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ヒット習慣予報 vol.177『推しP』
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ヒット習慣予報 vol.177『推しP』

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの植月です。
あっという間に2021年も残り半分となりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
私は仕事も毎日リモートワークで半年間ほぼ家にいたと言っても過言ではないくらい外に出ていないのですが、推しているアイドルの動画を見続けることでとても充実した時間を過ごしてきました。
今回のテーマは、そんな推し活の発展についてです。題して、「推しP」。既に自分の好きなアイドルやキャラクターなどを応援する“推し活”というワードや行動は世の中に広く浸透しています。ステイホームが始まってから推しができたという人もおよそ4人に1人います。

出典:株式会社クロス・マーケティング 「推し」に関する調査

“推す”という習慣自体は1990年代頃から存在していたものの、最近はその内容が進化しているように感じます。“自分や周囲で楽しむ”ということにとどまらず、“推しのよさを直接面識のない人にも広める”というプロデューサー(P)のような推し活も増えてきました。

具体的には、【SNSでのライブ動画配信におけるWelcomeアシスト】があります。
ライブ配信はもともと、配信側(アーティスト等)と視聴者側(ファン)で明確に分かれているものでした。しかし、最近では配信開始から視聴していたファンが途中から入ってきたファンに対し、“ようこそ~!”とコメントしたり、今何の話をしているのかが分かるように経緯をコメント欄にて説明したりして、運営事務局のような働きをする人も出てきました。

また、他にも特に韓国アイドルグループを推している人の間で流行っているものとして、【ソンムル企画】というものがあります。
“ソンムル”とは韓国語で贈り物を意味するのですが、その名の通り、同じ人を推しているファン同士でSNSを通じて、推しのグッズやCDなどを自費でプレゼントする企画がよく行われています。あるファンが、ソンムル企画の投稿のシェアなどの一定の条件を満たした人の中から抽選を行い、当たった人に実際にプレゼントを贈り、推しの魅力を体験する機会を増やすというものです。

さらに大規模なものとしては、【誕生日イベント】が挙げられます。
数年前からファンが電車等の広告枠を買って推しの広告を出すという事例も少しずつ増えていますが、その誕生日広告や周年記念広告の一種として、カフェやホテルと協賛してイベントを開催するファンもいます。内装をすべて推し一色にプロデュースし、ファンが誰でも自由に入れる場所として開放します。実際にそのイベントがアーティスト本人の耳に入ることも多くとても喜ばれるようです。

では、なぜ「推しP」が増えつつあるのでしょうか?
理由は大きく3つあると考えられます。
1つ目は、推しの生きがい化です。“推ししか勝たん”“推しが尊い”などの言葉にも表れているように、推しという存在が今の鬱屈とした世の中におけるココロの支えになっていたり、日々の生きる活力になっていたりすることがこのような積極的な推し活につながっているのかもしれません。
2つ目は、オーディション番組の増加です。こうした番組を通じて、まだ有名になる前の卵の段階から自分の推しを見つけてその成長を見守るというスタイルも広まったことでより推しを有名にしたいというファンの心理が強まったと考えられます。
3つ目は、推しとの双方向コミュニケーションです。最近では有名人でもファンとSNSで直接交流する人が増えている中で、自分が心から応援していることを推し本人に知ってもらえる可能性があるというのも大きなモチベーションになっているのかもしれません。

最後に、「推しP」のビジネスチャンスとしては下記のようなことが考えられるのではないでしょうか? 
 

「推しP」のビジネスチャンスの例
■事務局が間に入ることで、互いに住所を公開せずにファン同士で気軽に贈り物ができる「ソンムル企画専用SNS」をつくる。
■配信系アプリが、推しをアシストすることで獲得できる「ナイスアシストポイント」をつくり、ポイントで限定グッズがもらえる制度をつくる。
■推しイベントのコーディネートを提案してくれる「推しコーディネーター」という職種をつくる。

私は推しているアイドルはいるものの、まだ「推しP」の好意を拝受する側にいるので、今後もっと積極的に推し活をしていきたいと思います。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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  • 第一ブランドトランスフォーメーションマーケティング局
    ヒット習慣メーカーズ メンバー
    2017年 博報堂に入社。
    5年目のマーケターとして、社会の荒波に揉まれながら、新たな潮流をつくることを夢見て奮闘中。ASTROという韓国グループを推しています。ラキくん寄りの箱推しなので好きな方いたらぜひお話ししましょう!