ヒット習慣予報 vol.318『すっぴんマインド』
こんにちは。ヒット習慣メーカーズの村山です。
今年も気づいたら桜が散っていて、桜を楽しめないまま梅雨が目前に迫ってしまいました。そして、もう2024年が半分経過しそうだと思うと年々はやくなる時間の経過にびっくりしています。そんな日々に忙殺されないために、毎日を丁寧に生きたいなと思いますが、今回はそんな生きる上での心持ちに関するテーマ、「すっぴんマインド」を取り上げたいと思います。
数年前まではまだ、「〇〇映え」といったキーワードが量産され、いかに写真や動画で現実よりも盛れるか、よく魅せられるか、驚きがあるかを追求するような潮流があったと思います。SNSでつながることが当たり前になった社会において、映えるスイーツや観光スポット、加工アプリなどが流行し、自分の生活を素敵に彩ることで、自らのマインドを整え、楽しく生活する一つの活力を担って いたのだと思います。
ただ、Googleトレンドで「映え」の検索数推移をみてみると、緩やかに下降しており、徐々にそんな日常を盛る文化に対して「映え疲れ」している傾向をみてとることができます。
「映え」の検索数推移
実際に、SNSのトレンドにも変化の兆しが現れています。Z世代を中心とした若者に盛れないSNS共有アプリが人気のようで、1日1回アプリから送られてくる通知の2分以内にノーフィルターで写真をアップロードする仕組みになっています。まさにいつ通知がくるかわからないしフィルターもかけられないので、素の自分を友人にシェアすることをあえて楽しむことが流行っているのです。 そんな「〇〇映え」がトレンドだった時期からは考えられない、素の自分をさらけ出すことを楽しむ心持ちが今回の潮流「すっぴんマインド」です。
たしかに、盛ることが当たり前になると、どうせ盛ってるんでしょ、と、SNSに対して冷めた目でみてしまう自分や、盛れていない自分の生活や、盛ろうとすることに必死になる生活に対してやや疲れてしまう気持ちは理解できたりします。
そういえば、最近外国人観光客の方も多く日本に訪れていますが、フォトジェニックで有名な観光地だけでなく、いままで観光客が訪れもしなかったローカルスポットで見かけることも多くなりました。なんだかSNSでみたことがあるフォトジェニックな場所ではなく、リアルで身近な場所が観光資源になっているのかもしれません。さらに、身近な観光地だけでなく、日常から更に脱出する禅をもとめるリトリート旅も人気のようで、お寺に宿泊して精進料理を楽しむ外国人観光客も増えており、外国に住む僕のいとこもひさしぶりに訪れた日本で、地方のお寺に宿泊していました。
さらに昨年、一風変わった、ぼーっとすることを競う大会が日本で初開催されたようです。10年ほど前に韓国ではじまったようなのですが、その後世界各国に広がりをみせ、ついに日本に上陸したようです。ただ何もせずぼーっとするその表情や心拍数の変化の少なさを競う内容になっており、その映像を拝見したのですが、なんだか新しく楽しそうな感覚をうけました。 これまでの競技、といえば、華やかなパフォーマンスや身体能力を競うものが多かったように思いますが、何もしないをする、というこの競技は「映え疲れ」した現代においては逆におもしろく参加意欲をそそられるものなのではないでしょうか。
なぜ、このような「すっぴんマインド」を楽しむ潮流があるのか、もう少し考えて見たいと思います。
一つにコロナ禍を経て、本質的な生活の充足に目が向き始めたということがあるのではないかと思います。人となかなか会うことができなかった時期だからこそ、自分の生活を豊かにしてくれるものを改めて見つめ直すきっかけになったと思いますし、わざわざ生活を盛って主張し合うことよりも、人と人でリアルな素をみせあってつながることの楽しさに目が向き始めたのかもしれません。
他にもSNSによる誹謗中傷などのネガティブな側面を経験した結果、派手だけどみんなやっていることに便乗する、のではなく、地味かもしれないけど自分しか知らないものを発見する、という自分らしさへの欲望が社会に芽生え始めているのかもしれません。
最後に、「すっぴんマインド」のビジネスチャンスについて、少し考えてみたいと思います。
「すっぴんマインド」のビジネスチャンス例
■全員がすっぴんパジャマでずっと滞在する「すっぴんホテル」
■地元の人が本当に美味しいと思う店を特集した「地元グルメランキング」
■一番素の自分になってしまう瞬間を共有する!?「寝顔共有アプリ」
ぼくも改めて仕事の隙間であえてぼーっとする時間をつくってみたり、素の自分と向き合って、新しい趣味や行きつけの店を発見できないか、試行錯誤してみたいと思います!
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
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博報堂 PR局
ヒット習慣メーカーズ メンバー車からお菓子に至るまで様々なクライアントの情報戦略、企画立案に携わる。運動不足でたるみきった体と気持ちを鍛え直したいと思い、筋トレを始めました。