ヒット習慣予報 vol.68『プレイフルお手伝い』
こんにちは。ヒット習慣メーカーズの濱谷です。
新年度になったと思ったら、もう2週間がたち、もうすぐ10連休ですね。休めない方もいらっしゃるかもしれませんが、皆様どのように過ごされるのでしょうか。
僕は20歳ぐらい歳の離れた従兄弟がいて、今年の連休は会えないのですが、毎回の長期休みに会うのを楽しみにしています。毎年、会う度に成長していて、上のお姉ちゃんは弟の面倒を見るなど、家事も手伝うようになっているようで、偉いなと思います。
そんな今週のテーマは、「プレイフルお手伝い」です。子供が、遊び感覚で、知らず知らずの内に家事や、親のやってほしいことを手伝っているという習慣です。
今回、株式会社エム・データと協業して、TV番組の放送内容をテキスト化・データベース化した「TVメタデータ」を用いて、最近話題になっていることを調べてみました。
面白いなと思ったのが、“背中に線路が書いてあるTシャツ”です。ある局の朝と夜の情報番組、別の局の朝の情報番組で、合計3回取り上げられているのを見つけました。
このTシャツ、背中に線路が書いてあるので、うつ伏せで寝るだけで、子供が背中の上で電車を走らせて、勝手にマッサージしてくれる、というすごく便利なTシャツです。Twitter上で見てみると、“天才かよ”や“素晴らしい”など、称賛の嵐が巻き起こっていました。
考案者のインタビューを見てみると、「インセンティブ作りをすれば、子供も遊べて自分もダラダラできる気楽な子育てができる」と書いており、みんなに嬉しい、素晴らしい発明だなと個人的にも感心しました。
SNS分析ツールで、「家事&子供」と同時に投稿されている言葉を見てみると、“楽しい”や“嬉しい”が上位にあがっており、やっぱりどの親も、楽しく・嬉しく家事をしていきたいんだなと思います。
「家事&子供」と同時に投稿されているワード(形容詞)ランキング
先ほど紹介したTシャツ以外にも、プレイフルお手伝いは拡がっています。
色々な人の家事ブログを見てみると、ほこり探しを宝探しゲームのようにして、子供と掃除を楽しんでいる人や、風呂掃除を水遊びと見立てて一緒に風呂掃除をしている人などが見られました。どのブログでも、子供に対する愛情が溢れていて、親子で楽しく家事をしていました。さらに、知人のお母さんは、遊びが楽しくなってきて、食事に向かわない子供に対して、「レストランごっこ」をして、お母さんがシェフ+店員役・子供がお客様役をすることで、早く食事をとってもらうようにしているようです。皆さん、知恵のある工夫をされているんですね。
それ以外にも、色んな家事をして、クリアできたらかわいいスタンプが貯まるアプリや、家事を手伝う度にポイントが貯まっていくアプリなど、アプリを活用したものもありました。昔から、子供がお手伝いをしたらシールを貼っていって、たくさん溜まったらご褒美をあげる、という工夫は聞いたことがありますが、デジタル化することで、より簡単に、キャラクター付きなどでより楽しくできるようになっていました。
では、なぜこのような「プレイフルお手伝い」が拡がっているのでしょうか。
まず、共働き世帯が増えて、子供にも家事を手伝ってほしい状況になっていることがあげられます。僕の知人にも、子供を産んだ後に復職した人が何人もいますが、仕事に家事に忙しい生活を送っていて、猫の手も借りたい状況なんだなと思います。
次に、できる限り、楽しく教育したいと考える親が増えていることも影響していると考えます。昔は、お手伝いしなさい、と叱って家事を手伝っていた家庭も多いと思いますが、今は友達のような親子関係が理想で、子供を叱らなくなっている親が多いようです。そのような中で、色々な育児メソッドを活用して、自分も子供もwin-winになれる形で家事をしたいというニーズが出てきていると考えます。
ちなみに、日本の子供は、家事をしている時間が他の国と比較して短いという調査データもあるようです。世界の状況を見ると、「プレイフルお手伝い」による子供の家事参加が今後も拡がる可能性はまだまだありそうですね。
さて、今までのヒット習慣予報と同様に、「プレイフルお手伝い」にも色々なビジネスチャンスがあると考えます。
「プレイフルお手伝い」のビジネスチャンスの例
■ ゴミを検知し、ゲーム内の敵のように表示するアプリを作って、掃除をしてもらう
■ 洗濯カゴを玉入れのカゴにして、家族が抜き散らかした洗濯物を入れてもらう
■ 位置情報活用で、オリエンテーリングのように買い物に行ってもらう
など。
僕も、今後もし子供ができたら、この習慣、是非取り入れたいです。ご家族がいらっしゃる皆様、プレイフルお手伝いを取り入れて、少しでも楽しい家事生活を送ってください!
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
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博報堂 第三プラニング局 ヒット習慣メーカーズ メンバー2010年 シンクタンクに入社し、2014年 博報堂に中途入社。ヒット商品やヒット習慣を作りたいと願いつつ、日々マーケティング/コミュニケーション立案に取り組む。2000年代のドラマ好きで、おすすめは「僕の生きる道」と「華麗なる一族」。