「生活者DATA WORKS™️」の舞台裏 Vol.1 ──マーケティングソリューション開発を支えるエンジニア
博報堂DYホールディングスの「マーケティング・テクノロジー・センター(以下、MTC)」ではテクノロジー人材が、日々さまざまな基盤技術やサービスの研究・開発に取り組んでいます。博報堂DYグループの統合マーケティングソリューション群「生活者DATA WORKS™️」の土台となる「生活者DMP」のシステム基盤を支えるのも、MTCのエンジニアの主な役割のひとつです。
連載の第一回では、そのエンジニアの仕事をご紹介します。「総合広告会社におけるエンジニア」という仕事の内容や醍醐味とはどのようなものなのでしょうか。MTC開発2グループのマネージャーで、システム開発エンジニアでもある戸梶大陸に語ってもらいました。
広告会社にエンジニアがいることの意味
まず、MTCの役割についてお話します。博報堂DYグループのフィロソフィーである「生活者発想」に基づいて、生活者やクライアントに新しい価値を提供するためのサービスを開発すること。そしてその土台となる基盤技術を開発すること。大きくはその二つです。
具体的には、中長期的な視点で生活者やクライアントの課題やニーズを分析し、それらを解決するためのテーマ研究やサービス企画を行い、プロトタイプを構築しながら検証を進め、実際にユーザーが利用するサービスを構築する──。その一連の取り組みがMTCのミッションです。クライアントニーズからだけではなく、シーズ、つまり技術の種からサービスのアイデアが生まれるケースも少なくありません。
現在、在籍しているのは80人程度で、その半数近くがエンジニアやデータサイエンティストを中心としたテクノロジー人材です。中間入社も多く、私も2011年にシステム開発会社から転職してきました。システム領域のエンジニアで見ると、多いのはシステム系企業、専業広告会社、ITコンサルタント会社からの転職者ですが、中にはメーカーやゲーム会社から来た人もいます。この数年でメンバーが増えてはいますが、それでもまだまだ人材が足りないと感じています。
技術が進化を続ける中で、顧客接点が増加し、そこから得られるデータも爆発的に増えています。そのデータから生活者の行動をどう解釈し、生活者が心地よいと感じられるメッセージをいかに適切な場所に、いかに適切なタイミングで届けるか──。そのプロセスを具体的に実現するのがテクノロジー人材の役割です。そう考えれば、マーケティングをプランニングする総合広告会社にテクノロジー人材がいるのは当然のことと言っていいと思います。
もう一つ、クライアントに最新技術の活用をご提案するには、研究開発への取り組みが必要になります。それをスピーディに進めるためにも社内テクノロジー人材の存在は必要であると考えられます。
博報堂におけるエンジニアの仕事、その3つの特徴
私の専門領域はシステム開発で、生活者やクライアントのニーズをもとに生まれたアイデアや、技術研究の中から生まれた基盤技術を、実際に「動くモノ」にしてサービス化していく。それがシステム開発に携わるエンジニアの役割です。
もっとも、ひと言でシステム開発と言っても、プロトタイプを開発する段階と、博報堂DYグループのクライアントや、生活者に提供するサービスを構築する段階では、求められる要求内容や品質レベルが異なります。プロトタイプの段階では、いち早く検証フェーズにつなげることが必要なので、スピードが重視されます。一方、本格的にユーザーにサービスを提供するフェーズでは、システムの拡張性や安定性、堅牢なセキュリティなどが重視されます。
独自技術の研究開発、サービスの企画・検証フェーズでは、エンジニアリングを社内で行う方法が有効です。一方、よりダイナミックなサービス開発を目指す場合、例えば生活導線系メディアテクノロジー領域におけるオープンイノベーション型の開発や、AI領域における先端技術を保有する会社とのアライアンスなど、パートナーシップを併用して開発を進めるケースもあります。
そのなかで、MTCにおけるエンジニアの仕事の特徴は、大きく3つあると考えています。
1、 さまざまな業種のクライアント課題に接し、多種多様なデータを扱うことができる
2、 先端技術に常に触れられること
3、 生活者発想に基づく研究開発を行えること
まず1つめですが、システム開発を専業とする会社の場合、一般に一人のエンジニアが担当する業種は固定されていることが多く、担当となった業界や事業領域の業務知識を身につけることが求められます。一方、総合広告店業務を主要事業とする博報堂DYグループは、多様な業種のクライアントの課題解決に取り組んでおり、複数の業種や複数の業種・クライアントの課題解決を支援するためのサービス開発に携わることも可能です。それだけエンジニアとしての知見を広げていくことができるわけです。
2つめも、まさしくマーケティングビジネスを行う企業ならではの特徴だと思います。マーケティング領域の技術は進歩が速く、プロトタイピングや実証実験が行いやすい環境が整っているので、新しい試みに積極的にチャレンジしていくことができます。最新技術に触れられるだけでなく、それらを実際の業務に活用する機会に恵まれている。それが大きなメリットであると思います。
最近はクライアント側の技術レベルが非常に高く、ミーティングの際に専門的な技術の話題が出るケースが少なくありません。そこで「ちょっとわかりません」とか「持ち帰って検討します」ということになってしまっては、クライアントからの信用を損ねることになってしまいます。クライアントから技術に関わる話が出たら、「例えば、このような方法はどうでしょうか」とその場でアイデアを出したり、具体的な提案をしたりすることができれば、ビジネスのスピードも速くなると思います。
3つめの「生活者発想に基づく研究開発」については、博報堂DYグループが保有する「生活者DMP」は、同意のとれているモニタから収集された購買データ、テレビ視聴ログ、さらに検索データや調査データなどを統合した大規模なデータベースです。この膨大なデータを開発の資産として使えるということです。この巨大なデータベースを使って、生活者やクライアントのニーズに応えていくことが、MTCのエンジニアとしての腕の見せどころだと思っています。
あらゆるタイプのエンジニアに役割がある
今後は、解析技術やシステム技術を極めたいという方、テクノロジーをビジネスにつなげたい方。とにかく、多様な人材に集まってほしいと思います。あらゆるタイプのエンジニアに役割があり、居場所がある。それが博報堂DYグループのよさだと考えるからです。
MTCでは、多種多様なバックグラウンドを持たれた方々を通年で募集していますので、ご興味のある方は弊社のホームページよりコンタクトいただければと思います。
クライアントの課題は多岐にわたりますし、マーケティングの知識や経験が求められる領域はも今後はさらに拡大していくでしょう。それに伴って、エンジニアにも多様な個性が求められるようになるはずです。尖った人材がどんどん入ってきて、みんなが仕事を楽しみながら、それぞれの能力を発揮していける。そんな環境ができるのが理想ですね。
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博報堂DYホールディングス
マーケティング・テクノロジー・センター 開発2グループマネージャー2011年博報堂中途入社。前職では大手SI会社のシステムエンジニアとしてマーケティング関連のシステム開発を数多く経験。博報堂入社後は、博報堂DYホールディングスに出向し、同社のマーケティング・テクノロジー・センターにて、博報堂DYグループのデータ・デジタルマーケティング領域におけるシステム基盤の開発と導入支援に従事。Vision-Graphicsシリーズ、「生活者DMP」のシステム基盤、大規模ライフログ分析システムなどのシステム開発責任者として開発実績が多数ある。