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日本の音声プラットフォーマー「radiko」が描く挑戦と「Unity」のビジョン~共に作る音声メディアの未来~
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日本の音声プラットフォーマー「radiko」が描く挑戦と「Unity」のビジョン~共に作る音声メディアの未来~

日本の音声メディアの中核を担う音声プラットフォームの一つであるradiko。radikoが新たに掲げるビジョンUnity(ユニティ)とは何か、また音声メディア領域においてradikoはどんな未来を見据えているのか。テレビラジオビジネス局の千代反田繁が、株式会社radiko代表取締役の池田卓生氏、同取締役の嶋裕司氏にうかがっていきます。

radikoが掲げる「Unity」というビジョンとは?

千代反田
音声メディア市場の成長を牽引するradikoが、新たな挑戦に臨もうとしています。
ユーザー拡大への取り組みや今、急成長するオーディオアドについて、また日本を代表する音声メディアのインフラの顔となるradikoがどんな未来を見据えているかについて語っていただきます。
池田
私から、まずはradikoが掲げるビジョン、「Unity(ユニティ)」についてご紹介させてください。これまでradikoは、全ラジオ放送局からいただいた全コンテンツ、さらにNHKラジオのライブ配信を行ってきました。今後は放送局とradikoが同じ目線で音声業界の未来を描き、共に進んでいく新フェーズであるということを、「Unity」というビジョンにこめました。

Unityでは以下3つの課題を掲げています。1つは、MAUのグロース。2つ目はradiko Audio ADによる広告収入のグロース。そして3つ目は社会インフラの顔としてのradiko代替に取り組むことです。
現在MAUは800~850万ですが、これを1000万、2000万にしていくことが目標です。
昨年末2025年12月1日に15周年を迎えたことを機に、これから1年間、さまざまな「15周年プロジェクト」を展開します。「FIND YOUR VOICE」というコピーで展開するほか、ユーザー投票で選ばれたradikoのオリジナルキャラクター「ラジまる」をビジュアル面でも広げていきます。
radikoのブランドムービーでは、若手注目株の俳優、木戸大聖さんに出演いただき、人気バンドSaucy Dogに楽曲提供いただきました。また「radiko15周年PR大使」として爆笑問題の太田光さんをアサインしています。2024年、爆笑問題はradikoで聞かれた番組ランキングでトップだっただけでなく、太田さんは日頃からradikoでさまざまな地方番組を聴取しているヘビーユーザーなんです。太田さんと全国各地のパーソナリティーの対談インタビュー番組などを予定しているので、ご期待ください。radikoのMAUを少しでも増やすきっかけにできればと考えています。

radiko代替への取り組みについては、実は全国のAM局が現在、送信アンテナの老朽化という課題を抱えており、それをFMで補う動きが進んでいます。また、FM局においてもいずれアンテナの老朽化は起こりますし、小規模中継局の維持にもコストがかかります。radikoはそこを補う役割を担えるとして、総務省や民放連のラジオ委員会と連携していく取り組みを進め、“社会インフラとしてのradiko”の認知を広めていければと考えています。

radiko audio Ad(ラジコオーディオアド)による広告収入のグロース戦略とは

いま、「“枠”から“人”へ」と広告の考え方がシフトしており、radikoもデータに基づいて人にターゲティングをする広告商品となっています。その結果2025年の上期は、前年比225%の売り上げとなりました。radikoがラジオ広告の価値を高め、放送局の収益の柱となるような存在に成長させるため、以下の戦略を掲げています。

1つは広告商品としてのradikoAdの認知向上です。radikoAdの内容や存在自体、なかなか十分に企業や広告会社に認識いただけていない現状を受け、まずはユースケースを広告主や広告会社に継続的に発信することにより、広告業界におけるradikoAdの地位を向上させる必要があると考えています。もう1つは、全国99のラジオ局にいる数百人の営業マンの皆様と連携して、radikoAdを一緒にセールスしていただき、活性化していくことです。そのような中で、地上波との連携やポッドキャストとの連携の商品が新たに生まれております。そのためにradikoは全国を6ブロックに分け、6人のエリア担当者が各局と連携し、商品開発やセールスを推進する体制を整えています。

改めてradikoの概要をおさらいしますと、radikoはインターネットでラジオ、Podcastが聴ける日本最大級の音声コンテンツプラットフォームで、850万人の月間利用者数、110万人の有料会員を抱えています。平均利用時間は130分です。通勤・通学中、ベッドの中、車の中など、日常の中の「ながら時間」で使っていただくシーンが多いです。ラジオをライブで聴く「ライブ」、1週間前までさかのぼって聴ける「タイムフリー」、放送エリアを超えて日本中のラジオ局が聴ける有料サービス「エリアフリー」があり、「Podcast」も楽しめます。ラジオが得意な「車載機対応」として、Apple Car Play、Android Autoでも聴けるサービスも始めました。
radiko audio Adはターゲティング可能なデジタル音声広告商品です。特長は2つ。1つは豊富なデータをもとにしたターゲティングが可能で、音声CM中はバナーも表示されます。もう1つは、無料でブランドリフト調査などがレポーティングとして付帯される仕組みがあり、広告効果の可視化が可能です。

radikoはスマホの位置情報をオンの状態でしか利用できないサービスです。
ですので、精度の高い位置情報が獲得できており、例えば、どの店にどれくらいの頻度で行っているかなどの情報をベースとしたターゲティングができる仕組みになっています。また、かなりの1stPartyデータも所有しています。ある程度の行動パターンを偏差値化していて、よくコンビニに行く方とか、スポーツクラブに行く方、JRに乗る方など、行動に基づいたターゲティングができ、いま赤坂駅周辺にいる方に向けて広告配信するなど、リアルタイムターゲティング広告も可能です。番組ジャンルや趣味指向性、世帯年収や職業によるターゲティングもできますし、車中でブルートゥース接続しているか、ワイヤレスイヤホンで聴いているか、スピーカーとつないでいるかなどの行動パターンも把握できます。
運用型広告も採用しており、各種DSP、博報堂DYグループと連携を進めています。

また現在、radiko「オリジナルチャンネル」という商品もトライアル中です。
ラジオ99局のチャンネルにもう1チャンネルを加えるもので、期間限定で全国で聴取可能で、ライブ配信やタイムフリー配信も可能な仕組みです。オリジナルチャンネル誕生のきっかけは、去年8月、ABCラジオと連携した「オーディオ高校野球」において、甲子園の全試合を配信したこと。その後、5月に「MUSIC AWARDS JAPAN」を2日間にわたり展開いたしました。今年の8月には「オーディオ高校野球」第2回を展開。141万人という、昨年比で約1.5倍の聴取者数を記録しました。

拡大する音声広告市場のなかで、より多くの取り組みをradikoと博報堂で作っていく。

千代反田
博報堂とラジオ99局は長年、強固なパートナーシップに支えられ、多くの広告主の番組やCM、そしてブランドやサービスローンチ時のキャンペーンで選ばれるメディアとしてともに、歩んできました。今回のテーマでもありますradikoの成長において、放送局とのUnityが最重要テーマであると打ち出した理由を教えてください。
池田
私が放送局にいた頃は、radikoとの距離を感じていましたし、現在はクライアントや広告会社の皆様にしっかりと伝えきれていない情報があるのを実感しています。放送局と1つになることでそうした情報差分をなくしていきたいと考えています。また今後ローカルエリアでもしっかりと含有率を上げて、radikoの成長=全国のラジオ局の成長としていけたらと考えています。
千代反田
radikoの生活者への浸透が進み、より「いつでも」「どこでも」ラジオ番組の楽しみを届けることができるようになったことがradikoがリスナーにもたらした価値だと思います。博報堂が生活者発想を活かしたクリエイティビティで、社会に新たな価値を生み出していく姿勢とも通じる変化だと思いました。Unityというテーマに対して、radiko Adという広告商品は、その成長に具体的にどのように通じていくでしょうか? 
Unityには、我々radikoと放送局が一緒に盛り上がり、radikoの成長が、全国のラジオ局の成長なつながることを実現したいという想いをこめています。
radikoが、データを活用した広告商品となった結果、radikoに集う、熱量の高い全国のリスナーに対してターゲティングができ、広告配信ができ、結果的に広告主のきめ細かなソリューションにつなげていける、そんな広告商品であることをもっと知っていただけたらと考えています。

実際、マーケティングリテラシーの高い広告主、デジタル広告を中心に出稿する企業がその延長で、radikoにご出稿いただくケースが増えているので、このムーブメントをもっと盛り上げていけたらいいですね。

千代反田
博報堂でも、ラジオCMを活用いただいている広告主が、地上波ラジオ+radikoと音声CMのインクリメンタルリーチ視点や、DSPでの他のデジタルメディアとのクロス出稿の可視化、そして生活者のモーメントに様々なシーンで入ることができる音声メディアの特徴を活かしたプランニングがすごく増えた1年でした。radikoの広告売上が前年比225%というのは驚異的な成長だと思いますが、背景にはどのような取り組みがありますか。
成長要因の一つにデジタル音声市場の拡大があります。
音楽ストリーミングサービスSpotifyやポッドキャストの番組増の影響も大きく、市場が拡大し始めているのを実感しています。radiko Adの精度の高い位置情報によるターゲティングは、ユニークネスですし、今後も強い武器になるはずです。また、radikoとラジオ局が連携体制を組むことで、勉強会を行ったり、新たに商品開発していく動きも進んでいます。いずれにしても、radikoで夏の甲子園 全48試合を完全無料・完全配信としてABCラジオとradikoで価値提供できた「オーディオ高校野球」のような好事例をもっと生み出し、マネタイズ拡大や機会創出の動きをつくることが理想的です。
千代反田
確かに、地上波ラジオの大人気で良質なラジオコンテンツがradikoというプラットフォームで拡散する、リーチが拡大する、そして生活者(リスナー)にラジオ番組のネタが話題になるなど、生活者価値デザインをradikoで形づくるという証左になりました。

今後、radikoのMAU拡大に向けてどういう仕掛けを考えているか、展望をお聞かせください。

池田
MAU拡大のためには、まずは放送局に大人気コンテンツを生み出していただきたいと考えています。そして、ラジオ放送の災害インフラとしての役割を鑑み、radikoアプリをスマホにデフォルトでインストールしていくような動きも重要です。radikoの番組の多くの認知経路は、番組出演者や関係者のSNS経由です。すべての放送局にシェアradikoという機能をつけて、感想などのSNS拡散を図ることで、大きなうねりを生むことができるのではないかとも考えています。また、たとえば人気アーティストが5つの番組に出る際、その5つの番組情報がradiko内でリスト化されていると、遷移してもらえるタイミングも増えるはずです。そういったメタデータの拡充にも取り組んでいきたいです。radikoを通して番組イベントのチケットやグッズ購入ができるなどの機能を増やしていくことも、MAU増加につながる可能性があると思います。
千代反田
ありがとうございます。最後にお2人からメッセージをお願いします。
池田
radikoは民放99局、NHKのライブ放送を、権利をクリアした形で配信できているという、世界でも珍しいプラットフォームの形態です。さらに位置情報を使って広告配信できる優位性もある。radikoの提案をぜひ一緒に仕掛けさせていただきたいと思っております。
radikoを成長させ、ラジオ業界、音声コンテンツ業界を発展させていく。そのためには音声広告の価値のさらなるアップデートと新商品開発、また新しいテーマの発信が必要です。皆様の力をお借りし、ぜひ、共に仕掛けていけたら幸いです。
千代反田
今日は我々にとっても非常に解像度が深まるお話をいただけました。
博報堂としては、地上波ラジオとradikoとの連動で、もともとラジオ番組やポッドキャスト番組の根本的な強みである「リスナー=生活者、とのエンゲージが強い」、そのユニークさで益々、多くの事例ができており、音声デジタル広告市場において最も注力すべきメディアのひとつだという想いで日々向き合っています。今後も博報堂の生活者(リスナー)価値デザイン力の強みを活かし、多くの企業に便益となる事例を作っていければと思っております。
ありがとうございました!
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  • 池田 卓生
    池田 卓生
    株式会社radiko 代表取締役社長
    1969年生まれ。番組制作会社を経て、2001年にTBSラジオ&コミュニケーションズ(現TBSラジオ)入社。ディレクター、プロデューサーとしてさまざまな番組の制作に関わる。編成部部次長、制作部部次長、営業推進部長等を経て、2022年からTBSラジオ執行役員として経営企画局長、営業局長を歴任。2025年6月19日から現職。
  • 嶋 裕司
    嶋 裕司
    株式会社radiko 取締役
    1971年生まれ。2001年に株式会社エフエム東京へ入社し、営業局にて、営業部、営業推進部での経験を経て、執行役員デジタル戦略局長に就任。2025年6月、現職の株式会社raidko取締役に就任。
  • 博報堂 テレビラジオビジネス局
    ラジオ、streamingRadio・streamingMusic・Podcast担当。
    広告主・クリエイター・生活者のマーケットプレイス、
    ファンコミュニティを軸にした市場作りに従事。