
ヒット習慣予報 vol.357『ネオ花粉ライフ』
こんにちは。ヒット習慣メーカーズの平石です。
春ですね。暖かくて大好きなシーズンなのですが花粉症がひどい私は日々苦しんでいます。同じように苦労されている方も多いのではないでしょうか。
毎年のように“今年の花粉は飛散量が多い、対策が必要”とニュースを目にしている気がします。ただ実は花粉飛散量には多い年とやや控えめな年が交互に来る傾向があるようです。Googleトレンドで「花粉 ひどい」と調べるとその傾向が見えており、今年は飛散が多い年であること、そして花粉のひどさが春に大きな関心を集めるトレンドになっていて悩んでいる人が多いことがわかります。
「花粉 ひどい」の検索数推移
出展:Googleトレンド
こうした中で、花粉対策の仕方が従来の薬や治療、マスク着用だけでなく、新たな花粉対策習慣が広まってきています。その習慣を「ネオ花粉ライフ」と名付けて紹介していきます。
最初に紹介するのは「スタイリッシュにネオ花粉ライフ」です。
これは花粉シーズンでも身だしなみがきちんと見えるような工夫をしていく習慣です。
元々花粉で目がかゆくなる人のなかで、花粉が目に入りにくい立体型のメガネをつけて対策する人が一定数いました。最近では、花粉対策メガネの下の方にうっすらとチークを塗ったようなカラーリングがついていて見た目的にもかわいらしく、すっぴんに見えないおしゃれなデザインのものが増えています。また男性用の花粉対策メガネでも豊富なカラーリングやカラーレンズを取り入れたものが出てきています。こうしたオシャレな花粉対策メガネを取り入れることで、顔に付着した花粉をマメに拭き取れるうえに身だしなみもきちんとしているように見えるそうです。
また、花粉の時期に1日に数回ふき取り・クレンジングをしても簡単に直せるメイク手法なども特集されるようになってきました。
身だしなみの面で創意工夫して、花粉の時期を少しでも快適に過ごせる工夫をする人が増えているといえるでしょう。
個人的にもオシャレな花粉対策メガネを昨年から愛用しており、違和感があるどころかデザインを褒められることも多いので、花粉の時期以外にも着用するようになりました。
続いて紹介するのは「腸からネオ花粉ライフ」です。
腸活がブームになって久しいですが、花粉ライフにおいても腸活は非常に重要なようです。
花粉と腸活がどうつながるのかピンとこないかもしれませんが、一説によると、腸内環境を整えることが、花粉アレルギー症状の緩和につながる可能性があるといわれています。
具体的な活動としては、花粉症緩和をうたった乳酸菌入りサプリメントが多く発売されるようになり、春には毎日摂取する人が増えているようです。「花粉症緩和ランチ」を出す飲食店も出てきています。キノコや海藻類、ヨーグルトなどがセットになっており、春の腸内環境を整えるニーズに応えているのでしょう。
また最近は、腸に良いとされる乳酸菌やその活動を高める成分の摂り方も幅が広がっているようです。ごはんだけでなくおやつでも腸活を意識する人も多くいるようです。
私は家族全員が花粉症なのですが、私個人としては、毎朝ヨーグルトを食べて意識的に腸内を整えることで、花粉症の症状が少し緩和してきた実感をもっています。
最後に紹介するのは「ハイテクでネオ花粉ライフ」です。
花粉症罹患者にとって、春のオフィスでの花粉対策は非常に重要です。くしゃみをしていると周囲の目が気になりますし、かゆみがあると集中力が下がってしまいます。
そうしたニーズに応えるパーソナル空気清浄機がよく売れているそうです。
小型のデスクに置くタイプや首からかけるタイプがあり、小さくても顔の近くに置くことで花粉アレルギー症状が緩和されるそうです。
また、鼻に直接入れても呼吸が苦しくなりにくいハイテクな鼻マスクまで登場しています。通常のマスクに加えて鼻マスクをすることで、私の友人は大幅に仕事の集中力が高まったと感謝していました。
ではなぜ今このような「ネオ花粉ライフ」が広まってきているのでしょうか。
大きく2点の要因があると考えています。
1つは、長期的な花粉飛散量の増加トレンドです。
花粉症の代表的な原因であるスギは樹齢が30年を超えると花粉生成力が高まると言われています。日本では戦後全国の山林でスギが植林されたものの、海外から安価な木材が輸入されるようになり放置されているスギが増えています。結果的に、スギ花粉飛散は長期トレンドで見ると右肩上がりになっており、花粉症罹患者も今や国民病と呼べるほどに増加しています。したがって“花粉に悩む春”が社会問題になっていて、快適にすこしでも症状を緩和する、花粉と共存していく過ごし方の注目が高まっているのです。
2つ目は、リモートワーク文化の落ち着きです。
コロナ禍を経て、日本でもリモートワークをする会社が増えましたが、最近ではリモートワークに限定すること無く柔軟な出社を求める会社が多いようです。
春は年度が替わる時期で仕事が忙しい方も多く、出社がもとめられがちなため、結果的にどう職場でも花粉に向き合ってなるべく快適に、見た目を損なうことなく過ごすかが重要になっているように感じます。
今後も花粉飛散量は増えていくと予想されているため、ネオ花粉ライフはますます浸透していくことになるのではないでしょうか。
最後に「ネオ花粉ライフ」習慣を活かしたビジネスチャンスを考えてみました。
「ネオ花粉ライフ」のビジネスチャンスの例
■花粉飛散の時期に長期で海外旅行を促す「花粉逃避ツアー」
■自分に合った花粉対策や花粉症薬を教えてくれる「パーソナル花粉対策アプリ」
■花粉の付着を防ぎ、付着した花粉もよく落とす「花粉シーズン用洗剤」
など
すこしでも花粉飛散が減る未来になることを切に願っています。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
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関西支社第二ビジネスデザイン局第二プラニングチーム
ヒット習慣メーカーズ メンバー2020年博報堂中途入社。前職から継続してストラテジックプラナーとして働く自称「関西支社の元気印」。4つ下の弟・9つ下の妹がおり、家族揃ってカープファン&花粉症罹患者。