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生活者の様々な視点を混ぜ合わせるチーム「#SHAKER」    ~組織の垣根を超えてコンテンツマーケティングを支援する~
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生活者の様々な視点を混ぜ合わせるチーム「#SHAKER」 ~組織の垣根を超えてコンテンツマーケティングを支援する~

デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)と博報堂アイ・スタジオ、博報堂DYメディアパートナーズの3社は「#SHAKER」というチームを組み、企業のコンテンツマーケティングを支援しています。3社で組むことにはどのようなメリットがあり、どのような成果を発揮しているのでしょうか。DACの奥島智喜、博報堂アイ・スタジオの十字賢、博報堂DYメディアパートナーズの森永真弓に聞きました。 

 

-自己紹介をお願いします。

奥島
DACメディアソリューション本部の奥島です。メディアソリューション本部は媒体社に向き合う部署です。その中で私が所属するコンテンツマーケティング部は、媒体社が保有するコンテンツの利活用をもとに企業のマーケティング戦略を支援する部署です。#SHAKERもこの部署で取り組んでいて、クリエイティブ、ディレクション、媒体社との調整などを博報堂アイ・スタジオと共同で行っています。私は以前は博報堂DYメディアパートナーズ新聞局に常駐し新聞社を中心にデジタル領域の担当をしていました。現在はDACに帰任し、これまで培った経験を生かしてコンテンツマーケティングに取り組んでいます。
十字
博報堂アイ・スタジオの十字です。博報堂DYグループ内で連携したソリューション開発を担当しています。2017年に#SHAKERの立ち上げを担当し、メディアを活用したコンテンツマーケティングの支援をしています。
森永
博報堂DYメディアパートナーズの森永です。元々は通信会社で技術者をしていました。博報堂に中途入社し、ブログやSNSなどを活用したネット上のコミュニケーションを長く担当していました。今はクリエイティブ&テクノロジー局コンテンツマーケティング部の部長として、コンテンツホルダーのデジタル化をサポートする仕事をしています。コンテンツマーケティングというと広告業界ではインターネッ上で展開する施策と捉えられがちなのですが、コンテンツマーケティング部ではマスコンテンツの新しい活用の模索も含めて広い視野で見ています。

-コンテンツマーケティングとはどのような手法なのでしょうか。

奥島
企業が商品やキャンペーンを訴求する際に、それ自体を広告宣伝のような形で出すのではなく、記事などの文脈に乗せて、いわゆるコンテンツとして見せる手法です。広告の場合は企業が「この商品のここがいいよ」「この金額だよ」と発信する形になりますが、コンテンツマーケティングでは、生活者の視点に立って「こういう情報があるよ」と発信することで、利用シーンや体験のイメージにより生活者の欲求を醸成させる内容でアプローチができるというメリットがあります。コンテンツマーケティングは企業が自らやることも可能で、例えばビールメーカーがビールの文化についてのサイトを自ら立ち上げる、といった場合もコンテンツマーケティングに含まれます。その際のコンテンツは、クライアント企業が内製する場合もあれば、外部のリソースを使う場合もあり、我々はその後者のケースで支援をしています。
十字
コンテンツマーケティングを、検索に引っかかることを目的としたSEO的なものと捉えている人もいらっしゃるかと思うのですが、本来は顕在層だけではなく潜在層にも「見てもらう」「知ってもらう」という生活者との接点を広げることを目的としたもっと広い視点の手法です。
奥島
商品に関連する文化や習慣などを認知拡大して全体的な関心を押し上げることで、結果的に自社の商品にも関心に繋げたい、という考え方ですね。製薬会社の場合、「病気のこの症状に対しては、こういうアプローチが効果的です」、「その中の手段の一つとしてこの薬があります」といった形で見せるのもコンテンツマーケティングになります。

制作とメディアの壁を取り払ったチーム「#SHAKER」

-2017年に#SHAKERを始動することになった背景を教えてください。

十字
2017年時点で、コンテンツマーケティングという言葉は広がっていましたが、コンテンツの制作とマーケティングが各々独立して分断されているという課題がありました。結果として施策もデータも分断され、なかなか広げることが難しかったのです。
DACと博報堂アイ・スタジオの2社がチームを組めば、コンテンツマーケティングに必要なメディア文脈もコンテンツ視点文脈も揃います。そのような考えから一緒にチームを作っていこう、との流れになりました。
よくクライアントから相談されるのは、SEOでは検索した人(顕在層)を集められるが検索しない人(潜在層)にはリーチできない、記事本数を増やしたけれどサイト訪問者が増えない、といったことです。そのような悩みを解消するために、メディアを活用したアプローチでより効果を出せることを伝えていきたいと考えました。我々としても、コンテンツに触れてもらうために広告で人を連れてくるのではなく、コンテンツ自体が広がる仕組みが重要だと考えていたので、チームとしてどのように集客するかというところからスタートしました。
奥島
制作担当とメディア担当が分かれていると、コンテンツマーケティングをどのように扱うかが難しくなってしまう。#SHAKERは、体制から含めてワンストップで受注できる形になればと考えてスタートしました。
十字
マス主導の時はワンメッセージを「どん」と出せば良かったのですが、今は情報がとても細分化されています。コンテンツのメッセージも、受け手の趣向ごとに使い分けていかなければなりません。
森永
メディアの数が限られていた時代は、商品やサービスの特性の中から訴えたいワンメッセージ、ワンビジュアルを絞りこみ、連呼し畳み掛けることが王道でした。多数派が共感するような内容です。インターネットでは各々の人の好みに合わせたメッセージを発信することが可能になり、これまである意味切り捨てられていた少数派の人に響くことを考えるのも重要になってきたのです。ターゲットを絞りきらず、商品やサービスの特性すべてを使い切る気持ちで、様々な人に向けた内容を様々なところで伝える方がより全体的な効果が上がる、ということですね。
十字
同じ商品であっても、受け手の趣向ごとにマーケティングでどういう風に欲求を作るかを変える必要があります。自動車の場合、同じ車種であっても高級路線とファミリー路線の異なるパターンをタッチポイントによって使い分けるといった具合です。
奥島
適したコンテンツを適した作り方で作り、適した届け方で届ける、ということです。
このような考え方がまさにコンテクストオプティマイズと言えます。

~当事者では気付くことができない魅力を発掘していく~

-#SHAKERの強みを教えて下さい。

奥島
博報堂アイ・スタジオの強みである制作ディレクションなどのプロデュース力、博報堂DYメディアパートナーズの強みであるクライアントの課題把握などの総合マーケティング力、DACの強みであるデータビジネスや媒体社との関係値を集結したチームであることです。
DACはマスメディアからネットメディアまで約1500社の媒体社と定常的な取引があり、出版社や新聞社にもアプローチをすることが可能です。つまり、コンテンツ制作の際に興味・共感といった素地をしっかり作ることができる、そのコンテンツをどう見てもらうかも考えることができる、更に実際にどのような属性の人がコンテンツを見たかを把握することができる、ということですね。
森永
従来のタイアップは広告会社やクライアントのクリエイターが、自分たちのために用意された枠の中でどれだけのことが伝えられるかを考え、それを媒体社に要求することが多かったのです。コンテンツマーケティングの場合は、媒体社が持っているメディアの特性や語り口、写真の雰囲気といったものに、クライアントの言いたいことを擦り合わせることが必要になるので、メディアの知識が必要になります。媒体社の活動の中に、クライアントの活動を混ぜていただく、のようなニュアンスですね。一方で、媒体社側のライターにもクライアントサイドの知識がない為、書ききれない部分があって、その間を繋ぐ機能や調整力がちょうど抜け落ちている、といった具合だったのです。そこを担うのが#SHAKERだと思っていただければイメージしやすいかと思います。
十字
例えばコスメメーカーが通販で売り上げをアップしたい場合に、「今年の夏はオレンジ色のメイクが流行る」といったトレンドや、どういうコンテンツを作れば生活者に共感を持ってもらえるかのナレッジは、多くの場合媒体社が持っています。この媒体社の知見やデータ、ノウハウを企業の広告に生かすことは、非常に大きな可能性があると思っています。デジタルだけに留まらず「コスメ体験会」などのイベント開催することで、体験価値をコンテンツ化し、参加者のデータを得ることも可能です。
森永
媒体社と組んで広告を作ることで、クライアントが自社の商品に対して特に注意を払ってこなかった部分を強みとして認識できるといったことはよくありますね。
コスメを例に言うと、メーカーは発色の良さを押したいと思っているけど、媒体社が「発色のことに言及している商品は非常に多いので、代わりに、パッケージが凄く可愛いことを訴求しましょう」と提案するといった具合ですね。
十字
チーム名を#SHAKERとした理由も、これまで分断してきた組織やデータを混ぜ合わせたい、というところから来ています。生活者を捉えている媒体社の視点と、クライアントの視点、様々な視点を混ぜていかないと、施策が分断してうまく機能しないと思っています。
森永
「生活者」という言葉がありますが、広告の視点では生活者の“消費者”としての心理を掘っていて、媒体社は“視聴者/読者”としての心理を掘っているので、同じ生活者を対象にしているようでいて目線が全く異なります。#SHAKERにはこれらの視点を混ぜ合わせる、という意味も込めています。
十字
実際の業務でも、クライアントが伝えたいメッセージと、生活者の身近な興味共感のきっかけは異なることが多いので、そこを擦り合わせることからスタートすることがほとんどですね。ビールであれば、ビールそのものについて伝えるよりは、美味しいお店や旅先で美味しいビールが飲める場所についての記事を作るといった具合です。
森永
大容量の荷物が詰める自動車の場合、「大容量です」というよりも、「楽しいキャンプするにはこれくらい荷物が必要ですよね、じゃあ車にはこれくらい積めないとね」というメッセージを発信すると、受け手に響きやすいのです。
奥島
ある事例では、ソーシャルアカウントの運用を、我々が一部担っています。このようなニーズが最近増えていて、クライアントからの依頼もあります。
十字
昨年、マガジンハウスさんと「Local Marketing Studio」というソリューションの提供を始めました。これは、地域振興のためにコンテンツマーケティングを活用したい地方自治体の支援を目的としたものです。
コンテンツマーケティングを実施したい地方自治体は多いのですが、そのノウハウがない自治体に対して運用の方針策定やコンテンツ開発、自らコンテンツを作れるよう勉強会を開催しています。
森永
地方自治体でも、先ほどお話したコスメメーカーの場合と話は似ていて、そこにお住まいの方が、その地域の良さに気づいていないことも多いのです。外からの目線で「ここは良いよ」「これは面白いよ」とお伝えすることで見方が変わるし、そういった視点の持ち方を覚えれば自分たちでコンテンツを作っていくことができます。
十字
遠浅の海がある地域の方が、「ここの海は何もないよ」と仰ったりするのですが、そういう場所は風がないときは海と陸が反転して写りやすかったりする。だから撮影スポット、インスタ映えスポットとして魅力的だったりします。
このような外視点での体験価値を見つけて開発することは、コンテンツマーケティングで広げていくことにつながります。

インフルエンサーも巻き込み、様々な展開を

-「組織の垣根を外す」という部分について多くうかがってきましたが、それ以外にも
#SHAKERの強みと言える部分はありますか。

森永
編集機能がありタイアップのコンテンツマーケティングができます、というところは他にも沢山あるんですね。大きく違うのはデータやシステム周りのサポートの部分です。具体的にはDACのデータ関連の部分や、博報堂アイ・スタジオのデータ分析をもとにUI、UX設計をした上でコンテンツを開発する部分です。
奥島
DACは自社で開発・提供しているDMP「AudienceOne®」によって、膨大なデータを生かしたコミュニケーション設計が可能です。施策実施後のレポーディングなども可能で、メディアを有効に活用することができます。
十字
データを元にどういうコンバージョンを上げていくかを検討する際、届けるターゲットごとに刺さるコンテンツは変わってくると思います。単純にサイトを作る、ということであればどこに依頼しても同じだと思いますが、分断を解消してUXやUIをコンテキストから設計し最適なサイト制作に対応できるのが我々の強みですね。

-今後の展望を教えて下さい。

奥島
クライアントや商品のターゲット層を詳しく理解したり、潜在層も顕在層もより囲い込んでいくための施策をどうすべきかを考えていけたらと思っています。車、旅、スポーツ、レジャーなどの様々なメディアと連携して、いろいろな接点を持つ人に対してアプローチしていきたいです。
十字
今はコンテンツマーケティングというと、記事だけが対象になりがちですが、記事以外にも例えばネット番組を独自に作れば見てもらいやすいのではないかと思います。「毎週やっていて面白い番組」のような形でコンテツマーケティングをやってみたいです。
デジタルに囚われないリアルな視点ですと、家族で楽しめるその地域の体験を掘り下げていって、旅の楽しみ方をメディア視点で開発し、体験してもらうところまでをコンテンツ化するといったことをやってみたいですね。今は施策の手段に対してオーダーがきていますが、「どのようなコミュニケーションが最良なのか」というところからフラットに考えていくようなことがやりたいです。
奥島
メディアが “人”にもなってきています。ですので、YoutuberやInstagramerなどのインフルエンサーが持つリソースを活用して広げていくようなこともやってみたいですね。コンテンツ制作の際にSNSの運用が切り離せない中で、重要な役割を担っているのがインフルエンサーだと思っています。数千人~5万人のフォロワーを持つ方を「マイクロインフルエンサー」と呼ぶのですが、そういった方々にもアプローチし、インフルエンサーマーケティングも組み合わせた施策も実現していきたいです。
森永
インフルエンサーが商品を紹介する際には、こちらでオリエンをして「ここが良いと言ってほしい」という形ではなく、インフルエンサーの目線で感じたことを伝えてもらう形にしたいと思います。同じ商品に対して視点が違えば気がつくところも違うはずなので様々な可能性が広がると思っています。
  • デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム
    メディアソリューション本部コンテンツマーケティング部
    DAC入社後、メディア部での新聞社担当を経て、博報堂DYメディアパートナーズ新聞局のデジタル担当として様々な案件に従事。現在はDACに帰任し、タイアップ広告やコンテンツマーケティングのセールス、媒体社との協業によるメディア開発を推進している。
  • 博報堂アイ・スタジオ
    ストラテジックマネジメント局
    1997年より映像やWEBなどのデジタルコンテンツ制作を行い、2005年博報堂アイ・スタジオに入社。近年ではデジタルを起点にした博報堂DYグループのソリューション開発や新規事業開発などを担当し、博報堂インタラクティブデザイン局を経て現在に至る。
  • 博報堂DYメディアパートナーズ 
    クリエイティブ&テクノロジー局
    通信会社を経て博報堂に入社し現在に至る。 コンテンツやコミュニケーションの名脇役としてのデジタル活用を構想構築する裏方請負人。 テクノロジー、ネットヘビーユーザー、オタク文化研究などをテーマにしたメディア出演や執筆活動も行っている。自称「なけなしの精神力でコミュ障を打開する引きこもらない方のオタク」。 WOMマーケティング協議会理事。共著に「グルメサイトで★★★(ホシ3つ)の店は、本当に美味しいのか」(マガジンハウス)がある。