ヒット習慣予報vol.31『アジャイルおでかけ』
こんにちは。ヒット習慣メーカーズの荒井です。
急に暑くなってきましたね。
夏といえば夏休み。夏休みがない会社もあるかもしれませんが、夏休みをとってどこかに旅行する計画を立てている方も多いのではないでしょうか。
今回のテーマはその旅行にも関係する、「アジャイルおでかけ」です。
アジャイルおでかけとは、旅行や散歩など、おでかけをする際に、あまり細かな計画を組まずに、とりあえず行ってみるというスタイルです。
その一つとして「街ブラ」があります。その名の通り街をぶらぶらするというもので、旅行先や、自宅近くでぶらぶらして、街の雰囲気を味わったり、現地の方と交流したり、その会話の中でお勧めのお店を聞いてみたりするものです。
インターネットで、人気のお店を調べておくというのもありですが、あえて現地の方に聞くことで、インターネットでは見つけることができなかった地元の方が行くお店と出会えるのでしょうね。
実際、Googleトレンドを見てみると、上昇傾向になっています。
他にも、「ぶらり旅」と言われるような、あてもなく旅立ち、思いつきで途中下車してみるというスタイルもあります。なんとなくのエリアは決める場合もありますが、街ブラよりももっと計画性をなくし、目的地そのものを特に決めないおでかけです。
そのようなTV番組も良く見るようになりましたね。
私の同僚では、会社の同期メンバーで5日間の休みを取り、レンタカーを借りて、出発の際に、どちらの方角へ向かうかだけを決めながら旅行をした人もいました。
私も昔、車のナビに適当な電話番号を入れてすぐに画面を隠し、ナビに言われたとおりに運転するというアジャイルなおでかけをしていました。その時は東京都から青森県まで行きましたが(笑)。このままどこに行くのかわからないドキドキ感もあり、かなり盛り上がりましたよ。
では、このようなアジャイルおでかけはなぜ最近流行りつつあるのでしょうか。
一つは、スマートフォンの普及により、おでかけ先でも情報を簡単に取得できるようになった反面で、検索で見つからないような偶然の出会いを求めるようになってきていることが考えられます。
「セレンディピティ」という言葉が最近言われるようになりました。これは、そのような偶然の出会いにドキドキする心といった意味があります。
事前に、どこに行ってなにをしようか等の計画を緻密に立てておでかけをすると、当然自分の好みにあった計画が作られます。しかし、計画を緩くしておくことで、なぜだか気になる建物だったり、気になる食べ物だったりと、普段の自分では気にならなかったものとの出会いがあります。そこに楽しさを感じているのではないでしょうか。
更に、もう一つの理由として、のんびりとしたおでかけを楽しむことができるということもあります。この背景も同様で、日々様々な情報に追われるようになった昨今、自分の思うがままにのんびりと過ごしてみることが求められるようになってきているのではないかと思います。
計画を立てていると、今日の予定はここにいって、次にここにいって、、、と時間に追われてしまうことにもなりかねません。最初から計画を緩くしておけば、そのような時間を気にせずに、のんびりおでかけを楽しむことができます。
みなさま、いかがでしょうか?
アジャイルおでかけ、したくなってきましたか?
とはいえ、本当に無計画なおでかけはなかなかの強者でないと難しいのでご注意を。
インターネットの記事を見てみると、無計画なりにも、おでかけをするエリアは決めておく場合が多いです。それと、そのおでかけのコンセプトを決めておくと新しい出会いが増えるようですよ。例えば、「美味しいモノを食べまわる」、「その街の歴史を探ってみる」、「その街の子供が遊ぶ場所を巡る」とか。そのコンセプトを考えるだけでも楽しそうですね。
さて、ビジネスチャンスですが、以下のようなことが考えられると思います。
「アジャイルおでかけ」のビジネスチャンスの例
■ おでかけのテーマを設定すると、勝手に行き先を考えてくれるカーナビを作る
■ 自分の気持ちに合わせたおでかけルートを提案してくれるアプリを作る
■ 移動中に、立ち寄れそうな近隣のスポットをプッシュしてくれるサービスを作る
■ 着けていると積極的に地元の方が話しかけてくれる目印を作る
など
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
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博報堂マーケティングシステムコンサルティング局 プロセスコンサルティング部長SIer、メディアサービス企業、経営コンサルティングファームにて、事業企画に当事者・第三者として関与。これまで培ったビジネス視点に生活者視点を融合すべく博報堂へ転職。