“新しいマーケット”をつくる読広の領域横断チーム:MCT
読売広告社のMCT(マーケット・クリエーション・チーム)は、現在デジタル/データによって急速に生まれているマーケットをつくる専門領域横断の約10名のチームです。このチームでは、多種多様なスキルを持つメンバーが集まり、新しいマーケットづくりに取り組んでいます。MCT発足者の吉田洋基が、チームが生まれた背景や目的について解説します。
■デジタル/データにより生まれてくる“新しいマーケット”をつくるチーム
テクノロジーによる「あらゆる生活のアップデート」が起こっている現在において、私達MCTは、新しいマーケットをつくるには、先端テクノロジー/データへの理解に加え、どう生活体験をアップデートしていくかという生活者ドリブン両方の視点がこれからのマーケットづくりには不可欠と考えます。
そのため、MCTではベースのスキルセットをマーケティングとデータ/テクノロジーとしつつ、マーケター、営業、コミュニケーションプランナー、クリエイティブ、社内起業家など社内外の多種多様なメンバーとコラボレーションしながら、新しいマーケットづくりに取り組むため2016年に発足しました。
新しいマーケットづくりを牽引していくクライアントのCEO、CMO、事業責任者などの皆様と事業視点で対峙し、強いパートナーシップを持ち「事業成長(ビジネスグロース)」と「事業創造(ビジネスクリエーション)」を実現する案件を推進しています。
その中で、我々が広告ビジネスを超えてどう進化すれば、クライアント・生活者・社会に対して、何の価値提供ができるのか?に常に挑戦しています。
■“広告代理業” から “繁盛共創業” へ
広告会社がメディアの代理業から進化するという方向性の話は様々なところで言われて久しいですが、その中でも、私達は「広告インパクト」ではなく「ビジネスインパクト」を出すことを目的としています。
そのための手段としては、結果としてTVCMなどの広告表現をつくることもありますが、より広い視点でニュートラルに、ビジネスに貢献するアイディアを考えることが必要と捉え実践しています。
これまでの具体的アウトプットとしては、戦略や広告・プロモーションはもちろん、アルゴリズムの構築、PR、利益を最大化させるプライシング設計、DB設計、事業/商品開発やビジョン策定、ブランドづくりやVIづくりなど、多種多様なスキルを持ったメンバーが集まっているからこそ幅広い案件に対応し、多様なアウトプット=つくるを実現してきました。
そして、クライアントの事業が成長することで、我々自身のビジネスも成長することを目指しており、いわば、“繁盛共創業”が私達のビジネスにおける基本スタンスになります。よって、報酬体系も案件ベースでケースバイケースに最適なものに設定しています。
■“キャンペーン” から “プロジェクト” へ
クライアントとの関係性も、キャンペーンごとの関係性でなく、中長期的なプロジェクトベースのお付き合いをさせていただいている点が私たちの特徴です。「同じ船に乗っている感覚」が双方に生まれ、受発注の関係ではなくリスペクトに基づくパートナー関係を築くことを大切な価値観としています。リスペクトの心を前提に事情も把握した上で、言いにくいことを言うこともありますし、「受注」を目的とした言動(忖度)などがない信頼関係構築に努めます。そのため、スタンスが異なる関係の依頼はお受けできないこともあります。
また、ニュートラルに問題解決をする以上、プロジェクトのメンバーも多種多様なメンバーになります。プロジェクト全体をひとつの方向に向かわせることが必要になり、ビジネス全体をプロデュースする力が重要になり、人と人・事業と事業をつなぐBP(ビジネスプロデューサー)とのプロジェクト進行が成功の決め手になります。
■多様な知をMIXする場をもつ
また、MCTは「知の創発」を目的とした“出入り自由”の定例会を週1の頻度で実施しております。クライアントの要望が高度化・多様化しているなか、広告会社である我々だけですべての課題発見・解決ができるとは思っていません。一方で、ビジネスインパクトを出すことが目的なので、自らの職務領域を機能で狭めることもしたくありません。
だからこそ、私たちには社外・グループ内の人との積極的なコラボレーションを重要視しており、部署や自社に依存せずに越境することが当たり前の文化があります。法人組織というよりは共同体といった捉え方の方があっているかもしれません。
知り、研究し、学ぶことで、実践知を磨く。その循環を強制ではなく主体的・自律的な参加により自律的に回していくことで、チーム全体や個人をとても強くしています。「強制」ではなく「自律」というのが重要なので“出入り自由”を掲げており、その分参加する意味のある場にしようと全員が志向しています。
具体的な「知の創発」のための活動としては、メンバーやゲストによる事例/ナレッジ共有会はもちろん、たとえば月に1度、各々“視点”をもって直近のデジタルトピックスを1人3件以上持ち寄り、メンバー全員でディスカッションし深い洞察や、今後の見立てなどをしています(通称“デジタル筋トレ”)。
また、外部セミナーや専門家からの知見なども積極的な取得を心がけ、それらも共有知としています。週1度の頻度(オンラインではリアルタイムに)で継続して上記のような業界/テーマを横断した「知の創発」をし、思考の筋肉をつけることで、プロジェクトメンバーやクライアントとの日々対話の質を上げることができている実感があります。また、1つの現象や問題に対して、同時に複数の視点を持つ訓練は、事業やマーケティングにおける精度の高い課題を掴む「速度」にもつながっています。更に、それらの情報を簡易資料として蓄積し、チーム外への情報発信も行うことで共有知の拡張にも努めています。
■MCTの提供価値はビジネスデザイン力と、グリット力
我々がクライアントに提供できる価値は大きく2つだと思っています。
(1)ビジネスデザイン力
様々なマーケットをつくってきた経験から、事業フェーズや産業毎に何が重要になってくるのか、多種多様な案件を研究・実践しているチームだからこそ、ビジネスインパクトにつながる「課題発見・設定力」と、課題を解決する「ビジネスアイディア」を生み出し、アイディアだけではなく実際につくる力(考え抜きカタチにする力)を磨いています。
(2)グリット力
しかしながら、実際のビジネスの生々しい現場では、ビジネスをデザインする力だけではインパクトが生まれない(動かない)ことが多々あり、キレイごとだけでは、突破できない局面があります。だからこそ、社内外の様々なプロフェッショナルの知見を統合し、最適なチームビルディングをし、ビジネスインパクトに拘って、粘り強くやり抜く力=グリット力*という、足腰の強さが現実にはとても大切と捉えています。
*参考文献 「GRIT」Angela Duckworth
■具体的実績プロジェクト
その提供価値をコアに、既に多数の具体案件も生まれており、ノウハウも一定量蓄積されてきております。どの事業フェーズで一体何が必要なのか?我々に何ができるのか?という全体像を描きながら、プロジェクトを推進できることが、MCTの強みになっています。
次回以降のコラムでは、各論篇としてテーマ別に、我々が実際に取り組んでいる具体的な内容に触れたいと思いますので、併せてご覧いただけると幸いです。
このコラムをご覧になっているみなさまとも、マーケットをつくるプロジェクトをご一緒できる機会を楽しみにしています。
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読売広告社
コミュニケーションデザインセンター ビジネスデザインルーム 兼 マーケットクリエーションチーム
ビジネスデザインディレクター / マーケティングディレクター
兼 博報堂DYメディアパートナーズ
データビジネス開発局 データビジネスデザイン部2009年読売広告社入社(現:コミュニケーションデザインセンター ビジネスデザインルーム兼 マーケットクリエーションチーム 発足人・リーダー)。2015年より博報堂DYメディアパートナーズと兼任。入社から一貫してマーケティング部署を歴任し、食品飲料・不動産・地方創生・スタートアップなど幅広い業種のマーケティング戦略立案、商品/事業開発、コミュニケーション/UXデザイン業務に従事。近年ではデータを活用したマーケティングの新領域の開拓推進。マス/デジタル、戦略/エグゼキューション、データ/クリエイティブを横断しクライアント・メディア各社の事業成長や、事業創造を支援。