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生活者の「つぶやき」を マーケティング資産に変える! トレンドスコープ座談会・前編
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生活者の「つぶやき」を マーケティング資産に変える! トレンドスコープ座談会・前編

ソーシャルメディアに日々蓄積していく膨大な生活者の声をマーケティングに有効に活用することはできないだろうか──。多くのマーケッターが頭を悩ませているその課題への一つの答えとなるのが、英Black Swan(ブラックスワン)社が開発したデータ分析ツール「Trendscorp(トレンドスコープ)」です。Twitterの過去のデータを商品開発などに利用できるこのツールの日本版第一弾がこの1月にリリースされました。日本版の開発を進めてきた4人のメンバーが、トレンドスコープの機能や可能性について語り合いました。

写真左から)三井情報 知念孝祥ジョナサン氏、岡部伊隆氏、博報堂 井手宏臣、博報堂DYメディアパートナーズ 山中大蔵

Twitterの過去の全量データを分析する

──「トレンドスコープ」の日本版がリリースされました。まずは、これがどのようなツールなのか説明していただけますか。

井手
トレンドスコープは英国のブラックスワン社が開発したもので、Twitterの過去数年分の全量データやメディアへの掲載記事を分析し、そこから経営判断、あるいは商品開発やマーケティングに活用できるデータを抽出するツールです。生活者のつぶやきから市場の「現在」を切り取るだけなく、過去のデータを分析することで「未来」の予兆を掴むことを可能にする。そこにこのツールの大きな価値があると考えています。

山中
このツールを実際に拝見した際に衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えていて、三井情報のお二人から現地の開発メンバーとのディスカッション内容や海外でのユースケースなどを聞き、今までとは全く違ったデータ活用ができるという確信を得ました。日本版をリリースするにあたって、知念さんと岡部さんは、相当の頻度で現地にも行かれていましたよね。
岡部
ええ。僕は三井情報の技術部門で長らくデータ分析に関する研究開発に携わり、そして現在はその事業化に取り組んでいますが、英国でトレンドスコープの機能に接して、その技術が見事な形で実用化されていることに驚きました。これにわれわれの技術を加えれば、日本の企業にお使いいただける非常に便利なツールになる。そう考えました。
井手
知念さんから博報堂DYグループへのアプローチがあったのは、2年くらい前でしたか。
知念
ちょうど2年前でしたね。僕はもともと、三井情報の親会社である三井物産でIT領域でのビジネス開拓を担当していました。投資対象となるパートナーを探す中で出会ったのがブラックスワンです。海外ではその頃すでに、トレンドスコープを活用した商品開発の成功例が続々出てきていました。僕たちはこのツールに非常に大きな可能性を感じ、2016年にブラックスワンへの投資を行いました。僕自身はその後、三井情報に出向してトレンドスコープ日本版の開発を進めてきました。その開発パートナーとして、博報堂DYグループに声をかけさせていただいたという流れです。

商品開発のコンセプト精度が格段に高まる

──日本版トレンドスコープの第一弾は「飲料版」ですね。英語版でも「パーソナルケア」「菓子」「アルコール」など商品カテゴリーごとのリリースになっていますが、理由は?

井手
まさにそこが本質なのですが、カテゴリーごとの分析ができる点にこのツールの独自性があります。Twitterユーザーは、もともとカテゴリーに合わせてつぶやいているわけではありません。しかし、トレンドスコープには、AIの機械学習の仕組みを使って、つぶやきをカテゴリーに分類する機能があります。それによって、各企業のビジネスカテゴリーにフォーカスした発言や記事だけを分析対象として絞り込んだ分析が可能になるのです。
岡部
さらにそのカテゴリーごとのデータを、「ingredient(素材)」「benefit(用途・便益)」「brand(ブランド名)」などの切り口に分けることもできます。「lens(レンズ)」と呼ばれる機能です。

山中
仮に「素材」で抽出をすると、数千という素材トレンドがヒットし、それぞれのトレンドをライフサイクルがわかるよう「dormant(休眠=勃興期)」から「fading(衰退期)」までの6つの象限に分類してくれます。いわゆるプロダクトライフサイクルと同様の考え方です。市場に現われて、徐々に成長し、定着し、次第に存在感を失っていく。その流れのどこにそれぞれの素材が位置するかがひと目でわかるわけです。
知念
例えば、ターメリックという素材があります。いわゆるウコンのことで、これが肝臓にいいという認知は日本でも定着しています。しかし海外ではそればかりでなく、抗炎症作用があったり、免疫力を高める作用があるものとして知られていることを捕捉できます。つまり「健康」というテーマに関連する幅広い文脈で認知されているのです。ターメリックは欧米では何年か前から流行の兆しを見せていて、それが現在では、「ターメリックティー」、「ターメリックラテ」、「ターメリックショット」といった商品として実現しています。Trendscope(トレンドスコープ)は、その動きを「兆し」の時点で把握していました。
岡部
「この素材が来る」ということが早い段階でわかるわけです。それが可能なのは、過去の膨大なデータを学習しているからです。そこからパターンを見出し、さらにその波形がどこに向かうかを予測します。

山中
しかも、データは毎月アップデートされるので、最新のデータに基づいた予測ができます。年に一回の調査結果からキーワードを抽出するといった方法と比べると、はるかに高い精度が期待でき、マーケッターの肌感や実感値とも近いものになると思います。
知念
その予測の仕組みは、「トレンド・プレディクション・バリュー(TPV)」と呼ばれています。「将来的に予測されるトレンドの価値」ということで、ブランドや素材などの将来の価値のポテンシャルを計算し、それをランキングやポジションニングなどの形に可視化する機能です。そこには、(ブラックスワンが過去にクライアント企業と一緒に取り組んできたマーケティングのナレッジも反映されています。
井手
予測が100%当たるわけではもちろんありませんが、これによって、商品開発のコンセプトを単なる肌感覚ではなく、定量的なスコアを横目に見ながら冷静に判断・検討・改善してくことが可能になります。どのような生活者がどのような素材に注目していて、それが現代どのようなポジションにあって、今後どのように伸びていくと予測されるのか──。そういったデータがあるかないかで、コンセプトのつくり方はまったく違ってくるはずです。

マーケティングリサーチの概念を覆すツール

山中
あらためてトレンドスコープの主な機能を整理すると、「世の中を網羅的に俯瞰して見ることができる」「さまざまな切り口でトレンドを把握できる」「そしてそのトレンドの将来を予測できる」──。その3つが柱であると言えると思います。
知念
それらの機能のどこにフォーカスするかは、ビジネスカテゴリーや課題によって異なります。企業の課題とトレンドスコープ)機能を結びつけられるのはプロのマーケッターだけだと僕は考えています。そこに僕たちが博報堂DYグループの皆さんにアプローチさせていただいた大きな理由があります。
井手
博報堂の視点から見ると、「生活者の生声ビッグデータが使える」ということがトレンドスコープの非常に重要な価値だと言えます。これまでは、生活者の生の声を拾おうとすると、インフルエンサー、リードユーザー、トレンドセッター、あるいはエクストリーマーと呼ばれるような「特定の人たち」のヒアリングをするしかありませんでした。
山中
そしてそれらの情報をもとに、マーケッターがコンセプトメイクする必要があるわけですが、トレンドスコープはある期間の全量データをソースにして、各トレンドのランキング、ポジションなどを”科学的”にかつ”網羅的に”明らかにすることができるので、恣意性を排除し、抜け漏れなく分析できるので、マーケッターにとっても心強いツールになると思っています。
岡部
このツールを個々の企業の活動にどうフィットさせていくか。その提案をしていくことが今後の課題です。トレンドスコープはあらゆる企業が使うことができる汎用ツールですが、個々の企業の課題やフォーカスしたいポイントに応じてカスタマイズして独自ツールとして使うこともできます。博報堂DYグループのお力を借りて、その価値を広く伝えていきたいですね。
知念
それによって、それぞれの業界の共通の評価軸を示すスタンダードツールとして定着し、マーケッターの皆さんがより創造的かつ幅広い視野での生活のわくわくを提供をできるようになったら、理想的ですよね。

<Black Swan社 CEO スティーブ・キング氏コメント>

英国・米国ではすでに生活者ビッグデータを用いた製品開発イノベーションが普及段階に入ってきました。当然、間もなく日本にもその流れは波及してくると思います。その潮流の中で、三井情報と博報堂の共創によるソーシャルプレディクションによるマーケティング基盤の国内普及活動は、生活者洞察、ひいては日本のマーケッターの創造力をよりパワフルなものに変化させていくものと、大変期待をしております。

Digital transformation on product innovation is already a big theme in US and UK and we are seeing a big movement in Japan as well.We are very excited about the joint business development with MKI and Hakuhodo in Japan as social prediction is gaming more power and power in the word of consumer research.


(後編に続く)

  • 株式会社博報堂
    マーケティングディレクター

  • 前)博報堂DYメディアパートナーズ
    メディアマーケットデザイン局 データサイエンス部
    データアナリスト

    現)博報堂
    人材開発戦略室付

  • 知念 孝祥 ジョナサン
    知念 孝祥 ジョナサン
    三井情報株式会社
    流通・サービス営業本部
    流通・サービス営業部 第一営業室
    上級ソリューションストラテジスト

  • 岡部 伊隆
    岡部 伊隆
    三井情報株式会社
    ソリューションナレッジセンター
    ソリューション企画部
    上級ソリューションストラテジスト