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ヒット習慣予報 vol.279『大人のごっこ遊び』
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ヒット習慣予報 vol.279『大人のごっこ遊び』

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの上利です。

突然ですが、子供の頃「ごっこ遊び」は好きでしたか?
私自身は「家族ごっこ」「お医者さんごっこ」「海賊ごっこ」を延々繰り返す幼少期を過ごし、そのごっこ遊び熱が冷めないまま学生時代は演劇に打ち込みました。

今回は、『大人のごっこ遊び』を取り上げます。
「ごっこ遊び」とは、何かになったつもりになって、対象の「ふり」や「まね」をすることを指します。多くの人が幼少期の遊びの一つとして経験する行為ですが、この「普段の自分とは異なる何かになりきる」という体験が、近年のレジャートレンドに現れているのです。

例えば、廃校ホテルです。
廃校になった小学校などを宿泊施設としてリノベーションした「廃校ホテル」が、全国各地で誕生しています。
宿泊施設として快適に整備されている一方で、教室や音楽室、給食室などはそのままの姿で残されており、「学校に泊まる」「夜中の学校で遊ぶ」という誰しも一度は夢見るシチュエーションが叶います。
教室の椅子に友達と並んで座ったり、音楽室でピアノを弾いたり、他では味わえないような懐かしい気持ちになれるのではないでしょうか。SNS上では、制服や給食当番の割烹着を持参して写真を撮る人の姿も見られ、ノスタルジックな「学生ごっこ」を楽しんでいる様子が伺えます。

2つ目に紹介するのは、初心者でも楽しめる社交ダンスイベントです。
カップルや友達同士などペアで参加し社交ダンスのレクチャーを受けながら踊るというイベント内容で、食事と飲み物も提供され、さながら本物の舞踏会のようです。
着飾って豪華な会場へ行くだけでもまず非日常的ですが、音楽に合わせて「舞踏会で踊る」という映画でしか見たことのないような体験は、心躍る一夜となること間違いなしでしょう。
映画の主人公気分を味わえる、「舞踏会ごっこ」の事例でした。

最後に紹介するのは、日替わりスナックオーナーです。
1日限りでもOK、日替わりオーナーによって営まれているスナックがひそかにブームとなっています。
提供する飲食物の用意から全て、その日のオーナーが自由に店を運営することになっており、自分のおすすめのお酒を広めたいといった動機で挑戦する人もいるそうです。友人をお客さんとして集めてもよし、通りすがりの一見さんを集客するもよし、自分の好きなスタイルでスナックを営むことが出来ます。
仕入れやお品書き作りといった準備段階からお店で接客に立つ当日まで、本格的すぎる「スナックオーナー」ごっこが楽しめる事例でした。

では、なぜ「大人のごっこ遊び」が増えつつあるのでしょうか?
理由は大きく2つあると考えられます。
1つ目は、SNSやアバターの普及により、一人が色々な自分を持つ「分人化」が一般化したことです。調査によると、SNSで複数のアカウントを持つ人は15歳~50代のすべての世代で半数を超えています。

出典:博報堂DYホールディングス・博報堂・博報堂DYメディアパートナーズ「コンテンツファン消費行動調査2022」

複数の人格を時と場合によって切り替え、乗りこなすことで、他の人格が背負っている役割・期待をある種脱ぎ捨てられるような感覚があるのかもしれません。そうした感覚が、「大人のごっこ遊び」にも共通していると考えられます。

2つ目は、動画SNSの普及により体験の詳細までシェアが可能になったことです。
動画SNSは体験をまるごとわかりやすく伝えることができるため、オフラインイベントとの相性が良く、SNSでの投稿がきっかけで人が殺到するような現象も近年よく起きています。非日常的な体験はSNS上で魅力的に映りやすい上、いつもと違う装いの自分をSNSに載せられることはユーザーにとってもモチベーションになります。

最後に、「大人のごっこ遊び」のビジネスチャンスとしては下記のようなことが考えられるのではないでしょうか?

「大人のごっこ遊び」のビジネスチャンスの例
■「お花屋さんごっこ」など、憧れだった職業を体験できる大人向けレッスン
■「平安時代ごっこ」など、昔の人の暮らしを体験できるイベント
■「田舎暮らしごっこ」自給自足生活を体験できる宿泊施設


ぜひ皆様も、大人のごっこ遊びでいつもと違う自分になりきってみてはいかがでしょうか?

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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  • 博報堂 第一ブランドトランスフォーメーションマーケティング局
    ヒット習慣メーカーズ メンバー
    2022年 博報堂に入社。
    ミュージカルとKPOPのオタク。2023年は念願叶ってNYミュージカル遠征、KPOP韓国ライブ遠征と盛り沢山の上半期を過ごしました。