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テクノロジーで就活生の不安や孤独を解決する! メタバースサービス「VirO」が企業・就活生にもたらす付加価値とは
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テクノロジーで就活生の不安や孤独を解決する! メタバースサービス「VirO」が企業・就活生にもたらす付加価値とは

企業のDX化が進み、学生の就職活動もオンラインが主流となりつつある今日。企業はオンライン上で学生の関心を呼ぶ新たな体験をどう構築するかに頭を悩ませ、学生側は孤独な中でモチベーションをどう保つかが課題となっています。
読売広告社が自社開発を進めるメタバースソリューションサービス「VirO(ヴァオ、以下VirO)」は、そんな企業や学生の悩みを解決し、企業と学生の相互コミュニケーションを促すサービスです。本サービスが生まれた背景、そして就活にどのような付加価値をもたらすのか、開発を担当する読売広告社の3人のキーパーソンに聞きました。

立田真一郎
読売広告社
マーケットデザインセンター センター長代理
デジタルストラテジスト

白幡一樹
読売広告社
統合クリエイティブセンター ブランドデザインルーム
シニアアクティベーションプランナー

岡村明理
読売広告社
マーケットデザインセンター 第2マーケットデザインルーム データビジネスグループ
データストラテジスト

Z世代の就活生も納得する高クオリティのメタバースサービス「VirO」

——2023年4月、読売広告社が手掛けるメタバースソリューション開発の第1弾として就活生向けのバーチャルオフィスツアーシステム・VirOが発表されました。どのようなシステムなのでしょうか。

立田
現在ほとんどの企業がリクルートサイトと呼ばれる採用情報に特化したWebサイトを持っています。VirOはそのリクルートサイト上で利用できるメタバースサービスです。ユーザーは就活生、メタバース内で提供するコンテンツの準備や管理は企業の採用担当者が行います。

就活生は企業のリクルートサイトからVirOに入室し、自分のアバターを選んで名前を設定します。その後、フルCGで作られた3Dのバーチャルオフィス空間を自由に動き回ることができます。動くだけでなく、オープンチャット機能を使って社員の方と会話をしたりDM(ダイレクトメッセージ)を送ったり、会社説明会のライブ配信に参加したり、バーチャルオフィスのなかで学びを得たりなど、これまでのリクルートサイトでは体験できなかったオフィス体験ができます。また、バーチャルオフィス内には動画や画像を投影するサイネージもあるので、訪問してきた就活生に企業紹介の動画を視聴してもらうことができます。

——メタバース上で会社説明会を行う企業も増えているようですが、VirOは既存のサービスと比べどのような強みがありますか?

白幡
VirOの開発に際して特にこだわっているのが、Z世代の就活生の心が動くようなデザイン・クオリティを実現することです。VirOの開発に当たり、社員同士がコミュニケーションを行うオフィスメタバースのサービスや、メタバース上で開催された企業の合同説明会なども一通り見たのですが、
見た目やクオリティ面がいまひとつで、ユーザーのエモーションの部分を考慮して作られていないという印象を受けましたし、これから就活するZ世代は普段から3Dのゲームなどリッチなコンテンツに慣れているので、これらのメタバースコンテンツを体験すると失望してしまうだろうなと思いました。
そのためVirOは、動作もスムーズでインタラクション性が高く、ストレスなくオフィス内を動き回れる快適な動き、Z世代のユーザーの気持ちをちょっと高揚させるようなエモーショナルなデザインにこだわって開発しています。言うなれば「ゲームをやっている感覚」でオフィス内を動き回り、社員や他の就活生とコミュニケーションして、楽しみながら企業の情報を得られるサービスになることを目指して開発しています。
岡村
楽しむという点で言えば、バーチャルオフィスを見学しながら特定のミッションをクリアするゲーミフィケーション機能を搭載しています。就活生のなかには孤独で不安になる人も多くいますが、その理由の1つが「終わりが見えないこと」です。どこまでやったら「就活した」と言えるのか、どうしたらいいのかわからない。そこでVirOでは「何人の人に話しかけられるか」「動画を全部見ること」といったミッションを設定することで、就活生に達成感を感じてもらい、楽しみながら企業について学べるように工夫しました。

オンライン化が進む就活、その課題とは

——VirOのような就活生向けメタバースソリューションを開発した経緯を教えてください。

立田
採用する企業側、就活生側それぞれに課題があります。

まず採用側である企業としては、できるだけ多くの学生さんにエントリーしてもらい、優秀な学生さんを採用したいというニーズがあります。そこで企業はリクルートサイトで積極的な情報発信を行い、さらに他社と差別化に向けリクルートサイト上でリッチな体験を提供するようになりました。特に昨今はコロナ禍が続き、メタバースを使った企業説明会を行う企業が増えています。つまりオンライン上でいかに自社の魅力を発信できるかが差別化の鍵といえます。

とはいえ、人事の採用予算は限られています。新しいことをやりたくても、そこまでコストをかけられるわけではありません。特にメタバースのようなシステムは、開発費だけで膨大なコストがかかります。これを解決するのがVirOです。バーチャルオフィスツアーに特化してパッケージ化しているので、安価に利用できるというメリットがあります。

一方、就活生側も課題があります。特に地方の学生が首都圏で就職活動を行う場合、どうしても情報収集できる機会が限られるので、効率的にオフィス訪問ができるバーチャルツアーの需要は高いでしょう。実際ある求人情報サービス企業が調査した結果によると、92%の学生が就活のオンライン化にメリットを感じていると回答しています。単なるWebサイトではない、VirOのような体験型の企業紹介は学生からも求められていると思います。

白幡
この企画を進める前に、コロナ禍で就職活動を行なった新社会人の方々にヒアリングを行いました。皆さんが口を揃えて語るのは、「オンラインが就活の主流になったなか、ひたすらワンルームの自室で延々とPCを見続けること」に孤独を感じ、就活に対するモチベーションが上がらなかった、といった声でした。でした。

我々の世代の就職活動であれば、学生同士で横のつながりが生まれ、情報収集したり友達になったり、うまくいかなかった時も励まし合いながらモチベーションを維持できました。しかし今はそれが以前よりも難しくなっていると考えています。コロナ禍自体は落ち着きつつありますが、企業の採用活動のDXやオンライン化は今後も進んでいくと見られますし、企業と学生の接点の希薄化を解消するにはどうすればいいかという課題があります。

先ほどもお話ししたように、VirOは「楽しむこと」「楽しめること」を重視しています。就活生の皆さんが就活そのものへのモチベーション、ひいては企業とつながり続けられるモチベーションを保つことができるように、そこを目的に開発しています。

岡村
インターンシップ向けの研修で「就活生が就活生に向けたサービスを考える」という研修プログラムに参加した時に「就活生は常に『孤独感』や『不安感』を抱えているという課題があり、そこにどんなサービスが提案できるか」とディスカッションが多くありました。

今回のVirO開発でその時のことが思い出されました。普通のリクルートサイトならほかの人からのアクセス状況はわかりませんが、メタバース空間であれば、自分以外のアバターの方がいると「あ、ほかの人もこの企業が気になって訪問しているんだ」とわかります。そうなれば、孤独感もかなり解消できるでしょう。またメタバース内でミッションクリアなど楽しめるゴールを設定することで、先の見えない不安感を払拭する効果もあると思います。

メタバースによるより良い採用活動をオンボーディングで支援

——VirOに対する企業からの声や反応はいかがですか?

立田
4月3日のプレスリリース発表後は多方面からお問い合せがありました。そのうちのいくつかは前向きに進んでいるようです。

——VirOの導入に当たり、企業側にはどのような工数が発生するのでしょうか。

立田
VirOのバーチャルオフィスで展開する動画コンテンツやライブ配信など、コンテンツを用意したり、オフィス内を整えたりする設定を行なっていただくことになります。ただ、一度設定すれば通常のリクルートサイトと同じく、蓄積型コンテンツとしてずっとコミュニケーションできるので大きな手間ではないと考えています。また既存の素材をどう活用していくかなど、並走してオンボーディングを行いますので安心してご利用いただけます。

なおバーチャルオフィスに関しては、基本機能として備わっているオフィスCGを使用するか、もしくは設計図や写真を基に実際のオフィスを3DのCGで再現することも可能です。ただし実際のオフィス再現は別途コストや工数がかかりますし、アクセスするマシンのスペックによっては描画できずに落ちてしまうことがあるかもしれません。デフォルトのオフィスCGに関しては、Webならではのアクセスのしやすさを考慮し設計しています。

——メタバース開発に際しての難しさ、それを乗り越えるための工夫を教えてください。

立田
VirOは同時接続100人に対応しており、PCのWebブラウザでの利用を前提にしています。そのため先ほど話したような3DフルCGの描画問題を始め、快適な操作性の実現などシステム的に難易度が高い点がいくつもありますし、一方で開発コストも抑えなければなりません。何を優先し、何に目をつぶるかというシビアな取捨選択をしながら開発を進めています。たとえばパフォーマンスの維持に関していえば、今の大学4年生が入学時に購入した一般的な価格のPCのスペックに合わせて設計しています。
岡村
私は人事の方が利用する管理画面の設計を担当しています。採用活動で多忙な人事の方が利用するものなので、いかに手間を削減できるかを意識しています。そのため当社の人事にもヒアリングを何度も重ねました。おかげさまで「他社の採用サービスの設定よりもずっと簡単」と評価をいただいています。

白幡
バーチャルオフィスやアバターのデザインも、リアルさよりは若干ゲームのような要素を入れています。完全にゲーム寄りではないのですが、トーン&マナーとしては遊ぶゲームとビジネス的なデザインの中間を意識しています。それはオフィスデザインだけでなく、3D空間にある1つひとつのオブジェクトもそうですし、アバターの見た目や動きのかわいらしさなどもこだわっています。こうしたデザインやインタラクションへのこだわりが、楽しむことにつながると考えています。

【開発時のデザインイメージ】

自社利用で知見を蓄積、改善・成長するサービスを目指す

——最後に、いよいよ8月に本格リリースするVirOに対しての意気込みをお聞かせください。

立田
VirOは企業の方々に提供するだけでなく、当社でも利用していく形で考えています。実際に自社で利用することで、VirOの運用や活用に関するノウハウも蓄積されますし、そうした成果を企業の方に新たに提案していくことができると思います。8月の本格リリース以降、より深みのあるソリューションとして洗練させていきたいですね。
白幡
私としては利用する就活生の皆さんの気持ちが高揚するようなソリューションであることを目標にしています。先ほどからデザインや操作性にこだわっているという話をしてきましたが、まさに今、その部分の開発にかかっているので、就活生の方々がワクワクすることを目指し、そこを達成できるように進めていきたいと思います。
岡村
今、さまざまなデジタルソリューションが提供されていますが、どのサービスもスピーディーにリリースし、ユーザーを増やしながらより洗練化していくアジャイルなやり方が主流になっています。立田さんの話とも重なりますが、私もこのVirOをより良いものに育てていくことに意欲を感じています。VirOというオンラインの“場”からどのようなデータを収集し、何を計測していくかという企業からのご要望はリリース後にこそ見えてくる部分なので、担当者としてここは自分の手でしっかり育てていきたいと考えています。

——ありがとうございました。

「VirO」サービスサイトはこちら: https://vir-o.com

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  • 読売広告社 マーケットデザインセンター センター長代理
    デジタルストラテジスト
    2013年読売広告社入社。
    最先端のデジタルとストラテジックプランニングを活用した、マーケティングならびにDX支援業務を担当。事業戦略支援、マーケティング、プロモーション、CRM設計、MA活用など、幅広い領域において実施計画の策定実績多数。オリジナルの広告配信手法等、自社ソリューション開発も多数手掛ける。
  • 読売広告社 統合クリエイティブセンター ブランドデザインルーム
    シニアアクティベーションプランナー
    イベント・プロモーションのプロダクションTOW、デジタル・クリエイティブを得意とするプロダクションAID-DCC Inc.を経て、2016年より読売広告社。大手の車メーカーからアミューズメントパークまで、様々な企業の企画・制作を担当。
  • 読売広告社 マーケットデザインセンター 第2マーケットデザインルーム データビジネスグループ
    データストラテジスト
    2015年読売広告社入社。以後、営業職として不動産や、インフラ・エネルギー業種をメインに担当。2021年よりデジタル領域のストラテジックプランニングを中心に、マーケティング・ミックス・モデリングを用いた購買予測、メディア予算配分、広告の効果予測等の得意先PDCA業務に従事。現在はAI・データ領域を中心に自社向け/外向けソリューションを開発中。