データをひきだすファシリテーション術第1回
データドリブンなみなさま、はじめまして!VoiceVisionの大高と申します。
さて突然ですが、「あなたにとってデータとは?」と聞かれたらなんと答えますか?
私だったら「データとは“人の思い”です。」と答えます。
例えば行動履歴などはそのまま分かりやすい例ですが、商品の販売個数データ、これももちろん買った人がいるからこのデータが成り立ち、買う人の“思い”があるから個数が増えたり減ったりする訳です。
売上の増加は単に“モノが売れた”のではなく、“買ってくれる人の数が増えた、あるいは同じ人が何度も買ってくださった”からと考えるようにしています。これは一見同じことのように見えますが、実はプランニングを行う際に違う世界が見えてくる効果があります。
人数が増えたり回数が増えたりした裏には人の思いをのせたストーリーがあったから、そんなことを考えながらデータを見ていると全てのデータが愛おしく見えてきませんか?
VoiceVisionは生活者との対話からマーケティングを行う「生活者共創」を専業とした会社で、オンライン上にコミュニティをつくり、そこからたくさんの意見をいただきながら企業や社会の役にたつアイディアを生みだすプロジェクトを数多く担当しています。データの中でもひとりひとりの思いに着目し、読み解き、それらを統合し、体系立てて新しい価値を創出するメソッドを提供しています。
このコラムは
●オンラインコミュニティを実際に運営している!または、まだだけど興味がある!と思っている方
●データの仕事はそこからどんな新しい発見を生みだすかがチャレンジングだぜ!と感じている方
●どこかに新しいリサーチやプランニング手法はないもんかの~とお探しの方
には、特に楽しんでいただけると確信しております♪
それでは、記念すべき第1回は
よりよいデータをひきだすファシリテーションの重要性とメソッド体系
についてです。
みなさまもご経験があるかと思われますが、ただデータを集めてもそこから発見にまでたどりつくのはなかなか難しく、マーケターの思いや生活者のインサイト(=潜在的なニーズ)を引き出す工夫が大事なポイントになってきます。
そのためには生活者との対話データを“ファシリテーション”の力によって、よりよいデータに仕立てて新しい発見を促すことが重要になります。
では、ファシリテーションとは何か?
一般的にはワークショップや会議などの場で、参加者が発言しやすいように促し、また挙がってきた意見を整理して会の合意をとるなど、会の進行者が使うスキルとして知られています。進行役となるファシリテーターは、当日のみならず、事前に会の進行をスムーズにするためのプログラムを組み立てたり、よりよい意見が出てくるように対話のルールを考えたりなど、ディスカッションを活性化させる場づくりも行います。
その役割の人をオンライン上でも活かしていくのが、オンラインコミュニティのファシリテーターとなります。
オンラインコミュニティでは、お互いのバックグラウンドを知らない人同士が意見を出し、話し合う場となります。すなわち様々な立場や思いを持った人たちとのディスカッションになりますので、オンラインコミュニティでのファシリテーションは特にそこを意識しながら進めることが大切です。
また、意見を集計して“現状をまとめる”だけで終わりにせず、参加者全員で“WOW”を生み出し未来に向けたクリエイティビティの高いアウトプットを生み出すことが最終ゴールとなります。
わたしたちはそれを「ファシリテーション・クリエイティブ」と呼んでいます。
「ファシリテーション・クリエイティブ」のスキル
そのファシリテーション・クリエイティブを発揮するためには大きく2つのチカラが必要となります。
① ひきだし力
と
② うみだし力
① の「ひきだし力」は、参加者が自分でも気づいていなかったような、より発見力の高い声を集めるためのスキル。
そのためには、まずは参加者が答えたくなる質問を投げかけ、参加者を盛り上げて自主性を高め、回答を深掘りする追加質問で聞きだす、という3つのステップで進めていきます。
② の「うみだし力」は、集まった声からよりクリエイティビティの高い発見に仕立てるスキル。
そのためには、「論理的思考力」と「発想力」を駆使しながら、これまでの常識を打ち破り新しい未来の常識へとジャンプさせることがカギとなります。
これを体系立てて整理しますと
① ひきだし
●なげかけ:答える人に興味をもってもらえるような、よりよい「問い」を投げかける
●もりあげ:場をあたためて、よい声がたくさん出るように促す
●ききだし:挙がってきた声から、より潜在的な意識を深堀りする
といった3つの技術が必要とされます。
② うみだし
●くくる:新しい価値やアイディアを見つけるために意味を読み解き分類する
●まとめる:全体を俯瞰しながら大きな方向性を生みだすために分類を構造化して整理する
●もうそうする:こうなったらいいな~と思う、“なりたい未来”を妄想する
といった3つの技術を身につけていきましょう。
今後このシリーズでは、この「ひきだし&うみだし」のノウハウを提供しながら、実際のオンラインコミュニティ運営のコツや、右脳と左脳をフル活用できるフレームワークなどもご紹介していきたいと思います。
教育改革実践家でいらっしゃる藤原和博氏は、これまで日本は、より正確に・早く答えを出すための“情報処理力”が求められてきたけれど、これからの先行き不透明で多様化の時代において必要なのは、正解がひとつではないテーマを論じる中で、自分も他者も納得できる解(納得解)を導き出すための力=“情報編集力”だとおっしゃっています。
ファシリテーション・クリエイティブにはそうした情報編集力に通ずる能力を磨くチカラがあると考えられ、これからの時代に大いに役立つものだと考えています。
企業や官公庁の中でもリーダーシップ育成のためにファシリテーション研修を取り入れる会社が多く、私たちVoiceVisionもそのお手伝いを多数行っています。
ということで、本シリーズを継続してお読みいただけると、これからのビジネスパーソンにとって必要とされる能力もついてくるのでセットでお得☆
「俺の背中を見てついて来い!」という強いリーダーシップから、「一緒に対話しながら新しい答えを生みだそう!」という優しいリーダーシップへ。
個々人の成長が問われるこの時代に、ぜひあなたにとっての新しい資産も手に入れちゃってください!
では、また★
★VoiceVisionのInstagramでファシリテーションの“ちょっとしたコツ”を配信中!
このちょっとしたコツを知っているのと知らないのとでは大違い!
スマートに使いこなしてドヤ顔しちゃってください~★
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(株)VoiceVision 代表取締役社長/ファシリテーター1990年博報堂入社。マーケターとして戦略の立案や、新商品開発/新規事業の立ち上げなどを担当。 一方で様々なワークショップのファシリテーターとしても活動。
これからの時代“共創”が社会の潮流になることを予見し、2013年7月、共創型のオープンイノベーションを提供する新会社「株式会社VoiceVision」を設立。代表取締役社長に就任。 生活者との対話を通じて、社会や企業の未来を革新する活動を日々続けている。