“アクティベーションデザイン”の考え方とその実現手段
“アクティベーションデザイン®”の考え方とその実現手段
1. 大広が考える「アクティベーションデザイン®」とは
国内市場は人口の減少と高齢化の進行にともない、今後、縮小する傾向にあります。そのためブランドが継続的に成長するには新たな顧客創造(Acquisition=新規顧客の獲得)とあわせて顧客の維持(Retention=顧客維持とロイヤル顧客育成)が重要となります。このようなビジネス環境の変化にも対応した安定的なビジネスデザインを目指し、顧客の獲得・ロイヤル化のワンストップソリューションとして大広が推進しているのが「アクティベーションデザイン」です。「アクティベーションデザイン」の実現により事業がかかえる課題の解決を目指します。
アクティベーションデザインを簡単に説明すると、「顧客化すること」「ロイヤル化すること」「そしてロイヤル知見を顧客化にいかすこと」です。広告コミュニケーションによるブランドの認知・理解促進、購買にとどまらず、その先のロイヤル顧客育成を目的としたフルファネル対応のソリューションをワンストップで提供致します。
アクティベーションデザインの手順としてはまず顧客を見つけること。購入の可能性がある見込顧客数を増やすために現在のアクティブ顧客から優良な顧客像を導きだし、そこから将来の顧客を見つけだして顧客化を推進します。顧客化のあとは顧客の育成、ロイヤル化です。一度購入経験のある顧客をロイヤル顧客に育てることは、顧客LTV(生涯顧客価値)の向上を生み事業を安定化します。これら一連のアプローチにより、顧客を「見つける」⇒「つくる」⇒「育てる」⇒「味方にする」という流れをつくり循環させるのがアクティベーションデザインです。それにより成熟し飽和した市場で買い続ける顧客づくりを具体化し、ブランドの継続的な成長を可能とします。そして重要なのは、この「味方にした顧客」をふたたび「新しい顧客の獲得に活かすこと」です。
このアクティベーションデザインの実現のために、大広では長年培ったダイレクトマーケティングの実践ノウハウや経験をベースナレッジとして、概念で終わるのではなく「獲得型広告」「引き上げプログラム」「フォロープログラム」「ロイヤル化プログラム」を一体化させたソリューションを提供しています。
2. 顧客ロイヤルティ理解のためのロイヤルティマップの活用
前述のような「潜在顧客⇒見込顧客⇒⇒来訪顧客⇒購買顧客⇒リピート顧客⇒ロイヤル顧客」という態度変容はあくまで概念としてのフロー図であり、はたして現実的なフローと言えるのでしょうか?例えばロイヤル顧客としての「愛用」。ブランドを買い続け主使用されるようにならないと「愛用者」にならないのでしょうか?たとえ単発で購入した商品・サービスであっても「愛用」しているものもあると思います。また推奨に関しても同様。昨今、SNSの発展により容易に推奨しやすくなりました。「インスタ映え」のように、愛用しているか否かは別にして「推奨・拡散」するケースも多く散見されるようになりました。つまり「愛用や推奨」は購入経験の多さによって生まれるものでもなくなってきています。
態度変容をともなうコミュニケーション設計においてポイントとなるのは、アプローチの目的としておいている「ロイヤル顧客像の規定」です。ではこのロイヤル顧客の「ロイヤル」または「ロイヤルティ」とは何をさすのでしょうか?一般的によくつかわれるのは顧客から企業へ提供されるマネタリーをはかりロイヤル顧客指標として用いるケースです。そしてその時間尺度は、生涯価値として「LTV指標」(顧客が企業やブランドに対してもたらす利益の累計を算出したマーケティングの指標)で語られるケースも多くみられます。その他のロイヤルティの示し方として「ファン度合い」を指標化することもあります。どの程度その企業やブランドを好きか、という指標。昨今では「ファン度合い」を推奨視点で測定するNPS(ネットプロモータースコア)のような指標も一般的に使われてきています。
では上記の2つの指標をもって安定的に「ロイヤルティ」を測り評価することはできるのでしょうか?この2つの指標をあわせて考えるためには、2つの指標を2軸に設定して考える必要があります。その2軸とは、購買というアクションをベースに指標化した「アクションロイヤルティ軸」と、ファン度合いを指標化した「マインドロイヤルティ軸」です。この2つの軸を1つの表にマッピングすることにより、顧客の状態をよりわかりやすく「見える化」することができるようになります。
これまで、マネタリー軸とファン軸をあわせて考えないケースでは「あまり購入のない人はファン度が低い」「購入の多い人はファン度が高い」というような固定概念があったかと思います。しかし実態としては「あまり購入はしていないが愛用しているし、推奨もしている」といったファンが存在したり、「数多く購入はしているがブランドに対するこだわりは特になく、何となく購買に至っている」といったハイマネタリー層が存在したりもします。つまり2軸でロイヤルティを表現することにより、“低ロイヤルティ層” “高ロイヤルティ層(真のロイヤルティ層)” 以外に “見せかけのロイヤルティ層” や “意識先行ロイヤルティ層 ”を「見える化」することができるようになります。これにより、“見せかけのロイヤルティ層” の離脱を未然に防ぐコミュニケーションや、“意識先行ロイヤルティ層” を真のロイヤル顧客へと引き上げるアプローチを実現することが可能となります。
3. 顧客の見える化データプラットフォーム「カスタマート」
これまではユーザーの状態や態度変容のレベルを購買行動だけを見て判断することが多く、買ってくれているけれどブランドに対するロイヤルティを持っていない “見せかけのロイヤルティ層” や、購買はしていないが周囲にブランドを推奨してくれる “隠れファン層” を把握できなかったため、正確なロイヤルユーザー理解には限界がありました。これからは「買っている人=ファン」という考え方を脱却し、自社サービスへの購買/参加行動とブランドへの好意感情の両方を捉え、より的確なコミュニケーションでロイヤル顧客を増やしていくことが大切となってきます。
この度、そのようなユーザーの「購買行動(アクションロイヤルティ)」と「感情(マインドロイヤルティ)」の2軸でユーザーの状態を捉えて可視化し、顧客状態ごとのコミュニケーションシナリオ設計に活用できる新しいデータプラットフォームを開発しました。ダッシュボード上では自社サイトに訪れたユーザーや顧客の状態がロイヤルティマップにプロットされ、プロモーション視点とコンテンツ視点での現状のボトルネック発見や、取り組むべきユーザーのかたまりを把握して直接的にコミュニケーションすることが可能です。
カスタマートを活用することで、顧客のロイヤルティを顧客購買(LTV)以外の要素も加味して判断し、新たなコミュニケーション設計を実現しましょう。
この記事はいかがでしたか?
-
株式会社 大広 アクティベーションデザイン統括ユニット 大阪プロデュース局 第1グループ 部長1995年、株式会社 大広に入社(配属:営業局)。
2001年よりダイレクトマーケティングビジネスに携わる。2012年からダイレクトマーケティング総合研究所を兼務、さらに2013年からはDMPを中心としたプラットフォームビジネスサポート業務をおこなう。2015年のカスタマーマネージメント局CRMグループのマネージャーを経て、2016年から戦略立案・コミュニケーション設計および実施などの業務を行う大阪プロデュース局に所属し現在に至る。
直近で立ち上げたプロダクトはCRMツール【ブラウザメッセンジャー】や顧客の見える化ツール【カスタマート】など。