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これからのインスタマーケティング Vol.3 ハッシュタグの付け方
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これからのインスタマーケティング Vol.3 ハッシュタグの付け方

AIQ(アイキュー)株式会社の渡辺COOを交え、現場視点でこれからのインスタグラムマーケティングを考える対談。前回は「インスタグラムのKPIと立ち上げのコツ」について、今回は「ハッシュタグの付け方」についての議論です。

モデレーター:
博報堂プロダクツ データマーケティングディレクター 横井忠泰

スピーカー:
AIQ株式会社 取締役COO 渡辺求
博報堂プロダクツ SNSディレクター 小川宗紘
博報堂プロダクツ プランナー 杉山芽衣

※スピーカーの所属会社・部署・肩書は、取材時のものです。

横井
では、第三回では「ハッシュタグの付け方」について、議論できればと思います。まず、ハッシュタグに関しては、付け方に関わる環境変化があると思っています。その点について、渡辺さんにお聞きしたいと思います。
渡辺
はい、AIでインスタグラムを解析する日々の中で、2つの環境変化を大きく感じています。

①ハッシュタグ検索の増加
②人気投稿アルゴリズムの変化

まず①は、若い女性を中心に「インスタグラムのハッシュタグ検索で、情報収集する」、いわゆる「タグる」動きが増えています。

杉山
そうですね、私も一生活者としてインスタのハッシュタグ検索はよくやっています。「ビジュアルで直観的に判断しやすい」「生活者の生声を参考にできる」ためです。
渡辺
杉山さんのような「タグ検索する生活者」を掴むためにまず大事なのが、「人気投稿に載ること」です。ハッシュタグ検索したトップ画面で、表示されるかどうか。

では、人気投稿に載るためにはどうするか?
この人気投稿に関するアルゴリズムに、変化が起きていると見ています。

これまでは、次の3点が大事と言われてきました。

・いいね数
・コメント数
・保存数

これに加えて、2019年末頃から加わったと見られるのが、
「ハッシュタグ同士の関連性」です。

横井
このアルゴリズム変化に気付かれたのは、AIQ社がAI等を活用して人気投稿データを収集し続けられているからですよね。
渡辺
はい、そうです。担当させて頂いてるアカウントで、これまで人気投稿TOP9に入っていた投稿が、突然大きく掲載順位を落とした事が増え、アルゴリズムの変化を疑いました。

徹底的に調べた結果、どうやら「ハッシュタグ同士の関連性」がアルゴリズムに加わったであろうことと突き止めました。

この「ハッシュタグ同士の関連性」とは、1投稿につける複数のハッシュタグ同士が、どれだけ関連しているか?ということです。
たとえば、現状「#自炊レシピ」と「#おうちごはん」は関連性が高いですが、
「#自炊レシピ」と「#トレンチコート」は関連性が低い、と判定されます。

横井
「#自炊レシピ」の検索結果が、「トレンチコートの写真」で溢れかえったら、ユーザーは嬉しくないですものね。
渡辺
そうなんです。ユーザーにとっての不快な体験を減らそうとして、このアルゴリズムに変化したのではないか、と思っています。

そのため、ハッシュタグを30個まで付けられるからといって、無暗に30個つけるのはリスキーだと思っています。関連性のないハッシュタグが紛れ込んでしまい、人気投稿の掲載順位が上がりにくくなってしまう可能性があるからです。

横井
なるほどです。では次に、「この状況を踏まえて、ハッシュタグをどうつけるか?」をお聞きしていきます。
渡辺
私の考えるひとつの方法は、「AIにはAIを」です。なぜなら、このハッシュタグ関連性の有無は、機械的に判断されているので、人の判断とズレることがあるからです。

たとえば、「#チョコレート」は関連性アリだけど、「#ホットチョコレート」になると関連性ナシ、あるいは「#おうちカフェ」では関連性アリだけど、「#お家カフェ」では関連性ナシと判断されているケースがありました。

横井
これを人力で見抜くのは、確かに難儀ですね。
渡辺
そうなんです。そこで、我々が開発したAISIGHTでは、ハッシュタグの関連性を考慮して、ハッシュタグのリコメンドをできる機能を追加しました。また、選んだハッシュタグの関連性をチェックできる機能も搭載しました。
小川
ハッシュタグの関連性については、私も注目していることもあり、AISIGHTを導入させて頂くアカウントが増えています。

また、私がハッシュタグ設計でポイントと思っていることは、
「ハッシュタグとは広告コピーではなく、検索キーワードである」という
スタンスに立つことです。

ターゲットが検索する際に使うワードをハッシュタグにすることで、検索からの導線を作りやすくなるからです。

杉山
わかります。加えて、検索に使われるハッシュタグの傾向として、「細分化」が進んでいると感じます。

たとえば、トレンチコートの着方を知りたいなと思って、「#トレンチコート」で検索しても、ドンピシャでない投稿も表示されます。そこで「#トレンチコート春コーデ」など、よりドンピシャなハッシュタグで探すようになってきている、という意味での細分化です。

小川
そのような「ドンピシャなワード」を知るために、私がやっているのは「ファントライブに潜り込む」です。これは、「ターゲット層が、どういうタグを使って自主投稿しているか?」をリサーチして、そこで使われるタグを利用すること。
杉山
私も、同じように調べて、ハッシュタグをつけること多いです。
ただ、ファンコミュニティで使われるワードを使う場合に注意することがあります。
それは、「ファンユーザーがそのハッシュタグに求めている情報と、自社の投稿内容がミスマッチしていないか?」を確認することです。

たとえば、あるアイドルをCMに起用しているという理由で、「#(アイドル名)好きさんとつながりたい」といったハッシュタグをつけるとします。基本的にこのハッシュタグは、ファンが「同じアイドルを好きなファンと繋がりたいから使うもの」なので、そこにブランドアカウントの投稿が割り込むと、印象が良いとはいえません。

ファンコミュニティの温度感を理解し、線引きを見極める。そこは運用者の肌感と慣れの領域かもしれませんが。

横井
その肌感を掴むために実践していることはありますか?
杉山
そうですね、候補のハッシュタグで検索して、どんな投稿が多いかを見ます。
「そこに自社アカウントの投稿が表示されて違和感がないか?」をユーザー目線で考えます。「そのハッシュタグで検索したユーザーの気分」になりきるのがコツかと思います。
横井
ハッシュタグの付け方のコツを一つの流れとしてまとめると、以下ですかね。

ハッシュタグに関しての議論は、これで閉めたいと思います。

――――――――――――――――――――――――
次回の最終回は、インフルエンサー活用について、議論します

 

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  • 渡辺 求
    渡辺 求
    AIQ株式会社
    取締役 COO
    カシオ計算機(株)、バンダイネットワークス(株)(現:(株)バンダイナムコエンターテイメント)にて事業責任者として、また、ネオス(株)(東証一部) 常務取締役、合同会社インミミック(ソニーミュージックエンターテインメントとネオスの合同会社)代表を兼務、一貫して新規技術を活用した新規事業を創出。AIQではAIを活用したソーシャルデータ分析による「新しい企業と個人の繋がりを創出」する事をミッションに活動。
  • 博報堂プロダクツ デジタルプロモーション事業本部
    PR部 ソーシャルネットワークプランニングチーム
    SNSディレクター / プロデューサー
    2013年博報堂プロダクツ入社
    WEBからAR/VRなどのデジタル制作を経て、2018年のSNS専門部署
    立ち上げ時からジョイン。
    企業アカウントを中心に企画、運用、コンテンツ制作、調査・分析業務までを幅広く手がける。最近では全国各地セミナーに登壇することも。
  • 博報堂プロダクツ デジタルプロモーション事業本部
    プランナー/SNSディレクター
    2014年博報堂プロダクツ入社
    デジタル&リアル展開の案件やPRを意識した拡散やニュース化SNS施策などを幅広く担当。
    プロモーション~CMまで統合的なプランニングを得意とし、施策の細部まで設計する広告を作る。
    販促会議コンペティション2016 協賛企業賞/審査員特別賞 受賞
    JPMプランニング・ソリューション・アワード
    ACCブランデッドコミュニケーション部門
    アクティベーション ブロンズ/PRファイナリスト/デザインファイナリスト
  • 博報堂プロダクツ データビジネスデザイン事業本部 CRMデザイン部 データマーケティングディレクター / データシェフ
    学芸大附属高校・慶應義塾大学卒業。2014年博報堂PRODUCT'S入社。ダイレクトマーケティング流のデータ活用が武器。toC・toBにおけるプロモーション・営業支援からCRM・カスタマーサクセスまでの統合プランニングに従事。主な担当業種:化粧品/IT/飲料/保険/官公庁