生活者DMPを強化せよ!管理基盤リプレースの舞台裏とは―?
去る2017年10月30日(月)、都内でNTTデータ テクノロジーカンファレンス2017が開催され、博報堂DYホールディングス マーケティング・テクノロジー・センターの百瀬正光上席研究員が登壇しました。
講演タイトルは、「Spark SQLとPrestoによる生活者データ管理基盤のリプレースに向けた検証事例」。博報堂DYグループが保有する生活者DMP(※)の生活者データ管理基盤再構築に向けた方向性について、NTTデータと二人三脚で実現した背景、その成果などについて語りました。
講演は、まず百瀬研究員の自己紹介からスタート。某SIerからスタートし2013年に博報堂DYホールディングスに参画した自身のキャリアや、データ分析処理や次世代生活者研究などを行う現在の業務内容などについて説明しました。
続いて、博報堂DYホールディングスの“生活者データ・ドリブン”マーケティングへの取り組み、それを支えるオリジナルのデータ基盤・生活者DMPについて紹介。生活者DMPを構成する要素として、「WEBやアプリ、屋内・屋外行動などの生活者データ収集基盤」「博報堂DYグループが保有するデータと、3rdpartyが保有するデータ、得意先データをかけ合わせた生活者データ管理基盤」「BIやマーケティングインテリジェンスなどの分析基盤」「デジタル配信などを行う配信基盤」があるとし、今回の講演では「生活者データ管理基盤」の再構築をテーマにする旨を語ります。
次に、生活者データ管理基盤の再構築に至った背景について説明。検討以前、2014年までは「購買データや広告統計データなど、データを扱うシステムごとに個別最適化していた」とした上で、「データの多様化やデータ量の増加、連携対象やユーザーの増加に対応するため、生活者DMPの管理基盤強化がミッションであった」「そのための検証やプロダクト選定について、NTTデータ様とタッグを組み、プロジェクトをスタートさせました」と語りました。
ここから、バトンをNTTデータ システム技術本部 OSSプロフェッショナルサービス課長代理の関堅吾さんに渡し、具体的なリプレースの内容を紹介。大規模データを処理対象とするOLAP系エンジンとしてメジャーなOSSプロダクトを比較し、得点が高かった「Spark」「Presto」を今回の検証対象としたことを説明しました。
その上で、具体的な検証内容として、①既存資産の移植可能性、②移植前後の性能比較、③アドホック用途の運用容易性を挙げ、個別に解説していきます。
いずれにおいても、「検証の結果、高評価を確認出来たため、博報堂DYホールディングス様のリプレース決定に至った」としました。
最後に、再度百瀬研究員が登壇。これらのプロジェクトにより、多様化する大量の生活者データを効率良く管理・活用することが可能になり、博報堂DYグループの生活者DMPをより強化するに至ったことを説明。その上で、先日発表したDataRobot社との協業にも触れ、「生活者DMPに格納される独自の生活者データを活用してクライアント企業の様々な経営上の課題、マーケティング上の課題に応えていくために、今後も当社グループの持つ生活者データ及び同データを活用したマーケティングソリューションの開発力、そしてDataRobot社様の機械学習領域における技術優位性を組み合わせて、革新的なマーケティングソリューションの創出に邁進していきます」とし、講演を締めくくりました。
登壇した百瀬は講演を振り返り、「今回リプレースの対象となっている生活者データ管理基盤は”生活者データ・ドリブン”マーケティングの進化を支えるための重要な役割を担っています。Phase1ではデータ管理基盤の移植にスコープを絞っておりますが、Phase2以降では分析基盤、配信基盤との連携においてデータ管理基盤が過負荷に陥る状況を回避するための機能追加等を実現し、”生活者データ・ドリブン”マーケティングの進化を今後も裏から支えていきます」と語っています。
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博報堂DYホールディングス マーケティング・テクノロジー・センター2004年某SIer企業入社、2013年2月より現職。
生活者DMPにおける分析基盤、生活者データ管理基盤の構築を主に担当。
その他、次世代顧客接点開発として生活者とコンピュータ/ロボットとの関係性に関する研究開発にも従事。