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ポストクッキー時代の1st Partyデータ活用を支援する「DATA GEAR」 ー「予測」によってビジネス成果を最大化するソリューションとは?
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ポストクッキー時代の1st Partyデータ活用を支援する「DATA GEAR」 ー「予測」によってビジネス成果を最大化するソリューションとは?

Cookieデータが使えなくなる「ポストCookie時代」を目の前にして、企業が自社で保有する1st Partyデータの重要性がいよいよ増しています。博報堂DYグループの4社は、ポストCookie時代に1st Partyデータを活用したデジタルマーケティングを支援するチーム「DATA GEAR」を立ち上げました。このチームから最初に生まれたソリューションが「DATA GEAR for pLTV」です。チーム発足の経緯とこのソリューションがもたらす価値について、博報堂の推進リーダーである土井京佑に語ってもらいました。

土井京佑
博報堂 マーケティングシステムコンサルティング局 
マーケティングテクノロジー推進部 
ビジネスプラニングディレクター/データアナリスト

1st Partyデータをどう活用するか

──この1月に「DATA GEAR」という新しいチームが発足しました。これはどのようなチームなのでしょうか。

土井
プライバシー保護の法的規制、そして技術的な規制によって、従来デジタルマーケティングに活用されていたCookieがこれまでのようには使用できなくなってきました。今後、企業は自社が保有する1st Partyデータをマーケティング活動に有効活用していく必要があります。しかし、1st Partyデータをどう使えばいいかわからないという悩みを抱えているクライアントが少なくありません。DATA GEARは、そのようなクライアントに対して、1st Partyデータを活用したマーケティングの戦略立案・アクション策定・実行時に発生する様々な課題に対応する専門チームです。

DATA GEARは、博報堂、博報堂DYメディアパートナーズ、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)、アイレップの各社に所属しているプロフェッショナルによって構成されています。これまでも各社が個別に1st Partyデータ活用支援を行ってきましたが、その取り組みを一本化し、クライアントに提供できるサービスやソリューションの質を高めることを目的としてこのチームが結成されました。

──このチームで初めてリリースするソリューションが「DATA GEAR for pLTV」ですね。

土井
そうです。「DATA GEAR for pLTV」は、従来デジタル運用のKPIとされていた、Web-CVの件数やCPAの最適化ではなく、実際のビジネス成果(高LTVや成約・来店・購入など)への最適化を可能とするソリューションです。

具体的には、クライアントの1st Partyデータをもとにビジネス成果の予測モデルを構築し、それによって導き出された予測値(pLTV)をマーケティング実行策に連携する一連のワークフローを簡易的に実行できるツールとその導入・運用のコンサルテーションを統合したパッケージ化したものです。1st Partyデータをマーケティングに活用したいと考えても、何から始めればいいのか…と思っているクライアントの皆さんに最初に導入いただくことを想定したエントリーソリューションになります。

──「簡易的」とはどういうことでしょうか。

土井
このソリューションに必要なデータは、クライアントの1st Partyデータ(ビジネス成果の正解データ)とGoogleアナリティクスで計測しているウェブサイト行動データの主に2つです。その2つのデータをもとに機械学習によってビジネス成果の予測モデルを構築することが可能です。

従来、これまでビジネス成果の予測モデルを構築するにあたっては、ウェブサイト行動データ以外にも様々なデータを集めることや、モデル構築・検証や広告連携など各種実行策連携に必要なコネクタの開発もクライアント個社ごとに行う必要があり、労力もコストもがかかっていました。そのような時間、労力、コストを最小限に、予測モデルの構築から各種実行策への連携を半自動化できるのが「DATA GEAR for pLTV」の大きな特徴です。

これまでは、クライアント社内に点在する様々なデータを説明変数としてモデルを構築していましたが、我々のチームで機械学習による予測モデル構築のプロジェクトを複数対応させて頂く中で、ウェブサイト行動はビジネス成果に影響与える重要な要素ということを確認しており、ウェブサイト行動データから、十分にビジネス成果予測に耐えうるモデル構築できることが分かっています。
まずは、Googleアナリティクスのウェブサイト行動データを活用し、最小限のデータで予測モデルをつくってみる。その効果を見て、ほかのデータを説明変数として追加しながらモデルの精度を上げていく──。そのような取り組みの入口になるのが「DATA GEAR for pLTV」であり、それが「簡易的」ということの意味です。

「予測」から、ビジネス「成果」につなげる

──企業によっては、1st Partyデータが未整備というケースもあります。

土井
よく見られるのが、組織ごとにばらばらにデータが管理されているケースです。DATA GEARとは別の取り組みとして、そのようなデータの統合支援をさせていただくことも可能です。

もっとも、このソリューションは、ビジネス成果につながるデータとGoogleアナリティクスのウェブ行動データを説明変数として予測モデルの構築が出来るので、クライアント側で1st Partyデータの整理統合は必ずしも必須ではありません。クライアントに用意していただくのは、例えば、資料請求型のビジネスモデルであれば、「資料を請求した人のうち成約に至ったユーザー」「資料請求した人の1年後の利用額はいくらか」といったデータです。それさえあれば、予測モデルをつくることが可能です。

──予測モデル活用のイメージを説明していただけますか。

土井
例えば、リード型ビジネスの場合ですが、ウェブ上で資料請求したのちに成約まで行った人、資料請求以降で休眠してしまった人、成約後に高LTVとなった人など、それぞれのウェブサイト行動データから機械学習によってその特徴抽出し、「どのような人が成約する可能性が高いか」「どのような人が高LTVになる可能性が高いか」を予測する、ということになります。

なお、Googleアナリティクスのウェブサイト行動データが有用なのは、「行動」には生活者の特徴があらわれやすいからです。たとえば「早朝にウェブにアクセスしている」「ニュースメディアを頻繁に閲覧する」「ECでの購買頻度が多い」といった行動データに、ビジネス成果データを掛け合わせるだけでも、かなり精度の高い予測モデルをつくることが可能です。

──予測後のプランニングについてもお聞かせください。

土井
データ系のプロジェクトでは、分析や予測モデルの構築・レポーティングで満足してしまうケースも多いのですが、分析結果や予測モデルをマーケティング実行策に連携しないと意味がありません。
予測値をどのようなマーケティング施策にいかすかはクライアントの課題感によってケースバイケースですが、デジタル運用型広告、CRM、コンテンツそれぞれの実行策に連携していくという流れになる場合が多いと考えられます。その中でも進めやすいが、デジタル運用型広告の最適化だと思います。

デジタル運用型広告の場合ですが、従来のWeb-CVではなくビジネス成果の予測値(pLTV)を、媒体の広告最適化AIに学習させることによって「より成約率が高いと想定される人」や「よりLTV(生涯顧客価値)が高いと想定される人」に対して広告の入札をを最適化することが可能になります。

──資料請求の例でいうと、「ウェブからの資料請求」をコンバージョンとするのではなく、「資料請求後の売上」や「成約後のLTV」をコンバージョンと考えるわけですね。

土井
そのとおりです。ウェブ上で資料請求が何百件、お問い合わせが何千件と獲得できたとしても、そこからの成約がゼロならクライアントのビジネスは成り立ちません。予測値を使った「実行策」を最適化し、それを確実にビジネス成果の改善に結びつけていくことが、このソリューションの狙いです。

もちろん、施策を実行した結果の検証も必要です。ビジネス成果へのインパクトを検証し、PDCAサイクルを回し、モデル自体をアップデートしていく。あるいは、別の種類のデータを使ってモデルを拡張していく──。そういった取り組みまでをDATA GEARのメンバーがサポートします。

「スピード感」と「精度」を両立させたソリューション

──「DATA GEAR for pLTV」を導入することによるクライアントのメリットをあらためて整理していただけますか。

土井
第一にあげられるのはスピード感です。
これまではクライアント社内に点在する様々なデータをまずは集めてくるところから始まり、統合する環境構築も必要でした。「DATA GEAR for pLTV」では使用するデータが、クライアントの1st Partyデータと、Googleアナリティクスのウェブ行動データで、それぞれのデータ統合・モデル構築も含めて半自動化で対応できることで、実行策連携までよりスピーディーに行えるようになっています。

さらに、「DATA GEAR for pLTV」は実行策連携を前提としており、これまではクライアント個社ごとに開発が必要だった、広告媒体と連携するための汎用的なコネクタを搭載しており、個社ごとの開発費が必要ないという点です。

もちろん、スピーディーでコストや労力が最小限だからといって、精度が見劣りするということではありません。このソリューションには、モデルをつくった時点で予測が正しく機能するかどうかの答え合わせ(モデルの検証)行い、精度を検証するプロセスが含まれています。モデルの精度を検証したうえで、マーケティング施策の実行につなげるコンサルティングができる。それがこのソリューションの大きな特徴と言えます。

──どういったクライアントに活用していただくことを想定していますか。

土井
最も効果を発揮するのは、Web-CVからビジネス成果まで距離がある業種です。例えば、リード型ビジネスの場合は、Web-CVは「資料請求」や「お問い合わせ」であってもビジネス成果はそこからの「成約」や「売上」となりますし、金融の場合はWeb-CVが「口座開設」や「カード発行」であってもビジネス成果は「利用金額」や「アクティブ率」のようなになり、また、ECサイトではもWeb-CVは「初回登録」や「商品購入」などですが、ビジネス成果としては中長期的なLTVを追っているというようなケースも含まれます。
具体的な業種・ビジネスとしては、金融、保険、自動車、不動産、インフラサービス、サブスクリプション、EC、教育など幅広くご活用いただけると思います。

それから、現状ではオンラインとオフラインのチャネルがそれぞれ存在するようなクライアントにもご活用いただけます。例えば、店舗を展開されているアパレルのECでは、ウェブ上での購買によってコンバージョンはいったん完了すると考えられますが、そこからLTVをどう上げていくか、あるいはリアル店舗での売上にどうつなげていくかといったことは別の施策として考えなければなりません。そのようなケースでも「DATA GEAR for pLTV」は有効にご活用いただけます。

──DATA GEARというチームならではの強みについてもお聞かせください。

土井
DATA GEARのメンバーはこれまで、マーケティングテクノロジーの導入・運用、機械学習の活用、予測モデル構築、効果検証などのプロジェクトを何度も経験してきました。そのノウハウの蓄積があることが一つです。もう一つは、マーケティング施策のプラニングや実行、あるいは広告展開のメディアプランニングなどで、博報堂DYグループの豊富なリソースやネットワークを活用できる点です。

──1st Partyデータ活用に課題を感じているクライアントの皆さんに向けて、最後にメッセージをお願いします。

土井
現場のご担当者が「1st Partyデータを使って何か成果を挙げる」というミッションを課せられるケースは多いと思います。しかし、何をやればいいかという答えがすぐに見つかるわけではありません。その際に、ソリューションだけではなく、取り組みのロードマップをご提供し、施策の実行まで伴走させていただけるのがDATA GEARです。ぜひ、お気軽にお声がけをいただければと思います。
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  • 博報堂 マーケティングシステムコンサルティング局
    マーケティングテクノロジー推進部
    ビジネスプラニングディレクター/データアナリスト
    ネットベンチャー企業・ネット専業代理店を経て、2014年に博報堂入社。営業職を経て2019年より現職。主にダイレクトマーケティングのPDCA業務やデジタルソリューションツールの導入・運用を得意とし、金融、人材、インフラ、家電、消費財など幅広い業種での対応実績あり。2022年より博報堂DYグループ4社横断の1st Partyデータ活用チーム「DATA GEAR」の推進に従事。