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マーケティングを革新する!企業の挑戦―データ×生活者発想で新たな価値をつくる、メディアとコミュニケーション
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マーケティングを革新する!企業の挑戦―データ×生活者発想で新たな価値をつくる、メディアとコミュニケーション

効果検証のカルチャーを根付かせるデータドリブンなプロモーションの未来

テレビをはじめとするマスメディア、さらにデジタルからオフラインの店頭での行動までがデータでつながるようになった時代。メディア投資戦略にイノベーションを起こすような新たな取り組みが始まっています。本連載では企業側、メディア側、広告会社側それぞれの領域で新たな取り組みを始める方たちに取材。これからのマーケティング、マーケティング・コミュニケーションの方向性を探っていきます。今回は、放送局の課題解決に取り組む博報堂の「TV AaaS Lab」とTBSテレビの取り組みについて聞きました。

※本記事はAdverTimes.より転載しています。
 元記事:https://www.advertimes.com/20251001/article515077/

PDCAスキームを構築 進化するテレビ局の“番宣”

━━遠西さんはTBSテレビのプロモーション部でデジタル活用を推進しているそうですね。

遠西
TBSテレビのプロモーション部は、プロモーションのプランニングから実行までを担当する部門です。現在、デジタル広告にとどまらないデータの活用を強化しており、その中でプロモーションのPDCAサイクルを確立させることに注力しています。施策を実施して終わりではなく、本当に番組視聴につながったのかを検証し、プランニングの精度を向上させていこうと考えています。
安田
「TV AaaS Lab」では、テレビの価値向上を目指し、AaaS※を活用したコンテンツ分析や放送局のマーケティング支援など、さまざまなお取り組みをさせていただいています。遠西さんのプロモーションにおける挑戦は、まさにテレビの可能性を広げる取り組みだと思っており、私たちもその挑戦にご一緒させていただいています。

━━かつての番宣は自社メディア枠や新聞、OOHなどを使うケースが多かったと思います。昨今、デジタルだとどのような手段を使っていますか。

遠西
地上波TVスポットでの番組宣伝は引き続き行っていますが、SNSプラットフォームはほぼ網羅しています。そのほか、広告では各プラットフォームへの配信に加え、OOHやイベントを起点としてデジタルに波及させるなど、あらゆる形でデジタルを活用しています。

━━「TV AaaS Lab」との取り組みについてお聞かせください。

遠西
デジタルプロモーションにおいては、広告配信の結果、視聴まで繋がったのかを把握し、効率的かつ効果的な広告手法やプラットフォーム選定をしていくことが課題です。ただ、まずはプロモーションの効果検証をする社内文化をつくりたいと考えていました。そこで「TV AaaS Lab」との取り組みをスタートさせ、モニタリングダッシュボードを用いて、30番組以上のアカウント実績を一元管理するように。これにより、媒体ごとの広告配信実績や、公式アカウントの投稿への表示回数やいいね数などの各指標を確認できるようになり、施策の振り返りがスムーズになりました。次に、「Tele-Digi AaaS」を活用し、デジタル広告が地上波の視聴に繋がったかどうかの検証も行いました。
國吉
今回の取り組みでは「日曜劇場」の過去12番組について、各番組の視聴率とTVer再生回数の2つのKPIに対し、地上波スポット等テレビでの番宣施策と、InstagramやX、TikTok、YouTubeなど、各デジタルメディアにおける番宣施策がそれぞれどの程度KPIに寄与したのか貢献度を算出しました【図】。

【図】「Tele-Digi AaaS」を用いたKPIへの貢献度の可視化

「Tele-Digi AaaS」では、テレデジの過去出稿実績とKPIの時系列データを活用し、KPIに対する各メディアの貢献量を明らかにできる。今回のTBSテレビとの取り組みでは、視聴率とTVer再生回数の2つをKPIとし、それぞれにおいて、番組宣伝による効果を分析した。 

「Tele-Digi AaaS」は、AaaSが保有する各メディアの広告効果ノーム値やKPIに関する長期的なトレンド、さらには季節性なども加味したモデリングができるので、精緻な分析が可能です。結果として、テレデジを横断してどのメディアがリアルタイムの視聴に効果的に作用したのか、ある程度明らかにできたと考えています。これはメディアの選定や投資配分の実現にも繋がります。

━━今後はどのような展開を期待されていますか。

遠西
番組特性によって変わるものの、例えば「日曜劇場」のようなドラマの場合において、特定のメディアの広告効果が高いといったナレッジを得られたことは非常に有意義でした。今後はメディアごとの掘り下げや、別のジャンルでも同様に試していき、事例を積み上げていきたいです。

また個人的には番組視聴のきっかけとなる構成要素を分解することで、視聴率に繋がる指標を見つけ、その指標を最大化する最適なプランニングや分析方法も探っていければと考えています。ただ、コンテンツ面で言えば、視聴者の方々に、“広告”ではなく面白いコンテンツと感じてもらいたい。私たちはエンタテインメントの会社なので、プロモーションにおいても効率だけでなく面白さにこだわっていけると良いなと考えています。

安田
今回「TV AaaS Lab」としてはじめて、最適な投資配分の実現に向けたモニタリングから効果検証まで一気通貫した取り組みをさせていただきました。遠西さんがおっしゃるような視聴率に繋がる指標を見つけるべく、今後も「TV AaaS Lab」として多様なご協力ができればと思います。

━━テレビの未来についての展望をお聞かせください。

遠西
テレビ局がつくるコンテンツは、多くの人に愛されている実感があります。

例えば、私が担当したアニメ作品ではリアルイベントで多くの人に参加いただき、SNSでの反響と共に、コンテンツが人を楽しませる力の強さを肌で感じました。当社には熱量を持って番組づくりをしている人がたくさんいます。そうした人たちを、サポートしていければと思っています。

國吉
SNSなどの登場でテレビ中心のメディア消費行動が今や大きく変化をしています。

それでも私はテレビに「生活者の心を動かす起点」であり続けてほしいと思っています。

今後もAaaSを用いて放送局の皆さんの課題を解決し、テレビの未来をより良いものにしていきたいと考えています。

※広告業界で長らく続いてきた「広告枠の取引」によるビジネス(いわゆる「予約型」)から「広告効果の最大化」によるビジネス(いわゆる「運用型」)への転換を見据えた、博報堂が提唱する広告メディアビジネスのデジタルトランスフォーメーションを果たす次世代型モデル<AaaS®は博報堂の登録商標>

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  • 遠西 高幸氏
    遠西 高幸氏
    TBSテレビ
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