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「ユーザーファースト」へ変化する採用市場 採用マーケティングの果たす役割とは
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「ユーザーファースト」へ変化する採用市場 採用マーケティングの果たす役割とは

SNSや多様なウェブメディアの台頭により、採用市場におけるコミュニケーションが変化してきています。スパイスボックスは、独自ツール「THINK」を活用するソーシャルリスニングを活かした企業の採用マーケティング支援を2018年から企業の人事様向けにサービスを展開しています。2019年8月には、トライブマーケティングを応用した、採用コミュニケーションの企画設計の実施事例も公開しました
近年の企業の採用広報活動の潮流と、それらに対応したサポート実績などについて、スパイスボックス採用コミュニケーション事業部の秋山真 事業部長 に話を聞きました。

 

──企業の採用広報活動の状況や潮流を教えて下さい。

秋山
2018年は学生を中心とした若年層が、採用情報の受け取り方や使用するデバイス、登録するメディアなどの部分で大きく変化しました。それに伴って採用マーケティングという新しいビジネスの領域が出来たので、我々はマーケティングのノウハウを使ったり、「THINK」という弊社独自のソーシャルリスニングプラットフォームを活用したりと、企業の採用マーケティングのサポートを始めました。
2019年は、メディア構造の変化や情報量の増加が更に激しくなっていると感じています。2018年から続いていることですが、採用広報活動では、特に“認知”の部分が大切になっています。これは社名だけではなく、どんな人が働いていて、どんなスキルを得ることが出来るのか、といったことを含めた認知です。
このような従来からある変化に加えて、2019年には新たなトピックスが大きく三つありました。一つは従来のナビサイト、合同説明会偏重型から、学生だけではなく多くの企業が離脱していることです。元々学生が合同説明会に足を運ばなくなっていた状況に加え、採用活動周りでのトラブルがニュースで報じられたことも影響しているかと思います。
説明会を開く場合でも、以前のように「大型施設に大量に学生を集める」といった形ではなく、例えば「ハイクラスの理系の学生50人を集めたイベントを6社協賛で開催する」といった形や、「特定の業種の営業職に興味のある学生だけを集める」といった形に変わっており、対象が細分化されています。オンラインについても、マス中心ではなく、SNSなどでのターゲティング広告を配信する傾向が強まってきています。ターゲットに特化したメディアもいくつか出てきているので、そこに注力して広告を出稿する、といった流れも加速しています。

──「特化したメディア」というのは具体的にどういったメディアなのでしょうか。

秋山
大きく分けて2つの視点があると感じています。まずは、業種・業界に特化したメディアです。例えば外資系企業に興味のある学生向けに海外企業の特徴やエントリー情報を多く盛り込んだメディアや、理系学生向けに専門性の高い情報を掲載したメディアなどが最近は多く見られるようになりました。また、もう一つの視点では自身の成長志向や新規ビジネス、起業といったフレーズに興味を持つ学生が顕在化するなかで、志向性にあわせて特化するメディアがあげられます。

──その他のトピックスはなんでしょうか。

秋山
二つ目は、日系の大企業を中心に「採用マーケティング課」など、採用マーケティングのミッションを背負う担当部署や担当者を置く動きが出てきたことです。これらは人事部や採用部内に置かれ、マーケティングの部署から異動して来た人が担当するケースもあります。
三つ目は早期アプローチです。以前は「3年生に対して早期にアプローチする」というのが普通でしたが、最近は1~2年生をターゲットにしたものも増えてきています。

──早期アプローチが増えてきたことには、新卒採用に関する法規制が影響しているのでしょうか。

秋山
そちらの影響よりも、企業が「ユーザーファースト」をより意識して変化しているからではないでしょうか。学生の実態としては採用時期などに関わらず、入学時から就職を念頭に入れた活動をする学生も多く、情報収集やアプローチは通年で行うようになってきています。「学生が早く動いているので、そこにアプローチしないと」というのが企業の考えで、なんとかしてタッチポイントを作れないかと試行錯誤している状況です。

トライブ起点で設計する新ソリューションで効果的なコミュニケーションを実施

──2019年8月にTHINKを使った新しいソリューションを発表されています。これについて教えてください。

秋山
先ほどもお伝えした、スパイスボックスの独自ツール「THINK」を活用して、企業の採用ターゲットに対してどのような人物やメディアがより大きく影響するのかを検討し、コミュニケーションへ効果的に活かしていくソリューションです。具体的には「THINK」を使って、企業の採用ターゲットとする学生がSNS上でどのようなアカウントをフォローしているかなどのエンゲージメントを分析します。抽出された傾向から、企業の採用コンセプトを理解して共感する人物やメディアなどを可視化し、コミュニケ-ションを設計するといった流れになります。

このソリューションを実際に活かし行ったのが、8月に大手家電メーカーが行った学生向けのイベントです。「THINK」を活用し、同社の採用ターゲットとなる学生に影響を与える人物・メディアなどを抽出。イベントを集客するメディアや開催する会場をはじめ、当日のゲスト登壇者、トークセッション内容までを、採用ターゲットのインサイトを刺激し、共感を生む内容にプランニングしました。クライアントは「ミッションドリブン」というテーマを掲げて採用活動をされています。イベントでは、まず社員の方がテーマについて話し、次にお呼びしたゲストの方に、ご自身の言葉で、テーマに沿った内容をお話いただきました。本イベントは、企業主催のイベントではありますが、いわゆる採用イベントという体裁ではなく、ゲストの方々が参加するセッションや、企業との対談を通して、企業の想いを知っていただくきっかけとして開催しており、ゲストの方が普段取り組まれていることや、発信されていることも親和性のある内容となっていることで、聴講する学生の方々に自然と企業について理解してもらい、エンゲージメントを高めるきっかけとなっています。

ゲストとなるTOL(※)を招いて、「ミッションドリブン」をテーマとしたトークイベントを開催

──どのような成果があったのでしょうか。

秋山
イベント開催を発表した際の反響もとても大きかったです。想定していた以上に多くの参加申込みがあり、早々に募集を締め切らせていただきました。イベントに来ていただいた方にはクライアント企業の公式LINEアカウントに登録していただき、継続的なコミュニケーションを出来るようにもなりました。参加された学生の方は3年生が中心ではありましたが、1~2年生も多く参加をいただきました。1~2年生の学生の方にも「ミッションドリブン」というメッセージを早い時期に伝えられたことや、継続的なコミュニケーションを図れるようになったことはとても大きいと感じています。

企業の知らなかった一面を知れる

──他にも事例があれば教えてください。

秋山
先ほどは、企業の思いや社風を知ってもらうきっかけとしてのイベント活用でしたが、これからお話するものは、企業名や業界内での認知が高い一方で、新規事業など認知獲得が難しい部分をフォローした採用コミュニケーション事例です。クライアントは大手百貨店グループですが、営業利益の75%が金融の事業で成り立っているという企業です。一番の課題は、その企業に対する世の中イメージは百貨店ですので、エントリーをする多くの学生は、百貨店業務を希望して応募をしてくるという点です。ですので、本来は利益の多くを占める金融事業を希望する学生に多くリーチしたいのですが、百貨店イメージが先行し、そのような学生には認知されにくいというのが現状でした。

そこで、同社が金融サービス業の中でも最先端の技術に取り組んでいることを起点に、まず、SNS広告を中心としたWeb上でコミュニケーションを取り、ターゲットへエンゲージメントしているメディアとのタイアップ広告を行いました。また、「THINK」を活用し金融業界へ興味のある学生のインサイトを分析、フィンテックを活かした新規事業サービスを切り口に発信を行い、webコンテンツと連動のイベントを実施しました。
結果として、50人規模のイベントを開催した際に、上位国公立大学理系学生が3割、有名大学の学生が4割、ほか多くの理系の学生の方にご参加いただくことが出来ました。以前であれば全くアプローチ出来ていなかった層にアプローチ出来、大きな達成感を感じていらっしゃいました。エントリー後の選考や内定承諾にどう繋げられるかがこれからの課題ですが、その一つのきっかけになったと思っています。

──イベントに参加された学生の方はどのような感想をお持ちになられていましたか。

秋山
一番多かったのは、「企業の知らなかった一面を知ることが出来ました」というものですね。これまでは大企業側から学生に歩み寄る必要も、そのためのメディアやイベントもあまり無かったので、その部分で新鮮に感じていただいているようです。どちらの事例も、何もアプローチしないと、学生の皆さんにとっては消費者としての企業の認知で、「大手の家電メーカー」「百貨店事業の企業」といった漠然としたイメージだけになってしまいますが、ここ1~2年の採用コミュニケーションの成功によって企業イメージの認識が変わってきています。

広がり始める第二新卒の採用マーケ

──今後の取り組みについて教えてください。

秋山
今後取り組みたいこととしては、大きく三つを考えています。一つ目は我々の強みである「THINK」を使ったビッグデータ解析のアウトプットを増やすことです。市場のトレンドやTOL(※)の抽出は続けますが、それ以外のデータの活かし方も探っていきます。
二つ目は、マーケティングのメディア戦略の考え方を採用に取り入れることです。採用マーケティングの必要性は自然と定着しつつあると感じておりますので、次の一手としてメディアミックスやクロスメディアなどの、「メディア戦略を広げる活動」を考えています。よりターゲットが細分化され採用施策として使用出来る媒体も増えておりますので、このような考え方を活かせるタームに入っていると感じています。人事部の方にもっとメディア戦略について積極的にお伝えしていこうと考えています。
三つ目は第二新卒など、若年層の社会人の方に対する採用マーケティングを強化することです。今我々がビジネスをさせていただいている企業様は30~40社あるのですが、そのうちの数社では中途採用を含めたコミュニケーションプランニングをお考えです。新卒採用の通年化により、今後は新卒と中途採用のツールやメディアが統合されていくと思われます。ですので、そういったご要望にもお応え出来るようにしていきたいと考えています。
(※TOL・・・トライブ・オピニオン・リーダー/トライブの中で強い影響力を持つ人物)
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  • 株式会社 スパイスボックス 採用コミュニケーション事業部 事業部長 プロデューサー