ヒット習慣予報 vol.134 『おうち縁日』
こんにちは。ヒット習慣メーカーズの馬場です。
酷暑が続いていますね。日本だけのことかと思っていたら、アメリカのデスバレーでは過去最高の54.4度を観測したということで、ちょっと想像もできないほどの暑さです。私自身、コロナ対策とも合わさり日中に外出する気が起きず、休日も家にこもりきりということが多くなってきました。
今回は、そんな夏のおうち時間を楽しむ「おうち縁日」という新習慣の兆しについてご紹介します。その名の通り、家の中でお祭りの出店のように縁日ならではの遊びや食事を楽しむ習慣です。夏に入って広がりはじめた習慣ではありますが、今後もコロナの影響で外出自粛が続くとすると秋や年末年始などのお祭り気分が盛り上がるときの習慣になっていくのではないかと思います。
さて「おうち縁日」は、いつごろから盛りあがっている習慣なのでしょうか。Googleトレンドで直近3年ほどの「縁日」の検索数を見てみると、毎年8月に入ると検索数が増加するのは例年通りですが、今年は例年よりも検索数の伸びが大きくなっています。夏祭りなどが軒並み中止になるなかで、反動でせめてお祭り気分を味わいたい気持ちが高まっているようです。
ちなみに4月の頭に少し検索数が盛り上がっているのは、緊急事態宣言後に各地で縁日の営業自粛が報じられた影響のようです。中には巣鴨の縁日が自粛をしたというニュースも注目を集めており、縁日というと子供が好きなイメージがありましたが、存外幅広い世代から日々楽しまれているものだと言えるようです。
「おうち縁日」には、具体的にどのような形があるのでしょうか。まずは、焼きそばや焼きトウモロコシなど好みの縁日フードを用意するパターンです。机の後ろに、すだれを立て掛け、メニュー名を書いた立札と食事を並べれば、縁日感を演出できます。
縁日ならではの遊びをおうちならではの形で用意することもできます。ペットボトルで輪投げを楽しんだり、スーパーボウルすくいをお風呂に浮かせて楽しんだり、意外と簡単に縁日遊びを楽しむことができます。中には、子供を喜ばせるために、段ボールや新聞紙で、リビングに一日限定の迷路を作る親御さんもいるようです。
少しおうちから飛び出してしまいますが、最後に手持ちの花火を楽しむ方も多いようです。お祭りと合わせて花火大会も中止になる中で、手持ち花火の売れ行きが好調ですが、こうした「おうち縁日」需要も後押ししているのではないでしょうか。
また、ユーザー同士のコミュニケーションが可能なオンラインゲーム内で縁日を開催するというパターンもあります。デジタル上であれば、友だち同士でも楽しめるので、日取りを決めて、お互いの縁日を見せ合うのも楽しまれています。
「おうち縁日」が広がっている最大の理由は、ここまででも言及した夏祭りや花火大会の中止への反動で、おうちでできるお祭りが求められていることだと思いますが、根本的にはなかなか外出がしづらい中で、徐々にたまってきているストレスを解消する場をどうにか作り出そうという工夫ではないかと思います。そういった意味でも、お祭りシーズン以降も、続いていく可能性が高いのではないかと考えています。
また直接的な要因ではないですが、特化型家電が増えていることも「おうち縁日」の広がりに影響しているのではないでしょうか。具体的には、焼きそば専用のホットプレートや小型のポップコーンメーカーなど限定的な用途ながら、縁日さながらの味を簡単に作ることのできる家電が人気を博しています。
最後に、「おうち縁日」のビジネスチャンスについて考えてみました。
「おうち縁日」のビジネスチャンスの例
■ スーパーが焼きそばやフランクフルトを「おうち縁日」用に食品トレーを付けて商品を販売する。
■ スマホクレーンゲームならぬ、スマホ射的やスマホ輪投げアプリをリリースする。
■ 家庭や老人ホームなどで簡単におうち縁日ができるように、いくつかの機材をパッケージレンタルで提供する。
など。
コロナも暑さも気にせず、気軽に楽しむことのできる「おうち縁日」。私も夏が終わらないうちに実践して、お祭り気分を味わってみようと思います。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
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博報堂 マーケティングシステムコンサルティング局
ヒット習慣メーカーズ メンバー2016年 博報堂に入社。
入社以来、データ/デジタルマーケティングに従事。業務で培った知見を活かし、新たな習慣を生み出すべくヒット習慣メーカーズに参画。