ヒット習慣予報 vol.225『もっと!涼感JUNE』
こんにちは。ヒット習慣メーカーズの鈴木です。
連日信じられないような暑さが続いていますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?今年は関東が6月27日に梅雨明けを発表。これは関東甲信では記録上最も早い梅雨明けだそうです。この暑さの中、周りを見ると小さな扇風機を持ち歩く人や、男女共に日傘を持ち歩く人が増えて初夏の景色が大きく変わってきた印象があります。
2年前私は「涼感JUNE」というタイトルで6月から扇風機を出す家庭が増えたことや、6月から素麺を食べる人が増えた等、昔よりも暑くなるタイミングが早まることで本来夏本番になってから起きる行動が前倒しされていることに注目したコラムを書きました。
あれから2年。酷暑がさらに進むことでさらにこのような習慣が加速していますので、今日は続編ということで「もっと!涼感JUNE」というタイトルで書いてみます。
まず今年は「歴史上最も早い梅雨明け」「記録的猛暑の夏となるだろう」等と語られますが、人々の意識はどうなっているのでしょうか?生活者の皆さんの端的な思いであろう「暑い」で検索をかけてみると今年の夏は過去5年間でトップクラスの反応を見せていました(一部グラフが点線なのは最新のデータが部分的なためです)。ちなみに同レベルで高い2018年は「2018年の猛暑」とも呼ばれ、東日本の平均気温が平年を1.7度上回り1946年の統計開始以来最も高い平均気温を記録した年です。下記のグラフは7月3日に検索したものですので、2022年は7月頭の時点で既に「2018年の猛暑」と同じくらいみなさんが「暑い」と感じているということになります。
<「暑い」検索推移>
そんな圧倒的に暑い夏の対策として、6月の時点から様々な「もっと!涼感JUNE」が話題となっています。
まずは「着る暑さ対策」。暑い時に日傘をさしたり、暑さを感じた時に冷却シートを貼る等は数年前から行われていましたが、もはや暑く感じた時の対処だけでは間に合わず常に涼を取るために暑さ対策グッズを身につける、「着る暑さ対策」が習慣化の兆しを見せています。例えばネッククーラーリング。最新技術で冷蔵庫や冷凍庫に入れずとも28°以下の環境で自然と凍結し、結露もしないので服を濡らさずに首にかけることで体温を冷やしてくれるグッズです。様々な色やデザインのものが出ており、夏の定番ファッションアイテムになる日も近いかもしれません。
続いては「なんでもファン」。ややアナログではありますが、少しでも暑さを和らげようとあらゆる場所にファンを取り付けた商品が人気です。まずはファンを取り付けた洋服。アウトドアやレジャー。また熱がこもる作業場での作業を楽にすることを目的にファン付きの洋服が人気を集めています。他にも掛け布団の中にファンが入っていて、風を送り込むことで蒸れずに快適に眠ることができるファン付きの布団。日傘の中にファンを内蔵して日差しから守りつつ内側はファンで涼しく過ごすことのできるファン付き日傘も注目されています。そしてコロナ禍ならではなのはファン付きマスク。マスク内の息苦しさや蒸れを解消してくれます。これは豆知識ですが、鼻と脳は距離が近く鼻呼吸をすることで脳の温度を調節することができるそう。ファン付きのマスクで涼しい空気を鼻から取り込むことは熱中症対策にも効果がありそうです。
夏バテの危険があり涼を求めるのは人間だけではありません。ヒット習慣予報 vol.221『ペットのセレブ化』ではペットを対象としたサービスの充実を取り上げましたがこの暑さがこたえるのはペットも同じ。そこでペットの涼を確保するため、冷やしドッグフードや冷暖房付きのペットハウス等も注目を集めています。さらにさきほどご紹介したネッククーラーリングも犬用のものが出ていて、「もっと!涼感JUNE」の習慣はペットにも根付きつつあります。
以上「もっと!涼感JUNE」を見てきましたが、今年の夏は暑さ以外にも長らく続く感染症問題。物価高騰問題。電力供給不足問題等問題が山積しています。そんな中、少なくともこの暑さを可能な限り快適に安心に過ごしたいという生活者の気持ちも手伝い、6月の段階から積極的に涼を追い求める「もっと!涼感JUNE」にまつわる新たなビジネスチャンスが生まれる可能性があります。
「もっと!涼感JUNE」のビジネスチャンスの例
■旅行会社が「6月の夏休み旅行」を販売して夏休み前の夏休み旅行を習慣化する。
■SDGSの取り組みの一環として企業が6月からサンダル通勤を認める。
■必ず持ち歩くスマホのケースにファンを付けた「スマホファンケース」の販売。
個人的には暑い季節が大好きなので家族に呆れられながらもこの猛暑の中敢えてずっとサボっていたランニングを再開しました。きっと11月頃になれば暑い時期が恋しくなるはずですのでこの暑さをめいっぱい楽しみたいと思います。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
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生活者エクスペリエンスクリエイティブ局
ヒット習慣メーカーズ メンバー2007年 博報堂に入社。
ヒット商品やヒット習慣には飛びつかずにはいられない、ドミーハー。好きが高じて、ヒット商品やヒット習慣を生みだせると良いなと思い日々奮闘中。休日は家でアイドルのDVDを見るのが好き(主にジャニーズ)。