体的に見せて、お得感のある訴求をする。
■ 商品の機能性をきちんと伝える。
5.「ソーシャル習慣」ミレニアルズ(470人)
SNSで情報収集し、新しいものに興味を示す自由で好奇心旺盛なクラスター。
このクラスターは、SNSやブログ、写真・イラスト収集系アプリを習慣的に利用しています。他のクラスターと比べて、文字情報を中心としたSNSをよく利用しており、購買の参考としてもSNSを活用していることが特徴です。さらに、定量調査によると、ランチを一人ではなく誰かと食べたいと考えるなど、リアルにおいてもつながりを大事にする傾向が見られます。
ファッションについてはいつも同じような服をきていることが多く、自分らしさを軸に選ぶ傾向があります。一方で、新しいものや話題のものは試したいと思っていて、新しい人と出会うことも楽しいと感じる好奇心旺盛な一面も見られます。
また、仕事面については、スーツではなく私服で働くことを望んでおり、将来的に管理職などにつきたいとは考えていないことから、自分らしく自由な働き方を重視しているといえます。
〈「ソーシャル習慣」ミレニアルズの攻略ポイント〉
■ アメリカで流行”など、最先端感/話題感を見せる。
■ SNSにおいて、口コミが広がる仕掛けをつくる。
■ 診断コンテンツを用いるなどして、これまでにない偶発的な出会いをつくる。
6.「ゲーム習慣」ミレニアルズ
ゲームに対する関与度がとても高く、とことんのめり込むクラスター。
このクラスターは、ゲームアプリを習慣的に利用していることが特徴です。1人で楽しむパズル系、誰かと楽しむRPG系など、ゲームの種類問わず利用しています。定量調査の結果を見ると、オンラインゲーム/ソーシャルゲームだけでなく、アニメ鑑賞が趣味と回答する人も多いです。
食やファッションにはこだわりも興味もなく、飲み会も嫌いなクラスターです。そんなお金と時間があったら、アニメとゲームに使いたいのだと考えられます。
性格や暮らし方の特徴としては、他の人から認められ評価されたいという意識や、異性からよく見られたいという意識が低く、オンでもオフでも、自分なりの軸を大切にしていることが分かります。さらに、他クラスターと比較して、飽きっぽくないということも特徴で、自分のこだわりには、とことんのめり込むタイプだといえます。
〈「ゲーム習慣」ミレニアルズの攻略ポイント〉
■ コンテンツ系のおまけをつける/コンテンツ系のCPを実施する。
■ ゲーミフィケーション活用のインターフェースを作る。
■ 毎日アプリを立ち上げる/毎日来ると特典がある仕組みを作る。
各クラスターを、行動スタイルとマインドで分類すると、こちらの図のようになります。
マインド面では、新しいものを試したい志向と、お気に入りを固定したい人で分かれます。前者としては、「マンガ習慣」「動画習慣」「ソーシャル習慣」クラスターが挙げられ、新商品/サービスローンチ時のアーリーアダプターやアーリーマジョリティーとなってくれる可能性が高いと考えられます。一方、後者としては、「ゲーム習慣」「自己マネジメント習慣」「気分転換習慣」クラスターが挙げられ、新商品/サービスの利用ハードルはやや高いものの、既存商品のロイヤルカスタマーになってくれるポテンシャルは十分にあります。また、利用きっかけさえ作ることができれば、将来の優良顧客となってくれる可能性が高いのも、この層の特徴です。
次に、行動スタイル面では、集団行動派と1人行動派に分かれます。集団行動派の「動画習慣」「ソーシャル習慣」「気分転換習慣」クラスターは、アウトドア中心にみんなで楽しむことが多いため、仲間内の口コミ拡散も期待できるでしょう。一方、1人行動派の「マンガ習慣」「自己マネジメント習慣」クラスターは、ダイレクトに直接アプローチする手法が有力だと考えられます。
このように、ひとことに「若者」「ミレニアルズ」と言っても、習慣クラスターによってマインドや行動スタイルが大きく異なることが今回の調査より明らかになりました。それにより、有力となるアプローチももちろん変わってきます。
こうした実態を鑑み、クラスターを絞ってアプローチしたり、クラスターごとにアプローチ方法を変えたりすることが、今後のミレニアル世代の獲得に向けたキーとなるのかもしれません。
<調査概要>
調査時期:2019年5月~6月
調査方法:アプリ利用ログを元に調査・インターネット調査
調査対象:全国、20~35歳のアプリユーザー2,565名
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
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