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クリエイターとメディアプラナーのセッションで新たなうねりを|HAKUHODOサイクロン
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クリエイターとメディアプラナーのセッションで新たなうねりを|HAKUHODOサイクロン

2023年2月、博報堂DYグループが提唱する次世代型メディアビジネスモデル“AaaS*”を活用した、クリエイター×メディアプラナーの一体型チーム“HAKUHODOサイクロン”が発足しました。戦略立案からクリエイティブ開発、メディア設計、効果検証までワンストップで対応するこのチームが目指すものとは?

*AaaS(Advertising as a Service)とは・・・博報堂DYメディアパートナーズが提唱する、広告メディアビジネスのデジタルトランスフォーメーションを果たす次世代型モデル。広告主の広告効果最適化を通して事業成⻑に貢献するソリューション群を提供する。

相沢理人
博報堂 生活者エクスペリエンスクリエイティブ局
IMCディレクター/クリエイティブストラテジスト

貞包一平
博報堂DYメディアパートナーズ 統合アカウントプロデュース局
メディアプラニングディレクター

クリエイターとメディアプラナーがワンテーブルで課題と向き合う

―はじめに、“HAKUHODOサイクロン”とはどういったチームなのでしょうか?

相沢
メンバーとしては、博報堂のクリエイターが約20名、博報堂DYメディアパートナーズのメディアプラナーが約40名の計60名ほどで構成されたチームです。
“HAKUHODOサイクロン”のベースには“AaaS”に基づくさまざまなデータ基盤やソリューションがあり、そのデータを元にクリエイターとメディアプラナーがワンテーブルで議論し、クライアントと常時接続しながら課題に向き合っていきます。
チーム名の「サイクロン」は、継続的なPDCAサイクルを意味するCycleと、常時接続を意味するAlways Onを組み合わせた言葉。サイクロン(Cyclone)は英語で言うと「台風」の意味ですよね。日々変わっていく生活者の気分やうねりを捉えて、新しい答えを導き出していこうという活動体のスタイルも意味しています。

―なぜいま“HAKUHODOサイクロン”のようなチームが必要だと考えたのでしょう?

貞包
大きくは①生活者視点、②クリエイティビティ視点、③得意先視点の3つの視点でニーズがあると考えました。
ひとつめの「生活者視点」からみていくと、いまSNS を中心に日々偶発的なトレンドが生まれるなかで、ひとつのクリエイティブが刺さる期間が非常に短くなってきています。刻々と変化する時勢を捉え、柔軟に施策をアップデートできる体制が求められてきているというのがひとつ。
つぎに「クリエイティビティ視点」でみると、AIを活用した自動最適化ツールはすでにたくさん存在していますが、AIでみえてくるのは過去データから読み解いた最適化です。しっかりしたデータ基盤をもちながら、AIにはない視点でアイデアジャンプをした戦略やクリエイティブをつくることのできるチームが必要だと考えました。
さいごの「得意先視点」では、これまでクリエイティブはクリエイティブ、メディアはメディアのチームで動くというように、部署が分かれて担当することが多かった。クライアント側でも、一括りの統合視点で改善してくれるチームへのニーズがあると感じていました。

メディアの最適化からコミュニケーション全体の最適化へ

―それらのニーズを満たすために、クリエイターとメディアプラナーの一体型チームが必要だったということでしょうか?

貞包
データを常時接続してPDCAをクイックにまわすということは常に行なっていますが、それだけでは “メデイアの最適化”にとどまってしまうことが多い。そこを一歩進めるためには、クリエイティブのパワーやコミュニケーションの最適化をも含めて改善していかなければならないという課題がありました。そうしないと「Advertising as a Service」にはなりえないんですよね。
相沢
これまではどうしても納品型で、クリエイティブを一回作り、そのあとはメディア側でどう成果を上げていくかの改善になりがちだったと思います。
でも実際には「この結果をみると実はインサイトってこうだったんじゃないの?」とか「ほんとの価値ってここじゃないの?」とか、メディアだけでなくクリエイティブや戦略のレイヤーにまで遡って、コミュニケーションのあり方を改善すべきケースもあります。そんな大きなPDCAを回しながら次に繋げていけるのがワンチームの強さだと思うんですよね。これまでもチームを横断しながら連携していましたが、本当の意味で一体となって、メディアとクリエイティブがセッションしながらやっていくのが“HAKUHODOサイクロン”。常にデータを読み解きながらクリエイティブ側も改善を繰り返していく。それがアドバタイジングの“サービス化”ということなんだと思います。

データの“見えない部分”をどう解釈するかがアイデアジャンプ

―メディアプラナーの視点から、クリエイターとデータをみることで得た気づきはありますか?

貞包
生に近い状態のデータをクリエイターの方々といっしょに見てインサイト発掘できることは、新しい価値だなと思います。これまでメディアプラナー側だけでは見落としていたかもしれないインサイトを拾うことができる。
ある家電製品の仕事で、その製品が生活者にどのように見られているか調査するためソーシャルボイスを活用しようと思ったんですが、ほとんど出てこなかったんです。その場合、ふつうだと「発話されていませんでした」という結果になるわけですが、相沢から違う視点を指摘されたんですよね。
相沢
ポジティブな発話はほとんどなくて、不平や不満に関することばかり。ふつうだったら「使えないデータだね」となるんですが、これって要するに、生活の中で「無意識でいられる存在」であることが求められているんじゃないかと思って。
それをゴールとしたときに、打ち出したい価値の選定方法や伝え方の大方針が見えてきて、提案全体のシナリオが出来上がりました。
企業として「ありたい見え方」から発想していたらたどり着かなかった答えで、それ故にクライアントからも非常に高評価をいただけました。データを読み解くときも、ついつい見えている部分から答えを出しがちなんですが、見えない部分をどう解釈するかがジャンプの部分なのだと思います。

貞包
たぶんAIが分析すると、少ない中でも反応されている機能などを見つけてきて、「生活者が求めているのはこの機能です」という見立てになる。そうじゃないところに価値を見出すことができるのが、僕らのチームの強みですね。

―ほかにもAIにはむずかしいと感じる領域はありますか?

貞包
正直AIで最適化できることってたくさんあると思うんです。ただマスとデジタルを統合した最適化など、メディア効率だけでなくてクリエイティブの違いも解釈したうえでの最適化はまだまだAIではできないところ。全体コミュニケーションのアップデートには僕らの領域が活かせると思います。
相沢
あとは、AIで成果志向を突き詰めるあまり、ブランドとしての意志やアイデンティティが二の次になってしまうケースもあります。守るべきガイドラインの中で、最適化する部分とのバランスをしっかり取っていくというのが大事だと思いますね。

クリエイターとメディアプラナー。領域をクロスしながら一体化していく

―相沢さんはクリエイターとしてどのようにデータと向き合っていますか?

相沢
生活者の今の気分ってこうなんじゃないかとか、この商品って意外とこんなふうに使われてるよねとか、分かりやすい答えのあるデータではないところからの読み解きがすごく大事だと思っています。そこからターゲットの考え方や商品のコア価値、事業の伸び代みたいなところを見立てることで、それがそのまま戦略になっていくんですよね。
正解がひとつしかないデータから発想するのは息苦しくなってしまいますし、そこから新しい可能性は生まれにくいですが、データをどう読むかは自由。そこがクリエイティビティだと思っています。データから見立てをしていくこともあれば、見立てから入ってデータで検証していくこともあるし、いろんなアプローチがあっていいんですよね。データという武器がひとつふえただけという感覚です。

―クリエイター×メディアプラナーの一体型チームとなって、相互に影響し合う感覚はありますか?

相沢
僕はもともと自分でデータを叩きながらアイデアを発想していくスタイルだったので、データツールなども含めてもっと武器をふやしていきたいと思っています。クリエイター側こそもっとデータに触れるべきだと思いますし、博報堂内にもそういう人材が増えてきていると感じますね。
貞包
僕もデータは武器でしかないと考えているので、戦略までどう逆上がりするかがメディアプラナーの進化の先だと思っています。いまの相沢の話のとおり、クリエイター側もデータの読み解きができるようになれば、極論僕らは必要なくなってしまうわけですから、メディアプラナーも戦略を規定したり、生活者インサイトを読み解きクリエイティブアイデアを発想したりできるよう、お互いが領域をクロスしながら一体化していくことが“HAKUHODOサイクロン”のゴールなのかもしれません。

―チームの立ち上げ以来、実績を積んでいますが、2023年1月からはいよいよ本格始動となります。どんなクライアントに向けて強みを生かしていきたいですか?

相沢
すでにいくつかの案件を担当していますが、データから導き出す新しいインサイトやそこからどうチャンスを生み出していくかという我々のコア価値に、クライアントや営業チームから高い評価をいただいています。あとはやはり、ワンチームによる利点は大きいと思います。
昨今の統合コミュニケーションは領域がより広く深くなっている分、複雑になりがちなんですよね。領域に応じてクライアントも広告会社も担当部署が分かれていて、全体のマネジメントが大変。そこに対して“HAKUHODOサイクロン”はワンストップで取り組めるのが強みです。いろいろやり尽くしてなにか打ち手のヒントがほしいとき、データと見立ての掛け算を通じて新しい可能性を模索していくことができますので、新たなスパイスとして使っていただけたらうれしいですね。

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