ヒット習慣予報 vol.398『カジュアル開運』
こんにちは。ヒット習慣メーカーズの中林です。
だいぶ遅ればせながらですが……あけましておめでとうございます。
皆さんは今年のお正月、初詣には行きましたか?
我が家は年越しで氏神様、三が日のどこかで箱根神社に参拝、という流れが恒例なので、今年も家でごろ寝したい欲をなんとかこらえて、詣でました。
おみくじを引いて大吉。いい一年になりそう!なんて思っていた矢先、旅行中に携帯電話を紛失。
そんなこんなで開運への意気込みが高まっていた年始、自分以外にも「開運」へのモチベーションが高まっている人々、出来事をいくつか発見しました。今回はご紹介するとともに、その共通点を探ってみたいと思います。
ひとつ目にご紹介するのは「スピ活」。
神社仏閣への参拝といえば、「家内安全」や「商売繁盛」など自分の身の回りに関する内容が主流ですよね。けれども近年、推し活を楽しむ人たちの間で、「推しにまつわる開運」を目的とした神社仏閣への参拝を行う人が増えているのです。
ライブの当選祈願や、会場の最前列を引き当てる「神席」祈願のために参拝をしたり、推し活での遠征時には地元の神社を訪れて、ライブの成功を祈願するのがルーティンになっている人も多いのだとか。自らの幸せだけではなく、推しの幸せのために開運を求める姿に、推しを持たない私は感銘を受けました⋯。
SNSでも「#当選祈願」のタグとともに、推しのアクリルスタンドと絵馬やおみくじなどを並べて撮影する投稿が盛り上がりを見せ、検索数も少しずつ上昇している様子が伺えます。
▼「当選祈願」の検索数推移

出典:Googleトレンド
ふたつ目は「AI占い」です。
先週、仕事終わり近所のスナックに寄ったときのこと。扉を開くと、カウンターのお客さんたちが、自分の手のひらの写真を撮っていました。不思議に思って理由を聞くと、AIに手相占いをしてもらっているのだとか。やったことないの~!?驚かれてしまいました。
最近は、占い館に足を運ぶのではなく、AIやスマホアプリを使って楽しむカジュアルな運勢占いが人気なのだそう。AIによる「データ分析」というドライで客観的な要素が加わったことが、これまで馴染みのなかった人にまで間口が広がってきた理由なのかもしれませんね。
朝のニュースの占いコーナーを見るような手軽さで、AIに自分の背中を少しだけ押してもらう。そんな楽しみ方がもっと広がっていきそうな予感です。

最後は、「エンタメ系開運グッズ」です。
近年、お守りや御朱印帳が、ファッションアイテムやアートのように進化を遂げています。繊細な刺繍が施されたレースのお守りや、切り絵細工のような御朱印帳など、デザイン性の高いアイテムが続々と登場しており、これらの開運グッズを「持っているだけで気分が上がる」という理由で、アクセサリー感覚で持ち歩く人が増えています。
また、手指の消毒だけでなく心身を清めることのできるアイテムとして、おすすめのお清めスプレーなどお清めグッズをSNSで紹介する人も。ご利益を得るための存在から、自己表現やSNSでのシェアを楽しむ体験型アイテムへと、時代とともにアップデートされているのかもしれませんね。
▼「お守り」の検索数推移

出典:Googleトレンド
では、なぜこのように、日常の中で開運を求める人が増えているのでしょうか?
まず考えられるのは、心理的な安定剤としての役割です。
自分に対しても、世の中に対しても不安が多い現代社会では、他人に頼るよりも、神様という偉大な存在に身を委ねたい、という意識が芽生えてきたのかもしれません。
可愛いお守りや、お手軽なAIの開運アドバイスは、心を整えるサプリメントのような存在になっていると考えられます。
また、デジタルネイティブ世代特有の「重さの回避」も影響していそうです。伝統的な儀式や堅苦しい作法を重いと感じる一方で、それをファッションやエンタメとして解釈し直すことで、自分たちの文化として取り込み、楽しんでいるのではないでしょうか。
最後に、「カジュアル開運」について、新たなビジネスチャンスを考えてみました。
「カジュアル開運」のビジネスチャンスの例
■ AIによる分析で、今のあなたに最適な開運ルートを提案する散策アプリ。
■ 星座ごとにラッキー食材を用いた日替わり定食を食べられる運勢カフェ。
■ 好きな香りと浄化の効能を組み合わせて作る、お清めスプレー工房。
スナックから帰宅した夜、早速AIに手相を占ってもらうと、ものの数秒で分析が完了。「天下取りの手相(ますかけ線)の兆しあり!」とのこと。やっぱり、今年は全部うまくいくんだ~!と、非常に安らかな気持ちで眠りについたのでした。なんて単純。
神様に頼るという意味では伝統的な礼儀やお作法も大切ですが、こんなふうに、確証はなくても、明日をちょっと良くしてくれるカジュアルな開運に頼ることもまた、大切なのかも、と思ったり。忙しい現代をご機嫌に生き抜くための技なのかもしれませんね。
今年もどうぞ、よろしくお願いいたします!
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
この記事はいかがでしたか?
-
博報堂 クリエイティブ局
ヒット習慣メーカーズ メンバー2021年博報堂に入社。一人前のコピーライターをめざして毎日修行中。毛量が増えたので犬用の梳き鋏でカットしてみたら、髪の毛が四角形になってしまって困っています。


